英検3級相当以上の中3生 札幌54%、道47%に 文科省調査 授業改善等が奏功
(国 2022-05-20付)

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中高生の英語力(クリックすると拡大表示されます)

 調査は英語教育改善の具体的な施策の現状を調べるため平成25年度から実施。令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となったため2年ぶりの公表となった。

 調査対象は都道府県・市区町村教委と全ての公立小・中学校、義務教育学校、高校、中等教育学校。調査基準日は3年12月1日。

▼生徒の英語力

 セファールA1レベル相当以上を取得、または相当の英語力を有するとされる中学3年生の割合は道が47・4%。札幌市が54・1%。セファールA2レベル(英検準2級)相当以上の英語力を有する高校3年生の割合は札幌市を含む道内で3・8ポイント増の45・0%となり、全国平均に近づいた。

 英語力向上の要因として道教委は、各学校で新学習指導要領を踏まえた授業改善を着実に進めていること、元年度から3年間、全中学校で実施した英検IBAによって生徒の英語力の客観的な把握や指導方法などの工夫に生かしていることを挙げている。

 札幌市教委は、英語教員を対象に3年度から開始した英語教員授業力向上パワーアップ研修など各種研修による教員の英語力・指導力の向上を挙げ、本年度も引き続き同研修を継続する方針だ。

▼児童生徒の英語による言語活動

 小学校(第5・6学年)の授業中に「おおむね言語活動を行っている」「半分以上言語活動を行っている」と回答した学級数の割合は、道・札幌市いずれも9割以上。中学校・高校では道が全国平均を上回っている。

▼パフォーマンステスト

 小学校(第5・6学年)における「話すこと」評価のパフォーマンステストの実施率は道・札幌市いずれも9割以上。中学校の全学年で「話すこと」「書くこと」の両テストを実施している割合は道が96・6%、札幌市が86・1%だった。

 高校(全学科・全学年合計)では道が58・0%、札幌市が44・3%といずれも全国平均を上回っている。

▼CAN―DOリスト形式による学習到達目標の設定

 「外国語を使って何ができるようになるか」という観点による学習到達目標の設定率は、道の中学・高校で100%を達成した。目標の公表や達成状況の把握率も高く、多くの校種で全国平均を上回っている。

▼英語担当教員の英語使用

 中学校で発話の半分以上を英語で行っている教員の割合は道が83・3%、札幌市が49・7%となり、道は全国平均を上回っている。高校では道が76・0%で全国平均を上回っている。

▼英語担当教員の英語力

 中学校でセファールB2レベル(英検準1級)相当以上の英語資格を取得している割合は道が38・7%、札幌市が46・0%で、札幌市は全国平均の40・8%を上回った。札幌市を含む道内の高校は55・5%で、全国平均の74・9%を下回っている。

▼英語の授業におけるICT機器の活用

 ICT機器を活用した学校の割合は道・札幌市いずれも全校種で100%となった。高校における遠隔校との交流学習は道15・4%、札幌市28・6%となり、札幌市は全国平均の15・9%を大きく上回る。発話や発音などを録音・録画する活動、メール・SNSを活用した活動など各校種で活用が広がっている。

▼他校種との連携

 英語教育に関する小学校との連携に取り組んでいる中学校の割合をみると、道が96・4%と全国平均の72・5%を上回っている。情報交換(授業参観や年間指導計画の交換)、交流(指導方法等の検討会)、小中連携によるカリキュラム作成などの取組が進められている。

 高校における小学校との連携は20・7%、中学校との連携は29・8%で、全国平均以上だった。

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英語教育実施状況調査(クリックすると拡大表示されます)

(国 2022-05-20付)

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