特別支援担う教師の養成へ 10年目までに全員経験 文科省 特定教科担当でも可
(国 2022-03-17付)

 文部科学省の特別支援教育を担う教師の養成の在り方に関する検討会議は15日、第6回会合でこれまでの検討の報告案を示した。全ての教師が採用後10年目までに特別支援学級や特別支援学校を経験する方向性を明記。ただし担任配置が困難な場合は、特別支援学級における特定の教科の授業担当でも可能とした。今月最終週に報告書を確定・公表。6年度の実現を目指す。

 報告は、特別支援教育を担う教師の養成・採用・研修等に関し国・教育委員会・大学・学校等が取り組むべき内容を示すもの。特別支援教育の専門性の担保と特別支援教育に携わる教師の増加を図るため、今後の方向性を示した。

 教育委員会・校長においては、全ての新規採用教員が概ね10年目までに特別支援学級や特別支援学校を複数年経験する状態を目指す人事上の措置を講じ、採用10年以上が経過した教師についても特別支援教育の経験を組み込むこととした。

 一方で、学級規模や学級数によって特別支援学級の担任配置が困難な状況も想定されることから、年間を通じて特定の教科の授業を担当させるなどの対応も可能とした。

 また校長においては、特別支援教育経験者を計画的に増やす体制の構築に努めるほか、学校経営方針等に特別支援教育に関する目標を設定。学校評価の中核となる評価項目や指標に必ず盛り込むよう求めている。

 小学校においては全校が校務分掌に特別支援教育コーディネーターを位置づけることとした。

 大学は、小学校等の教職課程においても特別支援教育に関する科目等の充実を図ることとした。

 管理職の選考に当たり教育委員会は、特別支援教育の経験を考慮し、人事計画で適切に経験する機会を設定。教師経験者を教育委員会の幹部として任用する際、特別支援教育の経験が生かされるよう考慮するとした。

 このほか、教員育成指標を踏まえた研修機会の充実、国立特別支援教育総合研究所における研修コンテンツの整理・体系化など研修による専門性向上を盛り込んだ。

 今後、関係団体からの意見聴取を経て、今月最終週に報告書を確定・公表する。法的な制約はないが、6年度の実現を目指し関係者に検討・対応を要請する。国において必要な調査を行い実施状況をフォローアップして実現を目指す。

 全国全ての大学の教職課程で共通的に履修すべき資質・能力を示す特別支援学校教諭免許状の「コアカリキュラム」についても検討を進め、6月以降に策定・周知する予定。5年度または6年度からコアカリキュラムに基づく教職課程を開始する考え。

(国 2022-03-17付)

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