道社連・市社連社会科教育研究大会札幌大会公開授業⑦　桑園小　北海道開拓と鉄道の関係は　６年　明治維新による近代化

（札幌市 2021-12-27付）

第６学年部会　札幌市立桑園小学校６年４組（木田孝紀教諭）

明治の国づくりを進めた人々～幌内鉄道

【単元でめざす子どもの姿】

　明治維新による近代化を外面（＝制度）、内面（＝生き方・考え方）の両面からとらえるとともに、近代化を支えたエネルギー・インフラなどの社会的基盤の存在の重要性に気づき、社会を変革するためには活動を支える社会的基盤が必要だと考える子ども。

【単元の目標】

▽人々の服装や街並みなどに着目して、年表など各種の資料で調べ、まとめ、明治維新にかかわる人々の工夫や努力をとらえ、その動きを考え、表現することを通して、日本が諸外国に追いつくために、様々な取組を通して、富国強兵に力を入れたことを理解できるようにする

▽明治時代の日本の国づくりについて、主体的に学習問題を追及・解決し、これからの日本の歴史にどのようにかかわっていくのかについて考えようとする態度を養う

【本時のねらい】

　北海道に幌内鉄道をつくった黒田清隆の考えを話し合う活動を通して、幌内炭や港湾を生かして北海道を開拓し、さらに日本の近代化を進めようとした黒田清隆の思いと、北海道の資源や土地を近代化の原動力にしようとした明治政府や当時の人々の思いを考えることができる

【本時の展開】

〈問いを生む場〉

▽明治５年に新橋―横浜間で鉄道が開通。７年に大阪―神戸間、明治１５年に小樽―札幌―幌内間が開通した。同時期の東京・大阪は、ガス灯やレンガ造りの建物など、街並みが発展。また、洋服や馬車、牛肉など外国の文化が人々の生活に取り込まれている。北海道は、山や原野が多く、開拓が進められており、生活に大きな差があった

▼課題「黒田清隆は、どうして開拓の進んでない北海道に鉄道をつくったのか」

〈吟味・検証・再考する場〉

▽小樽

・港を生かしてものを運ぶことができる

・幌内でとれた石炭を日本各地や外国に輸出したりすることができる

▽札幌

・開拓に必要な道具や生活に必要な物資を運ぶことができる

・北海道の開拓が進みやすくなり、新しい国づくりにつながる

▽幌内

・石炭をとることができる

・石炭は工場や鉄道などを動かす動力として必要なもの

▼まとめ「開拓の進んでない北海道の石炭や土地を新しい国づくりに生かそうとしていた」

〈吟味・検証・再考する場〉

▽幌内炭鉱で掘られた石炭はどのくらい役に立ったのかをグラフで確認

▼まとめ「黒田清隆は、北海道や日本の発展が続いていくように願って北海道に鉄道をつくった」

【教師の具体的な手立て】

▽文明開化の中心地としての華々しい「東京・横浜・大阪・神戸」と未開の「北海道」を、対比し続ける展開にすることで、西洋文化の象徴ともいえる鉄道が一見整合しないということから問いを生む

▽「石炭をとることができる」「北海道の開拓が進む」と、日本にとってどのようなよさがあるかなど、子どもたちが国全体へと視点を広げていけるようにかかわる

▽開拓が進んでいない北海道だからこそ、開拓を進めるための基盤として鉄道をつくる必要があったと考えられるようにする

▽当時の地区別石炭産出量のグラフから「こんなに少ない生産量のために鉄道をつくる意味があったのか」を問い、その後の生産量の推移から北海道の石炭が日本の発展を支えたことを考えられるようにする

▼評価

　北海道の鉄道の敷設が北海道、日本の長期の発展のために必要だったことをとらえ、ノート等で表現しているかを評価する。

(札幌市 2021-12-27付)