4定札幌市議会代表質問(令和3年12月3日)
(札幌市 2021-12-07付)

◆遠隔・対面で授業人間尊重の取組を コロナ禍での命 大切にする教育

 コロナ禍における命を大切にする教育の実施状況などに関する質疑が行われた。

 文部科学省が実施した令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果では、小・中・高校における児童生徒の自殺者数が過去最多を更新。コロナ禍における児童生徒への支援が求められている。

 市教委の檜田英樹教育長は、「子どもたちが人とのかかわりの中で、自分を大切に思う自尊感情や他者を思いやる心を醸成していく経験が極めて重要」と強調。その上で、「各校では、感染症対策などの様々な制約がある中で、授業や学校行事を工夫して行うなど、子どもが人とかかわる機会を、可能な限り確保することに努めてきた」との認識を示した。

 今後については、「どのような状況下にあっても、子どもが自分のよさや仲間と共に学ぶ喜びを実感できるよう、オンラインと対面での授業等を適切に組み合わせながら、人とのつながりを深めていくことが大切」とし、「各校の取組を支援するとともに、すべての教育活動において人間尊重の教育を基盤とした取組を推進していく」と述べた。

 くまがい誠一議員(公明党)の質問に対する答弁。

◆地域の学校で学べるよう取組を 特別支援学級新設

 特別支援学級新設に関する質疑が行われた。

 特別支援学級の児童が中学校へ進学する際、校区内の中学校に特別支援学級がない場合、保護者は学級の設置を求めることができる。しかし、教室の空き状況等で設置されず、校区外の中学校へ通学することもある。

 市教委の檜田英樹教育長は、本年度に入学の希望がかなわず校区外の特別支援学級に通学している児童生徒について、「小学校で2人、中学校で4人」と報告した上で、「子どもや保護者の要望に可能な限り柔軟に対応しており、今後も、希望する子どもが地域の学校で学べるよう、取組を進めていく」と述べた。

 佐藤綾議員(日本共産党)の質問に対する答弁。

◆子の障がいの程度応じた配置を検討 特別支援学級の教職員配置基準

 特別支援学級における教職員の配置基準に関する質疑が行われた。

 本年度までは、1学級8人に対して、1人の教員を基本とし、児童数が7人または8人になる場合は障がい種別に教員を加算してきた。

 令和4年度からは、1学級6人を基本に、7人以上になった際に、教員を加算する方針。特別支援学級におけるきめ細かな指導の実現につなげていく。

 市教委の檜田英樹教育長は今回の見直しについて、「特別な教育的支援を必要とする児童生徒の増加を踏まえ、市の実態に即した柔軟なものになると考えている。今後も、国基準によって手厚い教員配置を継続した上で、児童生徒の障がいの程度に応じた配置も検討していく」との考えを示した。

 また、保護者への説明や現場職員との意見交換については、「学校現場の声を聞くとともに、保護者をはじめとした関係者の理解を図りながら、きめ細かな指導ができるよう検討を進めてきた」とし、「今後も引き続き、学校と連携しながら、子ども一人ひとりのニーズに応じた特別支援教育の充実を図っていく」と述べた。

 佐藤綾議員(日本共産党)の質問に対する答弁。

◆新たに世代別啓発動画作成 介護人材の確保へ若年層の理解促進

 介護人材の確保に向けた、若年層が理解を深めるための取組に関する質疑が行われた。

 市では、市高齢者支援計画2021において、高齢者と家族を支える支援体制の充実を目指し、必要なサービスが切れ目なく提供できる環境の整備を進め、家族介護者の支援を図っている。

 介護人材の確保に向けては、「事業者の介護人材確保に向けた取組の支援」「生活支援の担い手を増やすための取組」が市町村に求められている。

 秋元克広市長は「これまでも、若年層向け啓発冊子の配布や出張講座を行ってきたが、本年度は新たに介護の仕事についての世代別啓発動画を作成し、介護職のやりがいや魅力などを発信していく」とした。

 くまがい誠一議員(公明党)の質問に対する答弁。

◆若い世代も対象大学等と連携し 合計特殊出生率向上の取組推進

 合計特殊出生率の向上についての質疑が行われた。

 市は、第2期さっぽろ未来創生プランで示している「質の高い雇用創出と魅力的な都市づくり」「結婚・出産・子育てを支える環境づくり」の基本方針のもと、新たな企業の創出や誘致、保育サービスの提供などに取り組んでいる。

 秋元克広市長は「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた取組の強化に加え、新たな視点での取組が必要。有識者から聴取した意見を踏まえ、リモートワークの普及などによる新しい日常への対応や、子育て世帯が抱える不安感の軽減などの観点について、取組内容の反映を進めている」と説明。

 その上で、「結婚や子育てなど、ライフデザインが描けるよう、大学等と連携し、より若い世代を含む幅広い層へのアプローチに取り組むなど、新たな視点からも進めていく」との対策を示した。

 くまがい誠一議員(公明党)の質問に対する答弁。

◆困窮世帯の給食費 公費負担は難しい 子育て施策の経済負担軽減

 子育て施策における経済的負担軽減に向け、学校給食費や子ども医療助成費、市奨学金ついての質疑が行われた。

 町田隆敏副市長は学校給食費について、「毎年、保護者の代表者等を含めた付属機関での審議を経て、食材費のみ保護者負担としている。生活困窮世帯に対して。就学援助制度等で学校給食費を支援しており、これ以上の公費負担は難しい」との認識を示した。

 医療助成費については、「将来にわたって多額の財源を要するため、事業の持続可能性や子ども・子育て施策全体の中での位置づけなどを踏まえながら検討していきたい」とした。

 また、奨学金に関し、「大学生等に対し、他の政令市より多くの人数を毎年採用し、給付型での奨学金を実施している。今後も財源の確保に努めながら、継続して取り組んでいく」と述べた。

 佐藤綾議員(日本共産党)の質問に対する答弁。

◆法改正を好機とし積極的に取組推進 父親の育児休暇

 市の少子化対策に関連して、父親の育児休暇の積極的な取得に向けた取組等の質疑が行われた。

 父親による子育て推進について、秋元克広市長は「父親向けの育児情報の発信や男性の家事育児参画の啓発をはじめ、仕事と子育ての両立を支援するため、ワーク・ライフ・バランスなどに取り組む企業の認証者、男性の育児休業取得助成金の支給などに取り組んでいる」と現状を説明。

 また、「新型コロナウイルス感染症の影響によって、テレワークを導入する市内企業や男性の育児休業取得助成金の申請件数が増えている。働き方の多様化が進むとともに、育児参画への意識が高まっている」と述べた。

 その上で、「育児・介護休業法の改正によって、今まで以上に男性の育児休業の取得促進が期待されることから、これを好機とし、積極的に取組を進めていきたい」との方針を示した。

 くまがい誠一議員(公明党)の質問に対する答弁。

◆影響を広く啓発し相談機関の浸透へ 成年年齢引き下げ

 成年年齢の引き下げに関する対応について質疑が行われた。

 国では、成年年齢を18歳に引き下げることを内容とする民法の一部を改正する法律を、来年4月1日から施行する。これによって、18歳、19歳でも、親の同意を得ずに、クレジットカードの作成や賃貸物件の契約などが可能となる。

 秋元克広市長は「教育委員会とも連携を図り、市内高校への教材を提供し、契約に伴う責任やリスクなどについて授業で取り上げるよう働きかけ、多くの学校で活用されている。小・中学校に対しても、消費者教育教材を提供し、授業での活用を促すなど、将来を見据えた取組を実施している」と、これまでの取組を報告。

 今後について、「各種広告も活用し、成年年齢の引き下げの影響を広く啓発するとともに、相談先となる消費者センターの浸透を図るなど、被害の未然防止に取り組んでいく」との方針を示した。

 くまがい誠一議員(公明党)の質問に対する答弁。

(札幌市 2021-12-07付)

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