間接指導で主体的学び 釧路へき・複連標茶大会 5・6年算数 学習リーダー中心に
(関係団体 2021-11-30付)

釧路へき複教育標茶大会
交流場面を設定しながら指導する小島教諭

 【釧路発】釧路へき地複式教育研究連盟(下山孝善委員長)は19日、標茶町立虹別小学校(小原正寿校長)を会場に第32回釧路へき地複式教育研究大会標茶大会を開いた。標茶町へき地複式教育研究大会を兼ねて開催し、管内の教職員30人が参加。公開授業や研究の概要説明、研究協議を通し、へき地・複式教育の充実に向け研鑚を深めた。

 同連盟の研究主題は「主体的・協働的に学び、ふるさとへの誇りと愛着をもった人間性豊かな子どもの育成~児童生徒一人一人が仲間とつながり、地域とともに“生きる力”を伸ばす学校・学級経営と学習指導の充実をめざして」。虹別小の研究主題は「複式(少人数)の授業づくり~伝え合う力の向上」。

 虹別小の算数の授業、2年(児童5人、関根裕一郎教諭)「かけ算(2)九九をつくろう」と、5・6年(5年生7人、6年生9人、小島収土教諭)の5年「比べ方を考えよう(1)」および6年「データの特ちょうを調べて判断しよう」を公開した。

 このうち、5・6年の複式学級では、小島教諭が「わたり」「ずらし」を駆使しながら間接指導における主体的な学びを実践した。

 本時の目標は、5年生が「速さは単位量当たりの大きさの考えを用いて表せることを図や式を用いて考え、説明することができる」、6年生が「データを度数分布表に整理する方法を理解し、読み取ることができる」と設定した。

 6年生には「(縄跳びを)3クラスがとんだ回数から、全体の散らばりの様子をみやすいように表に整理しよう」という問題から「度数分布表を整理して、その表のよさをみつけよう」という本時の課題を提示。教科書の3クラスの記録から度数分布表を作成した。

 その間、5年生には短距離走での時間と距離の関係から「単位量当たりの大きさを使って速さを求めよう」という本時の課題を示した。

 「1㍍当たりにかかった時間を出すには…」「比例直線を使おう」「1秒当たりの道のりは…」など、自力解決の結果を各自黒板に添付。学習リーダーの児童が中心となって共通点や相違点をもとに交流し、仲間分けした。また、見通しがもてない児童には「1㍍当たり」「1秒当たり」の2種類のヒントカードを準備。単位量当たりの大きさを使って速さを求めた。

 また、6年生は作成した度数分布表をもとに、学習リーダーが中心となって予想と理由を交流し、平均だけでは分からない新たな特徴をみつけた。

 公開授業後に行われた開会式では下山委員長があいさつ。

 本年度は、道へき地複式教育研究連盟の第10次長期5ヵ年研究推進計画の3年目に当たることにふれた上で、「年々減少する学校数や児童数に伴い、へき地複式教育への重要性は増している。本大会の成果が子どもたちの可能性を引き出す力となってほしい」と期待を寄せた。

 続く研究協議では、虹別小の中川規子研修部長が研究概要を説明。

 研究主題に掲げた「複式(少人数)の授業づくり」は、3ヵ年計画の2年目となる。研究内容「虹小スタイルの構築」「部会編成による実践の蓄積」を説明したあと、本年度の重点「意図的な交流場面の設定」「聞くことに重点を置いた伝え合い」について具体例を示しながら解説。主体的に学ぶための間接指導の手立てやリーダー学習のための手立てなど、複式(少人数)を生かした取組などを紹介した。

 このあと、4グループに分かれて研究協議を行い、子どもの様子や教師の支援などの課題解決法について活発に意見を交換した。

 助言に立った標茶町教委の秋山豊指導室長は、児童が伸び伸びと学習に取り組んでいる姿を評価した上で、「間接指導で主体的に活動している姿を教師がしっかりと見取ることが大切」と複式特有の教師の視点の重要性を示唆した。

 釧路教育局義務教育指導班の山村雄一郎指導主事は、指導と評価の計画性と単元全体を見通すことにふれ、「理解したことを確実に身に付けたかを評価することが大切。少人数を生かした見取りが一人ひとりの個性を伸ばすことにつながる」とさらなる授業改善に期待を寄せた。

(関係団体 2021-11-30付)

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