一般表彰は6者に光 オホーツク局 管内教育実践表彰
(道・道教委 2022-03-31付)

 【網走発】オホーツク教育局は、3年度管内教育実践表彰の受賞者を決定した。一般表彰では、紋別市立潮見小学校など2校1団体3個人が受賞。初任段階表彰は網走市立白鳥台小学校の宮田一央教諭ら5人、若手教職員表彰は斜里町立朝日小学校の千葉佑太教諭ら3人が栄に浴した。

 受賞者と功績概要はつぎのとおり。=敬称略=

◆一般表彰

【小・中学校教育】

▼紋別市立潮見小学校(長谷博文校長)

 校長の的確なリーダーシップのもと、教育目標・目指す子ども像の意識化が図られ、教師、児童共に同じベクトルで課題解決に向かう学校である。

 2年度から校内研修を仮説検証型から授業スキル向上型に変更することによって授業の課題を解決し、1年で成果の出る研修スタイルへ改革した。また、学校独自に研修会を数多く開催し、その成果を管内に広く公開している。特に本年度は道徳スキルアップ研修会を複数回開催し、管内の道徳教育の授業力向上に大きく貢献した。

 これら校内研修の改革によって授業改善が図られ、児童の学習に対する姿勢にも大きな変化が生じ、問題解決の楽しさを実感するようになっている。

 さらに主幹教諭、教務部、研修部で学力向上対策チームを組織し、学習規律の徹底や学び直しの機会充実など、学力向上の具体策を組織的に実行している。結果、全国学力・学習状況調査においては、元年度時点では全国平均より大きく下回っていた平均正答率が大きく上昇しているなど、顕著な成果が見られている。

 また3年度道公立学校等教育実践において、チームで目指す学力向上について、学校全体で「児童の実態を踏まえた取組の重点化」「個人課題設定型の校内研修による教員の指導力の向上」「組織的な取組の推進」の3つの視点からアプローチする取組を行い成果を発表するなど、全道に対して学力向上のモデルを示した。

▼西村亮子(湧別町立湧別小学校教諭)

 管内特別活動研究会に所属し、これまで自身が勤務した学校において特別活動の充実に努め、自身の勤務校の教員のみならず他校の教員に対しても広く指導助言を行うなど、管内教員の特別活動における実践力の育成や指導力の向上に取り組んだ。

 また現在の勤務校である湧別小は、町教委独自事業である湧別町型学校力向上事業の主体校となっており、その事業における中核教員の一人として児童の自尊感情を高め、自己実現を図る特別活動の実践を基盤とし、優れた学級経営と学習指導で児童の資質・能力を積極的に育成している。

 さらには、授業改善や人材育成の中核的な役割も果たすなど、校内および町内の教育振興と充実にも大きな成果を上げている。

 これらの豊富な経験と実績を生かし、特別活動にかかる著名な教育雑誌の原稿依頼や座談会への参加依頼を受け、自身の実践を広く全国へ発信している。

▼山下孔基(小清水町立小清水中学校教諭)

 教員採用当初から15年間(知的7年、情緒4年、肢体3年、言語1年)特別支援学級を担当している。それらの経験を生かして、管内規模の研究大会等で提言や助言を行っている。

 3年度はオホーツク教育局で行われた特別支援教育充実セミナーにおいて講師を務め、校内における支援体制の充実について管内に広く自身の実践成果を広めた。

 また、特別支援教育FSP検討協議会ワーキンググループのリーダー教員となり、特別支援教育FSPオンライン授業改善セミナーでは提言者として自らの授業動画を発信するなど、管内の特別支援教育の発展に寄与している。

 網走地方教育研修センターでは、教育相談実践研修講座の講師として、校内体制づくり、相談業務の流れ、外部機関との連携等の具体的な実践について紹介し、若手教員育成にも積極的に取り組んでいる。

【高校教育】

▼湧別高校(村田一平校長)

 文部科学省から「地域との協働による高等学校教育改革推進事業(地域魅力型・アソシエイト)」指定を受けている。

 この事業は「未来計画(探究活動)」「郷土愛(特色ある教科・科目学習)」「地域参画(ボランティアや交流活動)」の3つを柱として、研究開発を行っている。

 湧別町が事業の管理機関となり、町の施策の一つとして「湧別高校魅力化」に向けて地域と協働して探究的な学習活動「未来計画」の実践を行っている。

 またこれらの活動を通して、生徒が「自己実現のため、自ら道を切り開く力と継続して挑む力」「多様な価値を認め合い、他者を思いやる力と協働する力」「興味をもって地域に貢献する探求する力と想像する力」の6つの力を培うことができるよう事業に取り組んでいる。

▼金川佳美(常呂高校教諭)

 新聞を活用した朝学習・家庭学習について取り組み、生徒が新聞に親しみ、興味・関心を向上させ、社会へ目を向けるきっかけづくりを継続的に行っている。

 2年度には地域と連携した就職活動、早期離職の改善等に焦点を当てた就職指導の改善に関する研究を進めた。ICTを活用した卒業生追跡調査、遠隔システムによる就職指導連絡協議会の開催など精力的に取り組むとともに、施設訪問・生徒に向けた講座・校内研修を企画・運営した。

 3年度には教科指導と評価の一体化を目指し、評価材料の一つとして生徒によるスタディ・ログを試行した。また、グーグルクラスルームの機能を取り入れながらデジタルとアナログの良さを適切に組み合わせるなど、ICTを活用した個別最適な学びを実践している。さらに生徒自身の学習成果や思考の変化、目標と達成度等を可視化・共有化し、主体的・対話的で深い学びを実現している。

【社会教育】

▼湧別町青少年指導センター(野田直人センター長)

 町内を基盤とし、子ども会活動を中心に異年齢の子どもたちの集団活動を通して、青少年の健全育成を図っている。

 3年度は上湧別町と湧別町が合併し「湧別町青少年指導センター」となってから設立10周年という節目を迎えた。また、新型コロナウイルス感染症による活動の制限がある中、感染症対策を行いながら「設立10周年記念子ども会交流ミニバレーボール大会」を開催するなど精力的に活動を行っている。

 少子化や核家族化、共働き世帯の増加など子どもを巡る環境が大きく変化する中、2町の合併以前から50年以上の長きにわたり、地域に根差した活動を展開し、次代を担う地域リーダーの養成など、地域の青少年の人材育成に大きく寄与している。

◆初任段階表彰

【小・中学校教育】

▼宮田一央(網走市立白鳥台小学校教諭)

 現勤務校の道徳研究において「考え、議論する道徳」の実現に向け「特別の教科 道徳」の特質を踏まえた授業改善に取り組んでいる。特に道徳科における「多面的・多角的な思考」を促す発問構成や指導過程の工夫、年度の重点内容項目を重視した全教育活動を通した道徳教育の質的向上の取組等は、現勤務校の公開研究会を通じて全道の学校に向けて情報発信している。

 また、児童が自分の思いや考えを自分の言葉で表現することができる力を育むことができるよう、言葉による見方・考え方を働かせた言語活動を生かした国語科の授業づくりを行っている。

 さらに、国立教育政策研究所教育課程実践検証協力校の現勤務校で開催された公開研究会においては、複式学級における指導過程や発問の工夫、指導と評価の一体化に積極的に取り組み、各学年に応じた教科用図書を用いた異学年間の交流の仕方や、学習リーダーを活用した指導過程等を発表し、全道の学校に向けて提案した。

▼渡辺紋望(紋別市立南丘小学校教諭)

 平成31年度から網走地方教育研修センター研究推進員として算数科を中心に研究を進め、研究紀要を通して成果を管内に向けて発表した。

 また、第76回道算数数学教育研究大会釧路大会の領域・課題別分科会においては「主体性を育む少人数指導の在り方」について研究の成果を発表した。

 さらには、地域の教育力を積極的に活用した取組として紋別高校と連携し、プログラミング教育研修会を勤務校の南丘小学校で開催した際には、授業者として小学校でのプログラミング教育の円滑な導入に向けて提案した。

▼鈴木大輔(紋別市立潮見小学校教諭)

 2年度から外国語専科教員となり、自身の専門性を生かして積極的に外国語・外国語活動の授業づくりを行っている。

 また、道立教育研究所の研修講座では、小学校外国語教育活動の充実について講師として自身の実践成果を道内に向けて広めている。

 さらに勤務校の潮見小は、道立教育研究所のプロジェクト研究「研究協力校」として指定を受けており、その取組に積極的に関わるとともに、1人1台端末を活用した外国語の授業実践を行った。

 このほか近隣校である上渚滑小学校で行われた研修会において「外国語・外国語活動の授業づくり研修」の講師として活躍するなど、管内の外国語活動の推進を積極的に行っている。

▼関岡夏美(紋別市立渚滑小学校養護教諭)

 市養護教員会会長を務めるほか、新型コロナ感染症が拡大している状況において、保健所と連携を図りながら学校で取り組むべき新型コロナウイルス感染症対策について整理するなど、学校運営参画意識を高く持ち日ごろの業務に取り組んでいる。

 特に初任段階養護教諭等研修(4年次、1年次第=期)ではアドバイザーを務め、1年次の参加者に対して助言を行うなど、日ごろの自身の実践成果を積極的に管内に向けて広めている。

【高校教育】

▼大淵貴志(紋別高校教諭)

 文科省委託事業「道徳教育の抜本的改善・充実にかかる支援事業」推進校の勤務校において、研究の中心として活躍している。特に道徳教育の全体計画が教育活動全体において円滑に進めることができるよう「単元配列表」の作成・活用に取り組んでいる。その成果は多くの学校へ参考事例として、全道の道徳教育推進会議や教育課程研究協議会で紹介されている。

 また、管内高校地理歴史・公民科研究協議会においては、4年度新学習指導要領実施に向けて、新たな共通履修科目「公共」について積極的に公開授業を行うなど、管内の地理歴史・公民科教育をけん引している。

 さらに、ICTを積極的に活用しながら主体的・対話的で深い学びに向けた授業実践を行うほか、教務部副部長として勤務校における「育てたい9つの力」について、AIを用いたアセスメント・ツールを活用して、生徒の資質・能力の検証を行い、生徒一人ひとりの特性に応じた指導体制の構築に努めている。

◆若手教職員表彰

▼千葉佑太(斜里町立朝日小学校教諭)

 初任段階教員のころから道国語教育研究大会等で発表を多く行い、授業研究に対して前向きに取り組んでおり、2年度からは網走地方教育研修センター研究員となっている。

 また、元年度からは網走地方教育研修センター研究講座「学級経営」の講師として管内教育の発展に寄与している。

 特に3年度は勤務校の朝日小において公開実践授業を行い、その様子が『北海道通信』に掲載された。

 加えて、3年度の網走地方教育研修センター研究紀要第187号「主体的・対話的で深い学びを目指した授業改善」において、検証授業を行った成果が記載されている。

 日ごろから望ましい人間関係を形成する学級経営を基盤とし、優れた授業力を持って、子ども一人ひとりの学びに真摯に向き合い実践することができるほか、自身が研究センターや研究団体で学んだ資料データを全職員に提供するなど、自己の力量のみならず勤務校全体の教育力が高まるよう職務に取り組んでいる。

▼井上大輔(紋別市立潮見小学校教諭)

 学級経営・教科経営に優れ、児童が意欲的に学ぶ集団づくりを実践しており、児童の資質・能力を伸ばしている。校内では初任段階教員に授業を積極的に公開し、自身の実践を紹介するとともに、授業づくりで悩んでいる教員には親身に相談に乗るなど中堅教員としての役割を果たしている。また、校内研修では若手教員を対象としたミニ研修の講師を務め、授業づくりの基本的な考え方を伝えている。

 市独自で行っている初任段階教員研修会では、市内の初任者教員に授業を公開し、その後、授業づくりや学級経営に関する相談について的確に助言していた。

 また、市内のみならず道算数数学教育研究大会小学校部会において、自身が行った算数授業に関する研究の成果を広く発表するなど、専門性を発揮している。

 管内教師力向上セミナーでは、オンライン交流会で講師となり、参加した教員の授業づくり等の相談について助言を行っている。

▼野尻智(紋別市立紋別小学校教諭)

 管内算数数学教育研究会に所属し、算数数学授業の研究に取り組むとともに、子どもたちの主体的・対話的で深い学びの実現のため、発問・問い返しの工夫等を実践することによって日ごろから授業改善に取り組んでいる。

 それらの授業実践および研究成果を生かして、道算数数学教育研究大会では「“だって”“だったら”で繋げて創る授業」というテーマで実践発表を行った。

 また、網走地方教育研修センターでは算数科の研修講座講師として活躍するほか、オホーツク夏・冬の教育セミナーにおいても、自身の実践成果を管内各地から集まった参加者に向けて発表した。

(道・道教委 2022-03-31付)

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