デジタル採点システム検証結果 採点時間 中学校44%減 操作習熟など課題も 道教委
(道・道教委 2022-04-08付)

表
1人分の平均所要時間(クリックすると拡大表示されます)

 同システムは、従来どおりテストを実施した上で①解答用紙をスキャン②パソコン上に複数の児童生徒の解答を一覧表示して自動採点(誤答のみ確認)③採点結果を自動集計―の手順で活用する。自動集計による全体の平均点、問題の正答率や得点の一覧化が可能で、成績管理にデータを活用できる。

 道教委は3年度にNEC北海道支社と連携協定を締結し、学校における働き方改革の推進に向けた教員の業務支援ソリューションの実証研究事業を開始。開発中のデジタル採点システムをモデル校に試行導入し、効果等を分析した。

 アンケートは、システムを使用した職員がオンラインで回答。小学校4件、中学校13件、高校1件の回答を得た。

 検証結果を校種別にみると、中学校ではシステムを28回(1947人分)試行し、1人当たりの平均所要時間を通常採点(1239人分)の場合と比較。結果、採点時間は2分の1、集計・転記の時間は6分の1となり、事前設定やスキャン、印刷に要した時間を加えても計1・88分と通常採点の3・35分と比べ所要時間は44%減少した。

 小学校では4回(237人分)試行し、通常採点(272人分)の平均時間と比較。採点と集計・転記の時間は減少したものの、事前設定、スキャン、印刷に多くの時間を要し、全体の所要時間は約2倍に増加した。小学校では業者によるテストを活用することが多く、スキャンが困難で時間を要したことが要因となっている。

 高校では1回(53人分)試行し、通常採点(53人分)と比較。採点時間は4分の3に、集計・転記の時間は半分以下となり、全体で約6%の減少となった。小学校と高校に関しては回答件数が少ないため参考値としている。

 利用者からは「採点時間の縮減」「肉体的疲労やストレスの軽減」「ミスの減少」などの効果が評価されたほか、「正答率や得点、平均点などが設問ごとに自動集計されるため、その後の成績処理やフォローアップがしやすい」などの声が寄せられた。

 課題は「パソコンやプリンター、スキャナーの性能に左右されやすい」「初期設定や別紙への印刷に時間がかかる」「操作方法の習熟が必要」など。今後追加してほしい機能として、スキャンした業者テストのサイズの自動調整、PDF変換設定の簡易化の工夫などが挙がった。

 採点業務以外に自動化・機械化したい校務やソリューションのアイデアを調査した結果、「AIによる授業評価システムの活用」「校務支援システムを活用した通知表や時間割の作成」「ICタグや専用アプリによる出欠確認の自動化」などの提案が寄せられた。

(道・道教委 2022-04-08付)

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