冬季五輪招致で札幌美しが丘緑小　将来の主権者意識高め　スポーツ局職員が出前授業

（札幌市 2022-05-30付）

市の政策への理解を深めた

　札幌市立美しが丘緑小学校（足立教校長）６年生社会科では、冬季五輪招致に向けた市の政策を題材にした学習に取り組んでいる。２３日、市スポーツ局職員を招いた出前授業では、五輪開催で期待される効果とともに、開催にかかる経費、市民・道民から寄せられた意見を踏まえ、児童たちが「選手村を造ったあとはどのように活用するの？」などと質問。市の政策への理解を深めるとともに、将来の主権者としての意識を高めた。

　公職選挙法改正による選挙権年齢の引き下げや、民法改正による成人年齢引き下げなどに伴い、学校現場における主権者教育の重要性が高まっている。小学校学習指導要領でも「主権者として将来にわたってわが国の政治に関わろうとする意識の醸成」と明記されている。

　同校６年１組（山本勝洋教諭）社会科では、単元「みんなの願いを実現する政治」において、冬季五輪招致を目指す札幌市の取組を題材に設定。「市の政治のしくみを理解するとともに、市民として声を実際に届けることで未来の主権者としての態度を養う」ことを目指した。

　この日は、６時間扱いの４時間目。市スポーツ局招致推進部調整課の民部宏治係長らが来校し、なぜ冬季五輪招致を進めるのかを説明した。

　民部係長は、前回の冬季五輪開催を機に、市の人口が増加するとともに、地下鉄南北線開通や大通地下街の完成など、各種インフラが急速に発展したことを紹介。一方で、２０３０年時点では、人口減少・少子高齢化社会の急速な進行、脱炭素社会の実現など「冬季五輪開催を様々な課題の解決の契機にしたい」という市の思いを伝えた。

　また、２０３０大会開催に向けた経費に、現段階で２８００～３０００億円を試算していることや、施設整備費に８００億円を見込んでいることを説明。市が３月にまとめた市民・道民へのアンケート調査では、過半数が開催に賛成している一方で、反対や開催に懸念を示す声も上がっていることを示し「ぜひ一緒に考えよう」と呼びかけた。

　児童たちは「選手村を作ったあとはどのように活用するの？」「環境保全をどう進めるの？」「障がいのある人たちへの対応は？」「大雪対策などに経費を使うべき」など、前時までに調べたことや説明を聞いて疑問に感じたことを積極的に質問した。

　山本教諭は「児童たちにとって身近な話題を通して、将来の主権者としての意識を高めてもらえれば」と期待した。

　児童たちは、５・６時間目の学習で考えをまとめ、秋元克広市長に提出する。

(札幌市 2022-05-30付)