富川大会長 発達段階に配慮を 第49回道性教育研究札幌大会
(関係団体 2021-12-03付)

道性教育研究大会
80人が参加し研鑚を積んだ

 第49回北海道性教育研究大会札幌大会および第21回札幌市性教育研究大会が11月26日、ホテルライフォート札幌で開かれた。大会主題「豊かな人間性を支える性に関する指導~意思決定と行動選択ができる子どもの育成」のもと、会場参集、オンライン合わせて80人が参加。大会長を務めた道性教育研究会(=道性研)の富川浩会長(札幌市立柏中校長)は「発達段階に配慮しながら、学校教育全体を通して意図的・計画的に指導・実践することが大切」と訴えた。

 道性研は、昭和47年に第1回研究大会を開催。以降、「学校における性教育」「小・中・高の一貫した性教育」「豊かな人間性」「生きる力」などをキーワードに、実践的な研究活動を推進してきた。

 前年度の研究大会は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって中止に。2年ぶりの開催となる本年度は、会場参集とオンラインを併用した。

 道性研の富川会長はあいさつで、性に関する規範意識の低下、ICTの普及による性的被害、デートDVによる人間関係のトラブル増加など、「子どもと若者の性に関する社会問題が山積している」と指摘。東京オリンピックを契機に、人権や多様性の尊重など、学校教育において性の多様性への対応が必要となっている状況を示した。

 教育課程における性教育では、性を人権として認め合い、人間関係を培うことを目指す上で、「人命尊重や望ましい異性観や適切な人間関係を身に付けることが求められる」と強調。適切な意識決定能力を身に付けるとともに、「発達段階に配慮しながら、学校教育全体を通して、意図的・計画的に指導・実践することが大切」と訴えた。

 実践発表では、札幌市立北都小学校の矢留茂和教諭、札幌市立柏中学校の澤田恵太郎教諭が登壇。

 矢留教諭は、札幌市性教育研究会の実践を紹介。新琴似西小学校の3年生学級活動、5年生道徳の授業動画を上映し、「性別にかかわらず、他者と望ましい人間関係づくりができる力の育成」「共同して社会に参画する態度の育成」「適切な意思決定とともに行動選択ができる力の育成」を目指す授業の成果を説明した。

 澤田教諭は、柏中の実践を紹介。男女のかかわりを考察する2年生総合的な学習の時間のテーマを、本年度から「多様な性とのかかわり方を考えよう」に変更したことを示し、学校独自の実態調査を生かした教育活動や学年の発表会など、特色ある取組の成果を説明した。

 このあと、性的マイノリティの当事者支援を目的とした団体SOGI―Mamii,sの高橋愛紀代表が「知ることからはじめよう~LGBT,sからSOGIの概念へ」と題して講演。性的指向および性自認を示すSOGIの概念を説明した上で、「多目的トイレの活用」「プール授業での配慮」など、現在の学校に求められる対応などを示した。

(関係団体 2021-12-03付)

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