道議会質疑 一般質問 3年12月3日
(道議会 2022-05-30付)

【質問者】

▼桐木茂雄議員(自民党・道民会議)

▼中川浩利議員(民主・道民連合)

▼赤根広介議員(北海道結志会)

【答弁者】

▼鈴木直道知事

▼三瓶徹保健福祉部長

▼京谷栄一保健福祉部少子高齢化対策監

▼森隆司環境生活部長

▼倉本博史教育長

=役職等は当時=

◆若年層のワクチン接種

桐木議員 12歳未満の子どもたちへの接種についても、薬事承認等を経て開始するとされている。若者をはじめとする未接種者への接種促進や、新たに対象となる子どもたちへの接種を含め、今後のワクチン接種について、道として市町村をどのように支援していく考えなのか伺う。

鈴木知事 12歳未満の子どもへの接種について。薬事承認など国の動きに関し情報収集するほか、若者をはじめとする未接種者への接種機会の確保に努めるとともに、接種の促進に向け、対象となる方々に応じて表現を工夫した情報発信を行うなど、医師会などの医療関係団体とも連携を図り、接種間隔の前倒しも含めた市町村における新たな課題やニーズを丁寧に伺いながら、地域の実情に即した接種が円滑に進むよう、きめ細かな支援に積極的に取り組んでいく。

D

桐木議員 3回目の追加接種の円滑な実施に向けて、自治体の課題やニーズに的確に応えるとともに、若者を中心とした未接種者への積極的な情報発信や、新たに接種が見込まれる12歳未満の子どもたちとその保護者には丁寧な説明を行うよう求める。

◆ケアラー支援

桐木議員 道のケアラー実態調査では、ヤングケアラーについて、本人に自覚がなく、周囲の理解度も低いなどの課題が明らかになっている。

 知事は、条例制定に向けたプロセスを道民と共有するとしているが、どのように条例づくりを進め、ケアラーに優しい地域社会の実現を目指していく考えなのか。

鈴木知事 ケアラー支援について。道は、これまで、実態調査の結果や有識者会議などでの議論の経過を広く情報発信するとともに、シンポジウムを開催するなど、道民のケアラーに対する関心や理解の促進に努めてきた。

 こうした取組に加え、ケアラー支援に関する道の考え方について、当事者や支援団体、学校、市町村の皆さんなどから意見を伺うほか、SNSなど様々な手法も活用しながら道内の隅々までケアラー支援の大切さが伝わるよう努め、多くの方々の声を反映し、ケアラー一人ひとりの事情や気持ちに寄り添った支援を行うための条例となるよう取り組んでいる。

 今後は、市町村や関係機関との連携をさらに強めながら早期発見や相談対応の充実を図るほか、この条例のもとケアラーの周囲の皆さんが一層の理解を深め、ケアラーを支え、ケアラーとその家族を地域で大切に見守る行動につなげていただくとともに、ケアラーが孤独にならないためにも、同じ苦労を重ねてきた方々が互いに共感し、年齢や置かれた状況に応じた悩み、負担が軽減される環境づくりを進めていく。

◆教員の確保等

桐木議員 教科担任制や少人数学級が進んで、子どもたちにきめ細かな指導が可能になり、教員の負担軽減も期待される一方、教員確保が全国的な課題となっている。本道でも、北海道を希望する小学校教員の受検倍率は、この4年間、1・3倍前後で推移していることから、採用がより厳しくなることが懸念される。

 教科担任制では、小規模校が多い道内の実情を踏まえ、近隣の小学校や中学校との連携など、研究指定校の取組を参考に進めることや、教員確保については、年次別の採用計画を立てて取り組むことなどが求められているが、円滑な推進や、これを見据えた教員の確保に向けて道教委はどのように取り組んでいく考えなのか伺う。

倉本教育長 教員の確保等について。国では、現在、小学校において、外国語、理科、算数などの特定教科における教科担任制を推進することとしており、道教委としても、専門性のある指導や複数の教員の指導によって授業の質の向上を図ることや、児童一人ひとりの多面的な理解を深めることなどを目的として、これまでの大規模校への教科担任の配置に加えて小規模校であっても効果的に活用することができるよう、地域内の複数の小学校を単位として教科担任制を実施するなど、地域や学校の実情に応じた教科担任制の円滑な推進に向け取り組んでいく。

 道教委としては、教科担任制を進めるための新たな定数配置にも対応できるよう国の教職員加配を活用するほか、今後は新たに採用数の中長期的な見通しを策定し、広く公表するとともに、教員採用選考検査の日程や会場などの見直しについて検討を進め、教職を目指す大学生が教職のやりがいを体感できる草の根教育実習や、高校生を対象とする教員養成セミナーなどの取組の拡充、学校における働き方改革の推進など、教職の魅力向上と発信に努め、これからの学校教育を担う教員の確保に取り組んでいく。

◆今後の高校教育

桐木議員 昨年1月の中央教育審議会の答申では、高校の特色化や魅力化などが提言され、これを踏まえて学校教育法施行規則の一部が3月に改正された。

 改正では、各高校に期待される社会的な役割や目指すべき学校像等をスクール・ミッションとしてあらためて定めることや、卒業までに育む資質・能力や教育課程の編成方針などをスクール・ポリシーとして体系的に示すこと、高校生の約7割が通う普通科には、複合的な分野を学ぶ学科や地域社会の課題を学ぶ学科を設置できることなどを示している。

 こうした高校の特色化などが求められている中、本道では、平成30年に策定されたこれからの高校づくりに関する指針に基づき、高校配置や再編整備が行われており、中学校卒業者数の減少による間口減や統廃合、地域特例校の存続などが地域の課題となっているが、毎年、各学区で開かれる地域別検討協議会では議論が十分に深まらずに終了している状況も見られる。

 少子化による中卒者の減少が今後も続く中で、地域の学びを保障する高校づくりをどのように進めていくのかは、地域づくりや地域の将来に関わる重要な課題であり、関係者による議論を深めていくため、高校づくりに関する指針のこれまでの取組を適切に検証するとともに、今回示された高校改革への対応なども踏まえて、新たな高校づくりに関する道教委としての考え方を明確に示す必要がある。どのように取り組んでいく考えなのか、教育長の所見を伺う。

倉本教育長 今後の高校教育の在り方について。これからの高校教育では、各学校に期待されている社会的役割等を表すスクール・ミッションに基づき、生徒一人ひとりが持続可能な社会のつくり手として活躍できるよう、教育活動を推進することが求められている。

 一方、本道においては、少子化が進む中、広域性や地域の実情などを考慮した高校の配置を検討する必要があり、特に地域連携特例校などの小規模校における入学者数の減少への対応が課題となっている。

 道教委としては、こうした国の動向や本道の課題に対応するため、有識者からなる検討会議を設置し、年度内に現行の指針に基づく取組を検証するとともに、今後の見直しの方向性を示し、それをもとに国の普通科改革を踏まえた現代的な諸課題に対応するための学習に取り組む新しい学科等の設置や、一定の圏域で高校の在り方について地域と共に考える新たな仕組みの構築、地域連携特例校の在り方を含めた地域における教育機能を維持するための方策について検討するなど、高校づくりに関する指針の見直しを行い、これからの時代に求められる高校教育の実現に向け、取り組んでいく。

◆いじめ問題

中川議員 2年度の道内の小・中・高校や特別支援学校におけるいじめの認知件数は約1万9000件、重大事態の件数は11件であり、前年度に比べて減少はしたものの依然として相当数に上っている。

 学校では、学校いじめ防止プログラム等を策定して対応しているものの、学校や地教委、児童相談所、警察、人権擁護機関等との連携強化、きめ細かな指導を行うための人員、マンパワーの不足は否めない。

 いじめ問題に対応するための教員定数の充実、およびICT支援員などの人員確保を迅速に行う必要があると考える。知事ならびに教育長の所見を伺う。

鈴木知事 いじめ問題への対応について。いじめは、児童生徒の心身の健全な成長と人格の形成に重大な影響を与える深刻な問題であり、インターネットを利用したいじめも含め、未然防止はもとより、早期発見と早い段階からの組織的な対応によって解決されることが重要である。

 このため、道では、実際に発生したいじめ重大事態にかかる学校の対応や問題点、その後の再発防止策などを参考事例として道内の公立、私立の各学校に周知しているほか、児童生徒一人ひとりに目が行き届き、きめ細かに対応するためには人材の確保と充実が重要であることから、定数措置の拡充や教員の負担を軽減するためのICT支援員の配置促進を国に要望するなど、道教委などと連携した取組を進めている。

 私としては、全国知事会や道教委とも一層連携を密にし、いじめ問題の解消に向けた学校の教育相談体制や地域の支援体制の充実などについて、あらゆる機会を通じ、国に提案や要望を行うなど、児童生徒がいじめに悩み苦しむことなく安心して学べる環境づくりに全力で取り組んでいく。

倉本教育長 学校における指導体制等の充実について。多様化、複雑化するいじめ等の未然防止、早期発見、早期対応に向けては、教職員が児童生徒と向き合う時間を確保しながら、心理や福祉、ICT等の外部の専門家や関係機関と連携のもと組織的に対応していくことが重要である。

 道教委としては、各学校がこうした対応に迅速かつ適切に取り組むためには人材の一層の確保が重要であり、児童生徒支援加配など教職員定数措置の拡充、スクールカウンセラー等による支援体制の充実、教員のICT活用への支援員の配置促進などについて、全国都道府県教委連とも連携し、国に対し、引き続き強く要望するとともに、児童生徒にいじめは絶対に許されないという人権感覚を育成する指導の徹底と、子ども相談支援センターやSNS相談などの活用促進を図り、いじめ根絶に向けた取組を推進していく。

中川議員 いじめ問題の解決のためには、学校や地教委など、関係機関との連携強化、そして、何よりもきめ細かな指導を行うための人材確保が欠かせない。

 答弁では、道および道教委の主体性が感じられない。

 滋賀県では、いじめ対策担当教員、子ども支援コーディネーターを独自に配置し、効果を上げている事例があることも承知している。

 人材確保の重要性を掲げる知事および教育長に、あらためて所見を伺う。

鈴木知事 いじめ問題への対応について。いじめは、未然防止はもとより、早期発見と早い段階からの組織的な対応が重要である。

 道では、いじめ重大事態にかかる取組事例を各学校に周知するとともに、いじめ問題の解消に向けた学校の教育相談体制や地域の支援体制の充実などについて全国知事会や道教委との連携をより一層密にし、あらゆる機会を通じ、国に提案や要望を行うなど、児童生徒が安心して学べる環境づくりに全力で取り組んでいく。

倉本教育長 いじめ問題への対応について。学校がいじめ問題に適切に対応するためには、教職員が心理や福祉、ICT等の外部の専門家と連携し、組織的に対応することが重要であり、道教委では、これまでも児童生徒支援加配やスクールカウンセラー等を配置して組織体制の強化に努めており、今後も、こうした人材の一層の確保に向け全国都道府県教委連とも連携し、国に対し重ねて強く要望しながら、いじめ等の未然防止、早期発見、早期対応に取り組んでいく。

中川議員 再質問では、本気でいじめをなくそうと思われているのか、不安を感じざるを得ない。

 全国都道府県教委連との連携によって国に強く求めることは大事だとしても、国が事業や人材確保などを手取り足取り用意してくれるわけではない。

 したがって、道教委が先頭に立って道内の市町村教委に効果的な制度や事業を提案できるような前向きさが必要と考える。他府県の先進事例を生かす取組の考え方について、あらためて教育長に伺う。

倉本教育長 いじめ問題への対応について。道教委では、市町村教委や学校がいじめ問題に適切に対応できるよう、これまでも、国内各地のいじめ対策にかかる事例集の活用をはじめとし、実態に応じた人材活用や組織的な対応等について指導助言に努めており、引き続き、いじめの状況に応じた効果的な取組を推進し、いじめの未然防止、早期発見、早期対応に取り組んでいく。

◆医ケア児支援

中川議員 医療的ケア児支援法が昨年6月に成立し、9月から施行された。

 法の施行に伴って、4年度、看護師配置のために文部科学省などの国の予算が増額に向けて調整されているとのことだが、看護師不足が言われている中で、確保に向けてどのように対応していくのか、知事ならびに教育長に伺う。

 また、本道の実態として、訪問教育や保護者の付き添いが多いとされている。この解消について、併せて教育長の所見を伺う。

鈴木知事 医療的ケア児への支援について。特別な支援を必要とする子どもたちが、幼児期から学校卒業後まで一人ひとりの教育ニーズに応じた適切な指導や支援を受けられる環境を整えることが大切である。

 現在、医療的ケア児が通学する全ての道立特別支援学校に必要な看護師を配置しているが、一部の小・中学校や保育所等においては、看護師などの確保が困難なことなどから、保護者に付き添いを求めているケースがあると承知している。

 このため、道としては医療的ケア児が居住する地域にかかわらず、適切な支援を受けることができるよう、課題やニーズを調査、把握するとともに、あらためて学校や保育所等の設置者に医療的ケア児支援法の趣旨を周知し、必要な看護師の配置を促進するほか、教員や保育士を対象とした研修を実施していく。

 また、道教委などと連携し、人材確保に努めるとともに、国に対し看護師の配置拡充にかかる予算措置等について要望を行うなど、医療的ケア児が安心して学べる環境づくりに取り組んでいく。

倉本教育長 医療的ケア児への対応について。札幌市を除く道内の公立学校のうち、医療的ケア児が通学する全ての道立特別支援学校に看護師を配置しているものの、約2割の小・中学校において看護師が未配置であることから、保護者に付き添いを求めている実態にあり、改善が必要と考えている。

 本道においては、施設入所や自宅療養中であることなどの理由から、道立特別支援学校20校で医療的ケア児に対して訪問教育を実施しており、一人ひとりの教育的ニーズや障がいの状態に応じた子ども同士の交流活動などにも十分配慮しながら、適切に対応するとともに、広域で医療資源が偏在している本道の課題を踏まえ、通学支援等にかかる支援措置の充実などについて国に対し強く働きかけていく。

 道教委としては今後、市町村教委や学校を対象とした研修会において、医療的ケア児支援法の趣旨を周知し、医療的ケア看護職員配置事業の活用による配置を促すほか、知事部局等と連携し、看護師の人材確保に努めるなど、医療的ケア児への支援が充実するよう取り組んでいく。

中川議員 答弁では、学校や保育所等の設置者に対し、法の趣旨を周知し、必要な看護師等の配置を促進するとしているが、学校への看護師配置にとどまらず、幅広で適切な支援を講じていかなければならない。例えば、訪問教育の割合が全国一高い本道においては通学支援制度の充実も求められる。

 道教委は2年前、保護者のニーズなどを把握し、個々の教育的ニーズに応じた通学手段が確保されるよう知事部局と連携しながら検討すると答弁しながら、具体的な施策については遅々として進んでいない。

 知事部局および道教委は、連携のもと、通学支援モデル事業の実施などを早急に開始すべきことを指摘する。

◆教職員の働き方改革

中川議員 教育長は、第2回定例会において、教育庁職員が直接出向いて道立学校の取組を参考に指導助言を行うなど、本年度内のできるだけ早期に在校等時間や改善策等を公表し、広く保護者や地域住民の理解と協力を得ながら働き方改革を推進することができるよう働きかけていくと答弁していた。その後の取組の成果はどのようになっているのか、また、特に在校等時間の公表をどのように解決へ結び付けようとしているのか伺う。

倉本教育長 働き方改革の推進について。道教委では、市町村教委における時間外在校等時間や改善策の公表の促進に向けて、道立学校の時間外在校等時間の公表資料を周知するとともに、本庁職員や各教育局の働き方改革チームが市町村教委を訪問して働きかけるなどしており、時間外在校等時間を公表している市町村は、3年1月には5市町村だったが、3年度内に53市町村が公表する予定となっている。

 道教委としては、時間外在校等時間の公表は、業務改善に取り組む上での基盤となるものであり、各学校における働き方改革の取組に対する保護者や地域の理解を得るとともに、教員が担っている業務のうち、保護者や地域が担っていただくことができるものについて協力を得るために重要であると考えている。公表によって地域との連携が進んでいる事例を紹介するなどしながら、各市町村教委に対し、できるだけ早期に時間外在校等時間を公表することについて強く働きかけ、働き方改革の推進につなげていく。

中川議員 学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」の重点項目として在校等時間が計測、記録され、公表されるよう積極的に取り組むと掲げられているにもかかわらず、ホームページ上で時間外在校等時間を公表している市町村は、現時点においてわずか8市町村にとどまっている。

 第2回定例会において、教育長は本年度内のできるだけ早期に在校等時間や改善策等を公表すると答弁していることから、道教委の指導性を強く発揮されるよう指摘する。

◆医療的ケア児

赤根議員 医療的ケア児およびその家族に対する支援は、医ケア児の日常生活および社会生活を社会全体で支えることを旨として行わなければならないなどの基本理念として、5項目にわたる規定が定められている。

 知事は、この基本理念の実現に向け、どう対応されるのか伺う。

鈴木知事 医療的ケア児およびその家族に対する支援に関する法律の基本理念の実現に向けた対応について。医療的ケアが必要な子どもたちやその家族が、それぞれの状況等に応じた適切な支援が受けられるよう、基本理念として社会全体による日常生活などへの支援をはじめ、居住する地域にかかわらず等しく適切な支援が受けられる施策などが法律で明記されたところであり、これらの理念を踏まえた一層の施策の推進が必要と認識している。

 道ではこれまで、第2期障がい児福祉計画に基づき、医療的ケア児等コーディネーターの養成や障がい保健福祉圏域における協議の場の設置など、様々な取組を行ってきた。今後はこうした取組に加え、市町村に対して医療機関や事業所、学校などの関係機関の協議の場の設置や、コーディネーターの配置を積極的に働きかけるほか、障がい者施策推進審議会の医療的ケア児支援部会での実効ある施策の検討、医療や福祉、教育機関等の連携強化、さらには、ケアラー支援のための条例の制定などにも取り組むなど、基本理念の実現に向け、社会全体で医療的ケアが必要な子どもたちやその家族を支える体制の構築に努めていく。

赤根議員 保育所や認定こども園の設置者等には、看護師または喀たん吸引等を行うことのできる保育士等の配置などが求められている。実態をどう把握し、支援を行っていくのか。

京谷少子高齢化対策監 医療的ケア児への保育について。道では、毎年国が実施している延長保育等実施状況調査によって道内における医療的ケア児の受入状況を把握しており、保育を必要とする医療的ケア児が年々増加してきていることから、地域の保育所などで受入体制を確保することは大変重要であると認識している。

 このため、医療的ケア児の受け入れを行う市町村に対しては、看護師などの配置に要する人件費や保育士等に対する喀たん吸引の研修経費を助成するなど、体制整備を支援してきた。2年度末時点で13市町村が受け入れを実施している。

 道としては、今後とも、保育所の利用を希望する医療的ケア児の受入体制が確保できるよう、こうした子どもたちの状況を毎年把握するとともに、受け入れを検討している市町村に体制整備に対する助成制度の活用を助言するなど、一層の受入拡大を働きかけていく。

赤根議員 特別支援学校等、教育の場における実態をどのように把握し、看護師等の配置等の環境整備にどう取り組むのか。

倉本教育長 学校における医療的ケア児への対応について。道教委では、学校における医療的ケア児の実態等にかかる調査を毎年度実施しており、札幌市を除く道内の公立学校には416人の児童生徒が在籍し、98人の看護師が配置されている。

 医療的ケア児が在籍する全ての道立特別支援学校に看護師を配置している一方、約2割の小・中学校において未配置となっていることから、関係市町村教委に対して医療的ケア児支援法の趣旨を周知し、国の医療的ケア看護職員配置事業の活用による配置を促すとともに、看護師を対象とした研修や医療的ケア指導医による学校への巡回相談等の一層の充実を図り、医療的ケア児および保護者への支援と学びの保障が図られるよう取り組んでいく。

赤根議員 医療的ケア児およびその家族の相談に応じ、関係機関への情報提供や研修などを一体として実施する医療的ケア児支援センターは、一日も早い設置が望まれる。いつころをめどに道は取組を進めるのか。

三瓶保健福祉部長 医療的ケア児支援センターについて。支援センターは、医療的ケアが必要な子どもたちやその家族に対して専門的な相談に対応するとともに、情報提供や助言などを行うほか、医療、保健、福祉、教育、労働などの関係機関に対する情報提供や研修など中核的な役割を果たす機関であり、様々な支援を進めていく上で重要な役割を担うものと考えている。

 現在、国において支援センターの効果的な運営の在り方などについて調査研究が行われている。道では、こうした情報の収集や他都府県における検討状況の把握に努めている。

 今後も、医療的ケア児支援部会や地域で活動するコーディネーターなどの意見も伺いながら、医療的ケアが必要な子どもたちやその家族に対して、それぞれの状況に応じたケアをさらに切れ目なく提供できるよう、必要な支援体制について速やかに検討していく。

◆子どもの貧困対策

赤根議員 対策を効果的に推進するため、平成28年から29年にかけて、札幌市と連携のもと、北海道大学の研究チームと共同で子どもの生活実態調査を実施している。

 調査結果は、その後の貧困対策にどのように生かされているのか。

 また、コロナ禍によって子どもの貧困状況も厳しさを一層増していることが懸念される。札幌市では、コロナの影響も含め、令和3年度、5年ぶりに実態調査を実施している。

 道でも前回同様の調査を実施すると承知しているが、札幌市との連携をどのように図りながら行うのか。

 さらに、2歳児および5歳児については4年度の調査となっている。子どもの生活実態を把握するためには一体的に調査を行うべきと考えるが、所見を伺う。

京谷少子高齢化対策監 子どもの生活実態調査について。前回の調査では、家庭の経済状況が子どもの進路に大きな影響を与えていることや、低所得者層ほど相談相手がおらず、孤立した状態で子育てをしている傾向にあることなどが明らかになったことから、令和2年を始期とする第2期道子どもの貧困対策推進計画に、生活保護世帯等の大学進学率の向上や、相談相手のいない独り親家庭を減少させるなどの目標を新たに設定し、関連施策を推進してきている。

 3年度に北大と共同で実施している調査については、前回同様、企画段階から札幌市を含めた3者で協議してきた。全道分の調査結果を集計し、分析することとしている。

 また、2歳および5歳の乳幼児に関する調査については、北大とも協議の上、前回調査から5年後の推移を見ることが必要と判断し、4年度の実施予定とした。

赤根議員 先ほども申し上げたとおり、コロナ禍の長期化によって子どもたちの貧困の状況が一層厳しさを増していることが懸念される。

(道議会 2022-05-30付)

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