道教育振興会・道退職校長会が教育会議 連携には説明・発信を 推進指標による活動を期待
(関係団体 2021-12-07付)

教育振興会北海道教育会議
30以上の教育機関・団体が参加した

 道教育振興会(濱田美樹会長)と道退職校長会(黒坂由紀子会長)は3日、ホテルライフォート札幌で第20回北海道教育会議を開いた。主題「“令和の日本型学校教育”で目指す子どもの姿をどのように実現するか~自ら自分のよさや可能性を認識し、伸ばそうとする子どもを育むには」のもと意見を交流し、家庭、学校、地域における推進指標を決定した。

 両会は、昭和59年度から本道の教育の正常化を願い、教育に関する諸問題を協議する教育懇談会を開催。平成14年度からは、教育関係機関・団体が一堂に会し、教育にかかわる喫緊の課題を議論し、その成果を本道教育の指針として共有する場として、北海道教育会議を開催している。

 20回目の今回は、全道の30を超える教育関係機関・団体の代表が参加。ホテルライフォート札幌に59人、オンラインで33人の計92人が参加した。

 開会に当たり、道教育振興会の濱田会長があいさつ。「子どもを取り巻く環境は急激に変化しており、未来の予想が困難な時代」とし、「推進指標をいろいろな角度から論議し、その成果を北海道教育の指針として共有することで、家庭・学校・地域が連携・協働して、推進指標をもとにした活動が全道各地で広く行われることを期待する」と述べた。

 主題、推進指標(案)の説明に続き、意見を交流。

 PTA関係者からは、「ICTやGIGAスクールなど、様々な取組が行われているが、学校は子どものためにあるのだから、保護者の理解がなければ難しい。家庭や保護者にも話を下ろしてくれればもっとうまく進むのではないか」「保護者や家庭にもっともっと発信してほしい。タブレットを持ち帰らせるので、かばんを家庭で用意してと急に言われてもできない。壊れたときの不安もあったし、もっと事前に保護者の不安を取り除いた上で実施してほしい」といった指摘が続いた。

 これに対し、行政から「学校は地域に浮かぶ船。どこに向かうかしっかり家庭と地域に伝えるべきと発信の大切さを痛感した。行政としても、全力で支援していきたい」との声が上がった。

 また、ICT、コミュニティ・スクール(CS)、小中一貫教育に関する話題が多数上がり、ICTについては「導入に地域格差が大きすぎる」「持ち帰りは課題が多く、丁寧な説明が大切」といった声の一方、「子どもが楽しんで使っている」「卒業アルバムづくりで使っているが、校正が楽と好評」「音声入力機能を使えば瞬時に文字化してくれるので、学級通信づくりなどが短時間でできる。若い先生と話し合えば、いろいろな活用法が出て働き方改革につながるのではないか」といった声も上がった。

 CSと小中一貫教育については、「市がすべての学校にCSを導入しており、目指す子ども像を地域も共通理解している。今は学校単位だが、中学校区でCSを導入し、小中9年間を見通した教育とすることで、より多くの大人がかかわっていくよう構想している」「来年度から中学校区に合わせてCSをと考えている。地域の人材としてどう育っていくか、グランドデザインを描いていく」「教頭会の9月の全道大会では、7つの分科会で必ず小中一貫教育にかかる話題が出ていた。学校数が少ないところは取り組みやすく、大都市のモデルになると思う」「小中一貫教育に、ぜひ幼児教育を入れてほしい。資質・能力の3本の柱の根っこにあるのは幼児教育。幼児期の主体的な遊びが小学校に接続していく」など、各地の事例や今後に期待する声が多数上がった。

 道教委も「今こそ地域と連携するとき。そのためには目標を共有すること、役割を話し合うことが大事で、CSはその場となる。正式に互いの声を聞く場で、個別の活動が横のつながりになる」などと述べた。

 このほか、コロナ禍による人間関係について懸念する声も多く、「人とのかかわりが希薄になり、関係性が弱まっている気がする。学校の統廃合、高齢化や共働きなどもあり、地域や家庭の教育力が弱くなっている」「最近、褒められていない子どもや教職員が多いのではないか。誰でも褒められればうれしいし、認めてほしい。自己有用感や達成感が感じられていないのならば、学校でも家庭でも褒める機会を増やすべき」といった声が上がっていた。

 最後に、推進指標の採択について審議。全会一致で承認した。

(関係団体 2021-12-07付)

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