道議会質疑 文教委員会(1月12日)(道議会 2022-06-03付)
【質問者】
▼赤根広介委員(北海道結志会)
▼大越農子委員(自民党・道民会議)
▼小泉真志委員(民主・道民連合)
▼松山丈史委員(民主・道民連合)
▼清水拓也委員(自民党・道民会議)
【答弁者】
▼池野敦教育部長
▼鈴木淳学校教育監
▼山本純史総務政策局長兼幼児教育推進局長
▼相内修司生涯学習推進局長
▼唐川智幸学校教育局長兼ICT教育推進局長
▼中澤美明学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長
▼伊賀治康教職員局長
▼岸本亮施設課長
▼荒川裕美教育政策課長
▼高見里佳文化財・博物館課長
▼柴田亨高校教育課長兼ICT教育推進課長
▼行徳義朗義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長
▼山崎義一教職員育成課長
▼泉野将司健康・体育課長
▼奥寺正史教職員課長
▼今村隆之教職員課働き方改革担当課長
=役職等は当時=
◆小学校高学年教科担任制
Q 赤根委員 教科担任制については、義務教育9年間を見通した指導体制の在り方等に関する検討会が昨年7月に取りまとめた義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方についての報告で、小学校高学年における教科担任制推進の考え方として、学習が高度化する外国語、算数、理科や体育で優先的に専科指導の対象とすべきとしている。
道内におけるこれらの科目の教科担任制導入の割合がどのようになっているのか、その推移と併せて伺う。
A 荒川教育政策課長 教科担任制の実施状況について。札幌市を除く道内の小学校のうち、国の加配措置による専科教員を活用して教科担任制を実施している学校の割合および5年間の推移は、外国語については平成29年度が0・6%、令和3年度が23・9%、理科については29年度が3・1%、3年度が14・4%、算数については29年度がゼロ、3年度がl・9%、体育については29年度が5・3%、3年度が8・5%となっている。
Q 赤根委員 道教委では、教科担任制の成果等を道内の学校に周知するとしているが、そもそも成果をどのように認識され、周知に取り組んできたのか伺う。
A行徳義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 教科担任制の成果等について。道教委では、国の小学校における専科指導充実のための加配の活用のほか、小中一貫教育の導入を支援する小中一貫教育サポート事業において、中学校教員による教科担任制を導入するなど、教科の専門性が生かされた質の高い授業を行う取組を進めている。
その成果等については義務教育指導監や指導主事の学校訪問を通じて直接授業参観するほか、推進地域や指定校の研究協議会等を通じた専門性の高い指導によって「個々の児童の学習への興味・関心が高まった」「中学校へのスムーズな接続が図られ、高学年児童の進学に向けた不安を軽減することができた」などの声を聞き取るなどしてきた。
また、こうした取組の成果を全道の事業指定校を対象とした協議会の開催や報告書の発行等によって道内の小・中学校に広く周知しているところであり、今後も、教科担任制の効果的な実施に向け、引き続きこうした事業成果の周知に努めていく。
Q 赤根委員 教科担任制の推進に当たり、市町村教委や学校現場からはどのような意見や要望が寄せられているのか伺う。
A 荒川教育政策課長 教科担任制に関する要望等について。毎年行っている文教施策等に関する要望の中で、これまで道小学校長会、道中学校長会等から教科担任制および専科指導のための加配となる正規教員および講師等の確実な配置について、道都市教育委員会連絡協議会から小学校における英語の専門教員の配置拡充について、道町村教育委員会連合会から専任教科担当教員の配置拡大にかかる国への要望についてなどの要望が寄せられている。
Q 赤根委員 400人という試算は国の方針や学校規模、教科等によって配置数が変動するとの考えも示しているが、現状においてこの400人という試算に変わりはないか、また4年度以降の配置見通しがどのようになっているのか併せて伺う。
A 荒川教育政策課長 専科教員の配置数について。2年第3回定例会において、札幌市を除く道内の学校に必要となる専科教員を配置した場合、約400人と試算した旨を答弁した。3年度における学校数の若干の減少を踏まえても大きく変わらないと考えている。
道教委としては、各市町村において、教科担任制がより円滑に推進されるよう国に対し、加配を拡充する要求をしているところであり、今後の国による措置状況を勘案し具体的に検討していく。
Q 赤根委員 道教委では、この教科担任制の本格導入に向けた人員確保について、教員養成大学との連携によって人員確保に取り組むこととしているが、具体的にどのような取組を行っているのか。
A 山崎教職員育成課長 教員養成大学と連携した人材確保の取組について。道教委では、教員養成大学をはじめ市町村教委や校長会等で構成する教員採用協議会の議論などを踏まえ、小学校教諭受検者で中学校、高校の英語の免許所有者を積極的に採用することとしており、教科担任制の本格実施に向けて、新たに対象教科として3年度から数学と理科を加えた。
こうした取組に加え、教員の幅広い人材確保に向けては、2年度から教職を目指す道教育大学の学生を対象に教職のやりがいを体験できる草の根教育実習を実施しており、3年度は参加対象を道内の教員養成大学の学生に拡大している。
また、3年度からは、より早い高校生段階から教職への志望を醸成するため、道教育大と連携した高校生向けの教員養成セミナーを長期休業期間に2回実施するなど、これからの学校教育を担う教員の確保に努めている。
Q 赤根委員 現状においては、専科指導に当たるための要件や基準が必ずしも明確とは言えない。専門性の担保をどのように図ろうとするのか伺う。
A 山本総務政策局長兼幼児教育推進局長 専科指導の専門性の担保について。3年7月に公表された国の検討会議による報告において、教員が専科指導の専門性を担保する方策として、当該教科の中学校または高校の免許状の保有、専門性向上のための免許法認定講習の受講・活用、教科研究会等の活動実績といった要件を組み合わせることなどが考えられるとされている。
道教委としては、こうした国の考え方を踏まえるとともに、専科指導における専門性の担保を図るため、専科教員の配置に当たり、当該教科の免許保有者のほか、担当する教員について義務教育指導監による状況把握などに努めることとしており、今後、教科担任制の円滑な推進について市町村教委、校長会等と共に検討していく。
P 赤根委員 国の加配措置における配置については、そういう要件で配置しているが、いわゆる学校独自に配置しているものについては、現状、学校の考え方などで独自に配置している例もあると聞いている。専門性が担保されなければ教科担任制導入自体の意味合いがなくなってしまうことも懸念される。ぜひ、今後の制度導入に併せてしっかり取り組んでいただきたい。
Q 赤根委員 義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方についての報告においては、教科の特性を踏まえつつ、専門性を有する人材や多様な知識、経験を有する人材の確保の観点から、特別免許状のさらなる活用について言及している。文部科学省では、都道府県教委による特別免許状の積極的な授与に向け、3年5月に特別免許状の授与にかかる教育職員検定等に関する指針を改定している。
この特別免許状についての道教委の認識を伺う。また、これまでの授与件数や科目などの授与状況がどのようになっているのか併せて伺う。
A 奥寺教職員課長 特別免許状について。特別免許状は、教員免許状を持っていない社会人を教員として学校現場に迎え入れることにより、学校教育の多様化への対応などといった効果が期待されているものであり、専門的な知識や経験を有する者を教員として任用することができることから、教科担任制の導入に当たっても有効な制度と認識している。
本道における授与件数については、平成28年度から令和2年度までの5年間において、小学校では、英語3件、中学校では、英語4件、数学1件、その他2件、高校では、看護10件、英語5件、福祉2件、その他3件、特別支援学校では、自立活動6件の合計36件となっている。
Q 赤根委員 今後、道教委として、この特別免許状をどのように積極的に活用していこうとするのか所見を伺う。
A 奥寺教職員課長 今後の取組について。国の検討会議が作成する義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方についてでは、小学校英語専科指導のための専科教員として、教員免許状を有していない、外国語指導助手の経験者や一定の英語力を有する者などについて、特別免許状を授与することで任用が可能であることなどが例示されている。
道教委としては、教科担任制の推進に向け、教科特性を踏まえつつ、専門性や多様な知識、経験を有する人材を確保する観点に立って、他県の取組事例などを参考にするとともに、市町村教委とも連携を図りながら、引き続き、特別免許状の活用に取り組んでいく。
Q 赤根委員 道教委では、教科担任制の推進に当たり、国の教職員加配の活用や新たな採用数の中長期的な見通しを策定するとしている。この見通しはどのような考えに基づき策定されるのか伺う。
また、教科担任制の推進には校長を先頭とした管理職のマネジメント力やリーダーシップが重要という指摘があるが、どのように取り組むのか所見を伺う。
A 池野教育部長 今後の取組について。道教委では、教員を希望する者が採用の予定を見通せるよう、教科担任制の推進など国の教員定数措置や年度ごとの教員の退職者数の予測等を勘案した中長期的な採用の見通しを策定し、受検者等に広く公表して教員の確保につなげていく考え。
また、道教委としては、教科担任制を推進するためには学級担任の専門性を生かした教科を互いに受け持つ授業交換、教員の専門性を生かした教科を学校間で連携し合う学校間連携、学級規模の大きい学校に対し既に配置されている学級担任以外の教員の活用など、その形態は多様であり、推進に当たっては、校長の組織および教育課程マネジメント力の発揮が重要と考えることから、校長等研修や校長会等の協議会、義務教育指導監による指導など様々な機会を捉え、各校長の資質・能力の向上を図っていく。
P 赤根委員 教科担任制導入の目的は、冒頭、説明があったように新しい時代の学びの環境整備ということで、子どもたちの学びの環境をこれからの時代を見据えてしっかり専門性を高めて、確保していくことだが、この広域分散型の本道で懸念されるのは、こういった取組がまた新たな地域間の格差を生まないようにしっかりと進めていくことが大事である。
冒頭、答弁いただいた数字もまだまだ低調な状況であるので、しっかりと各地で進むように道教委が推進方策など示しながら進めていくべきである。
◆新体力テスト
Q 大越委員 実技種目を点数化した体力合計点では、小学校5年生の男女については、全国平均との差が縮まったが、小中の男女全てで、依然、全国平均を下回っている状況だった。今回の調査結果について、道教委としてどのように受け止めているのか伺う。
A 中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 調査結果について。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、全国的に小・中学校の男女とも体力合計点が低下する中、本道においては、前回の調査結果と比較し、小学校の男女において全国平均との差が縮まっている。
各学校が、感染症対策を講じた日常の体力向上の取組に努めたことによって、改善の傾向が見られているものと考えているが、小・中学校の男女ともに体力合計点が0・7から3・7ポイントの幅で全国平均を下回っており、道教委としては今回の結果を踏まえ一層の改善が必要と考えている。
Q 大越委員 道教委としては、体力低下の要因について、どのように捉えているか伺う。
A 泉野健康・体育課長 体力低下の主な要因について。国においては、元年度から指摘された運動時間の減少、平日1日当たりのテレビ、スマートフォン等による映像の視聴時間である学習以外のスクリーンタイムの増加、肥満である児童生徒の増加に関し、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、さらに顕著になったと考えられるとしている。
本道においても同様の傾向があると考えており、今後、本道の児童生徒の体力低下の要因を含め、調査結果を詳細に分析し、2月公表予定の北海道版結果報告書に取りまとめていく。
Q 大越委員 小学校では男女とも全国平均との差が縮まったとの報告があったが、道教委として、これまでのどのような取組が成果につながったと捉えているか伺う。一方、体力合計点は男女とも前回より低くなっており、課題についても併せて伺う。
A 泉野健康・体育課長 小学校の取組等について。道教委では、平成25年度から体育専科教員活用事業に取り組んでおり、専科教員を配置している学校では、体力合計点が全国平均を上回っており改善が見られることから、これらの学校で行われている体育科の授業改善や、組織的な体力向上の取組を全道に普及・啓発してきた。
各小学校においては、こうした好事例を参考にするほか、創意工夫を生かした1校1実践の取組を充実させたことによって今回の改善につながったと認識している。
一方、課題としては、休み時間や放課後など体育の授業以外における体力向上の取組の機会が少ないこと、運動やスポーツをすることが好きな子どもたちの育成を目指した体育の授業改善などが考えられる。今後、調査結果を詳細に分析し明らかにしていく。
Q 大越委員 今回の調査結果では、中学校において全国平均との差が広がっている状況にある。中学校における取組について、具体的にどのような課題があると捉えているか伺う。
A 泉野健康・体育課長 中学校の取組について。生徒質問紙調査において「保健体育の授業では十分に体を動かしていると思う」「保健体育の授業で自分の動きの質が向上していることを実感している」「体カテストの結果や体力・運動能力の向上について自分なりの目標を立てている」と回答した生徒の割合が全国平均を下回っており、主体的な体力向上の取組が課題と考えている。
こうしたことから、生徒一人ひとりの体力向上を図るためには、男子や女子、運動に対する苦手意識を問わず、十分に体を動かす活動を取り入れながら、目標を達成することによって自分自身の体の細かな動きが実感できる授業の工夫改善等に努めるとともに、保健体育の授業以外で運動する機会を設定し、自ら体を動かそうとする意欲を高めるなどして、運動習慣の定着を図る必要があると認識している。
P 大越委員 主体的な体力向上の取組が課題というのは捉え方としては甘い。厳しい言い方をしてしまえば 、主体的な体力向上の取組ができていないではなく、どのようにできていないのかというのが正しい課題の捉え方なので、どうか逃げずに課題に向き合っていただきたい。
Q 大越委員 今回の質問紙調査では何点か新たな設問が見られる。例えば、児童生徒への質問紙調査の中では、運動やスポーツをすることが好きな理由や嫌いな理由を尋ねている。好きな理由としては「友達や仲間と一緒にできるから」、嫌いな理由としては「入学前から体を動かすことが苦手だから」などが挙げられている。これらの結果を今後の取組に生かすために、どのように北海道の分析を進めていくか伺う。
A 泉野健康・体育課長 質問紙調査の結果分析について。道教委としては、体力向上の取組の改善・充実を図る上で、重要な資料である質問紙調査において、運動やスポーツをすることが好き、嫌いな理由や、授業で自分の動きの質が向上していることを実感しているなど新たな調査項目が追加されていることを踏まえ、今後、運動やスポーツに対する子どもの内面についても詳細に分析し、外部有識者の助言を得ながら、運動意欲を高める授業の在り方、教師の関わり方などについて考察し、より実効性のある体力向上の取組につなげていく考え。
D 大越委員 子どもの内面、心の問題は、外部要因と複合的に絡んでいる場合が非常に多い。
本道の冬が長いという要因もあるかもしれないし、また、非常に広域で遠い学校にバスで通っているために運動する機会がないといった本道の特性も考えられる。そうした結果、子どもの内面の部分が出てきていると思うので、その辺もしっかりと複合的に分析していただくことを求める。
Q 大越委員 道内でも、地域や学校によって状況は様々なので、学校はもとより家庭や地域の協力も得ながら、それぞれに応じた効果的な支援が必要である。今回の調査結果を踏まえ、道教委として、子どもたちの体力・運動能力の向上や運動習慣の定着に向けて、どのような取組を進めていくのか伺う。
A 鈴木学校教育監 子どもたちの体力向上に向けた今後の取組について。道教委としては、今後、管内・市町村別の調査結果等を踏まえ、その要因や課題について詳細に分析を行うほか、体力合計点と質問紙調査との相関関係や他県の取組内容との比較など、体力向上にかかる新たな視点から分析を行い、各市町村教委と連携しながら各学校に対して具体的な課題解決の取組について指導助言を行っていく。
また、体育専科教員の授業実践を取りまとめた実践事例集を全道に広く普及するとともに、特に全国との差が広がっている中学校の授業改善に向け、実践的な研修の継続的な実施や先般、プロスポーツチーム等の協力を得て制作したリズム運動動画のより一層の活用を促すなど、家庭、地域が連携協働しながら体力向上に向けた児童生徒の運動習慣の定着を図る取組を推進していく。
P 大越委員 一応、改善は見られているということで、それまでに様々な取組をされてきたことに一定の評価をしているが、課題の的確な把握が最も重要であると思っている。
効果的な対策の前提となるのが、課題から逃げずに把握することである。より多面的に課題をしっかりと把握して、今後の取組につなげるよう指摘する。
◆働き方改革
Q 小泉委員 在校等時間の公表について。在校等時間の客観的な計測、記録、公表は、働き方改革北海道アクション・プランの重点項目6つのうちの1つとして掲げられている。公表が遅々として進んでいない実態を考えると、今回のような調査を通して各地教委の意識を高めるべきと考える。公表に正直後ろ向きな地教委に対して、やはり道教委の姿勢、もう少し強くあるべきと感じるが、認識を伺う。
A 今村教職員課働き方改革担当課長 時間外在校等時間の公表について。時間外在校等時間の公表は、業務改善に取り組む上での基盤であると考え、市町村教委の公表状況について別途調査しており、3年1月では5市町村だったが、3年度内には53市町村が公表予定となっている。
道教委としては、これまでも本庁職員や各教育局の働き方改革チームが市町村教委を訪問して働きかけを行うとともに、3年12月には各市町村教委に対し、既に公表を実施している市町村の取組事例の紹介や、公表方法に関する参考資料を提供した。今後とも、教育長会議など各種会議の場を活用するなど一層の働きかけを行っていく。
P 小泉委員 例えば、全国学力・学習状況調査では、スタート時に反対の意見もあった中で、今は全部公表できている状況である。そう考えると、この部分についても働き方改革のスタートラインに立つということで一番最初の部分だと思っている。ぜひ、その努力を続けていただきたい。
Q 小泉委員 ワーク・ライフ・バランスについて。定時退勤のために持ち帰り業務を余儀なくされている教職員が多々存在している状況である。この持ち帰り業務に対する道教委の認識について伺う。
A 今村教職員課働き方改革担当課長 業務の持ち帰りなどについて。業務の持ち帰りは本来、行わないことが原則であり、道教委ではこれまでも学校現場を訪問して教職員から聞き取りを行い、実情に応じた指導を行うとともに、労働安全衛生の観点から時間外在校等時間と業務の持ち帰りを行った時間を合わせて一定以上に達した道立学校の教職員について、学校が報告することとしている。
道教委としては、今後とも、定時退勤のために業務を持ち帰ることがないよう、引き続き、学校訪問等を通してその実態把握に努めるとともに、校長等の管理職が業務の平準化など適切な業務管理を行い、持ち帰りが生じない職場環境づくりを進めるよう指導していく。
Q 小泉委員 部活動休養日等の完全実施も重点項目6つのうちの1つとして掲げられているが、今回の調査では触れられていない。このことに対する認識を伺う。
A 今村教職員課働き方改革担当課長 部活動休養日等について。道教委では、北海道の部活動の在り方に関する方針に基づく各学校の取組状況について、アクション・プランにかかる取組状況調査とは別に、毎年度、3月末を時点とする実態調査を実施し、その結果を周知している。
直近の3年3月末現在では、部活動休養日を原則平日1日、休日1日としている学校は、札幌市を除く中学校470校のうち468校の99・6%、高校および特別支援学校は100%、また、活動時間を原則平日2時間程度、休日3時間程度としている学校は、札幌市を除く中学校470校のうち468校の99・6%、高校250校のうち246校の98・4%、特別支援学校29校のうち29校の100%となっており、いずれも一定の定着が見られる。今後とも、未実施校を中心に指導助言を行い、取組を一層進めていく。
Q 小泉委員 教育課程の編成について。分析の中で、標準授業時数を大きく上回った授業時数を計画することのないよう留意し、指導体制を整えないまま標準授業時数を大きく上回る授業時数を計画している場合には、教育課程の編成、実施に当たっても教員の働き方改革に十分配慮することが求められるとある。
臨時休業等に備えた余剰時数の大幅な上乗せが、最近多くなり、これが教育課程の過密化を生み出しているという声を多々聞いている。このことに対する道教委の見解を伺う。
A 行徳義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 教育課程の編成について。道教委では、これまで教育課程全体のバランスを図ることや学校の指導体制を踏まえた編成、実施に努めるよう通知するとともに、義務教育指導監や指導主事による学校訪問を通じて、各学校の教育課程の編成状況等に対し必要な指導助言を行ってきた。本調査結果では、学校の指導体制に見合った授業時数の設定を行っているとした小・中学校が約9割以上となっている。
道教委としては、改善が必要な学校への指導を引き続き行うとともに、今後も市町村教委をはじめ校長会などとも連携しながら、適切な授業時数の確保はもとより、教育活動の質を一層向上させ、学習の効果の最大化を図るカリキュラム・マネジメントが行われ、働き方改革の趣旨を踏まえた教育課程が編成、実施されるよう、義務教育指導監等が年度末の校長会議で指導し、指導の徹底を図るほか、各学校の実情に応じたきめ細かな指導助言に努めていく。
P 小泉委員 前年度の臨休等でカットされた時間程度を余剰時数として教育課程を編成するよう年度末の指導に取り組んでいただきたいということを強く指摘させていただく。
Q 小泉委員 今回の取組状況調査報告書を見る限り、調査項目に対してもパーセンテージについて、非常に良い結果が出ていると思っている。しかし、一番肝心なことは、この取組によって具体的に在校等時間や持ち帰り業務をどれだけ減らすことができたのかということだ。
この北海道アクション・プランの有効性を検証する上でも、持ち帰り業務等に関わる実態調査をすべきと考える。道教委の所見を伺う。
A 伊賀教職員局長 アクション・プランにかかる取組状況について。道教委が指定した働き方改革推進校においては、校内に改革の中核となるコアチームを設置して業務改善を進めるほか、チェックシートを活用して進捗状況を検証するなどアクション・プランに掲げる取組を進めた結果、多くの学校で、時間外在校等時間の減少傾向が見られる一方、時間外在校等時間の平均が比較的長い学校においては、アクション・プランに掲げる取組が十分に行われていない。引き続き、アクション・プランに基づく各般の取組を推進していく。
また、時間外在校等時間や業務の持ち帰り時間についての定量的な実態把握については、4年度、文科省が当該調査を実施予定。
道教委としては、国と連携しながら実態を把握するとともに、アクション・プランの取組との関係についても分析していく。
P 小泉委員 在校等時間は、道立校については公表されており、市町村立校がなかなか公表されていないので、実態を把握することができない。持ち帰り業務だが、国が行うということだが、道として主体的に行う姿勢が必要だ。
◆近代美術館在り方検討
Q 大越委員 ことしは博物館法制定から70年を迎えるが、美術館には、社会教育施設としての基本的な役割はもとより、国際的な動向やデジタル化など博物館に求められる役割や機能は多様化、高度化しており、現代社会における美術館の存在意義は大変重要と考えている。
近代美術館はこれまで、本道の文化芸術の拠点として多くの方々に親しまれ、地域の文化芸術に触れる機会を提供し、道民の豊かな感性や多様性を理解する力を育むといった役割を担ってきたが、今後の近代美術館の在り方について、道教委の認識を伺う。
A 相内生涯学習推進局長 近代美術館の在り方について。近代美術館は、地域性と国際性を視座に、美術作品の収集や多彩な展覧会の開催、他の公立、私立美術館との連携、教育普及活動や学校教育を支援する取組を行うなど本道の美術文化の振興の中核を担っているが、今後はさらに多くの方々が、芸術を通して様々な体験や交流をする場としての機能のほか、他の施設とも連携しながら国内外からの来館者を道内の観光振興につなげる文化観光の拠点としての役割など、多様なニーズに対応する必要がある。
現在、道教委では、道内の公立、私立美術館等とのネットワークをさらに充実させ、それぞれの施設に隣接する様々な資源の活用を図りながら各道立美術館の魅力向上と利用促進に努めているところであり、その中心となる近代美術館がこれまで以上に魅力を高め、道民に求められる美術館となるよう、他府県の取組も参考としながら多角的に検討していくことが重要と考えている。
Q 大越委員 近代美術館の施設整備の在り方について、道教委のこれまでの検討状況を伺う。
A 高見文化財・博物館課長 施設整備に関する検討状況について。知事公邸等の在り方に関する研究会では、周辺環境とのつながりに配慮することや、道民や民間事業者等の意見を伺いながら丁寧に検討することなどの指摘があったと承知している。
道教委としては、周辺住民や民間事業者等から幅広い提案をいただく仕組みを整えるため、官民連携に関する制度や官民対話の進め方などに関する国主催のセミナーに参加するとともに、他の自治体における取組事例の聴取や、内閣府から官民連携に関する専門家を派遣いただき、個別相談を行うなど情報収集するほか、関係部局と検討に当たっての課題や今後の進め方などについて協議を行うなど、施設整備に関する検討の準備を進めている。
Q 大越委員 近代美術館を含む一連のエリアは、知事公館をはじめとした歴史、文化、芸術が集積するエリアであり、研究会からも文化芸術ゾーンとして、50年先、100年先を見据えて全体像を検討していくことが重要という意見や、近代美術館を含めた一体的な整備の検討が必要などといった意見があったと聞いている。
将来、道民が誇れるような美術館となるよう、これらの意見も踏まえ道教委としてどのように検討を進めていくのか伺う。
A 池野教育部長 今後の近代美術館の在り方について。近代美術館から続く知事公邸エリアは市内中心部に位置し、緑豊かな憩いの場としても親しまれ、道民にとって貴重な財産であり、近代美術館がこうした立地環境を踏まえた役割に加え、教育、観光等の多様なニーズに対応できる文化発信の拠点としてその機能を高めることが重要である。
こうしたことから、道教委としては、近代美術館のリニューアルに関する有識者会議を1月中に立ち上げ、これまでの美術館活動の検証を行い、これからの美術館に求められる役割や必要な機能などについて具体的に検討を進めるとともに、効果的な運営、立地環境を踏まえた施設整備の在り方について官民連携を視野に入れながら関係部局と連携し検討を進めていく。
P 大越委員 ぜひとも、50年先、100年先を見据えた、北海道の歴史の評価に耐えるような在り方を検討していただきたいことと、また、地域の要望や意見などとしっかりと向き合って検討を進めていただきたい。
Q 松山委員 道立近代美術館について。昨年11月に起きた天井の配管からの水漏れによって中央吹き抜け部分の床が水浸しになり、常設展の入口の床まで達していたようだが、展示作品や売店商品等には影響がなかったのか。また、収蔵庫には問題はなかったか。
A 高見文化財・博物館課長 水漏れによる展示作品等への影響について。給水管の破損個所からの水漏れによる浸水は、1階ホールから展示室の出入口付近に及んだため、ホール内のショップにあった販売商品の一部に影響が出たが、展示作品および収蔵庫内に被害はなかった。
Q 松山委員 設備の修繕が終われば、今回のようなことはほぼ防げるという考えなのか。また、設備修繕工事は具体的にはどのようなことをするのか。
A 岸本施設課長 設備修繕工事の内容について。このたびの漏水は、美術館のロビー天井内に敷設されている給水管の老朽化により破損したものであり、当該給水管についてはロビーに隣接する特別展示室の天井内にも敷設されていることを考慮し、エ事中および工事後において展示作品等に損害が生じることのないよう、特別展示室天井内の給水管を迂回させる敷設経路変更を講じるとともに、全面的に管を更新することとしている。
この工事によって、漏水は防げるものと考えている。
Q 松山委員 美術館設立から45年経過するが、抜本的な建て替えも必要なのではないか。今回の設備修繕工事によって、こういった意見が煙に巻かれてしまうのではないかと危惧するが、建て替えについての議論は現在、どのような状況になっているのか伺う。
A 相内生涯学習推進局長 施設改修の検討状況について。近代美術館について2年度、建設部が長寿命化診断を行った結果、改修に当たって他に収蔵品を移転できない等の要因によって長寿命化に適さないとの診断結果が出たことから、現在、その対応を検討している。
道教委としては、近代美術館のリニューアルに関する有識者会議を1月中に立ち上げ、これまでの美術館活動の検証を通して、これからの美術館に求められる役割や必要な機能などについて検討を行うとともに、効果的な運営や立地環境を踏まえた整備など施設整備の在り方について検討を進めていきたい。
Q 松山委員 コロナの影響もあって来館者は減っているようだが、コロナ後の集客に当たって、何か方策は考えているか。
A 相内生涯学習推進局長 集客に向けた取組について。近代美術館に多くの方に来館いただけるよう、ホームページやSNSで展覧会や所蔵品等の紹介などを行ってきており、本年度も感染症の拡大で来館者数に影響はあるものの、2年度と比較すると回復傾向にある。
現在、インバウンド・アートプロジェクト事業により、5言語で作成した外国語パンフレットを配布しているとともに、観覧料のキャッシュレス化によって美術館の魅力発信や利便性の向上に取り組んでいるほか、各美術館の情報を一元的に発信するポータルサイトを開設し、各館のホームページの多言語化やスマートフォンヘの対応、道立美術館全体の所蔵品データベースの公開等を進めているところ。道教委としては、今後のインバウンド対応も見据えながら、こうした取組により、感染症の終息後には、これまで以上の来館者数となるような環境づくりに取り組んでいく。
◆高校における主権者教育
Q 清水委員 18歳選挙権がスタートしてからはや5年が経過し、高校生の選挙や政治への関心も高くなってきていると思われる。道内の高校において、高校生の政治的な関心を高めるためにどのような教育活動が行われているのか伺う。
A 柴田高校教育課長兼ICT教育推進課長 高校における主権者教育について。各学校では、主に教科「公民」において、わが国の民主政治や議会の仕組み、主権者としての政治参加の在り方など、生徒への政治的な関心を高める学習活動に取り組んできた。
平成27年に公職選挙法等の一部を改正する法律が成立し、満18歳以上の者が選挙権を有することとされたことを踏まえ、総合的な探究の時間などにおいて、国の副教材『私たちが拓く日本の未来』などを活用しながら、実際の選挙を対象にした模擬選挙や地域の課題をテーマとして取り上げた地方議会への提言や視察、地域住民の意見を聴取しながら解決策を探る探究活動を行うなど、実践的な学習に取り組んできている。
Q 清水委員 高校新聞局の衆識院選に関する取組について、高校における生徒の主体的な政治などに関する取組に対する道教委の認識を伺う。
A 唐川学校教育局長兼ICT教育推進局長 生徒の主体的な政治等に関する取組について。高校における主権者教育の一層の充実を図る観点から、若者の政治に関する関心を高めることができる当該校新聞局の取組は大変有意義なものであると考えている。
道教委としては、高校生が主体的に政治や選挙について理解を深め、主権者として必要な資質・能力を身につけることは大変重要であると認識しており、今後とも必要な配慮を講じながら主権者教育の一層の充実に努めていく。
Q 清水委員 道教委は、当該校に対してどのような助言を行ってきたのか。
A 柴田高校教育課長兼ICT教育推進課長 当該校に対する道教委の助言について。当該校における主権者教育の一層の充実を図る観点から、生徒が候補者および政党を選ぶ際には選挙公報等を活用し必要な情報を提供すること、新聞の記事などとして取り上げる際はそれぞれの候補者の公約等を掲載して比較できるようにするなどの工夫をすること、法令で定められている自由選挙の原則を踏まえ、アンケートの回答を任意にするなど配慮することの必要性について助言した。
D 清水委員 新聞局の活動を含め、主権者教育がしっかりと適正になされることを求めたい。
Q 清水委員 ことし夏には参議院選挙ということで、当該校の事案が全道に波及するかどうかというのは分からない。こうした事案の発生ということも捉えながら、夏の参議院選挙あるいは新聞局の報道が他の学校でもなされる可能性もある。今後、高校において、どのように主権者教育を進めていくのか伺う。
A 鈴木学校教育監 今後の主権者教育の取組について。道教委としては、選挙管理委員会と連携しながら生徒および保護者向けに作成したリーフレットを活用し、選挙のルール等について周知するとともに、各学校における模擬選挙や地方議会の視察等に関する学習の一層の充実を図っていく考え。
また、4年度から実施される学習指導要領において、自立した主体として他者と協働しつつ、国家、社会の形成に参画し、持続可能な社会づくりに向けて必要な力を育むこととなっていることを踏まえて、道教委ホームページで主権者教育に関する様々な好事例を掲載するとともに、全員が履修する新設科目「公共」での指導などを通じて、生徒一人ひとりが主権者として求められる力を身に付けることができるよう、一層の指導の充実に取り組んでいく。
(道議会 2022-06-03付)
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