道議会質疑 一般質問 3年12月6日(道議会 2022-06-01付)
Q 質問 Question
A 答弁 Answer
P 指摘 Point out
O 意見 Opinion
D 要望 Demand
【質問者】
▼宮下准一議員(自民党・道民会議)
▼宮崎アカネ議員(民主・道民連合)
▼林祐作議員(自民党・道民会議)
▼森成之議員(公明党)
【答弁者】
▼鈴木直道知事
▼藤原俊之総務部長兼北方領土対策本部長
▼北谷啓幸建設部長
▼扇澤昭宏警察本部長
▼倉本博史教育長
=役職等は当時=
食育・地産地消
Q 宮下議員 道はこれまで、道産農産物を道内で消費する地産地消や愛食運動、食育などの取組を推進してきたと承知している。コロナを契機とした国産農産物への回帰に向けた機運をさらに強固なものにするためには、農作業体験など、子どもたちへの食に対する学習の場の提供などを通じて、日ごろから道産農産物を身近な存在として感じてもらう取組が必要である。知事の所見を伺う。
A 鈴木知事 食育や地産地消について。わが国最大の食料供給地域である本道において、食に関して主体的に行動できる力を身に付ける食育の推進は、農業や農村への理解を深め、地産地消を進めるためにも重要と認識しており、作物の生育を学ぶとともに、栽培を体験する教材の配布などの食育と「どんどん食べよう道産DAY」などの愛食運動を官民一体となって展開してきた。
こうした中、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大は、安全・安心な食料を安定的に供給することの重要性や、地域の素晴らしい食の価値と魅力をあらためて見つめ直す機会となったことから、現在、道産食品を積極的に紹介する「がんばれ!道産食品ポータルサイト」の充実に加え、百貨店や飲食店等と協力して、道内でのPRや消費拡大を促進する「今こそ食べよう!北海道」キャンペーンを行っている。
道としては、今後とも、将来の本道を支える子どもたちに、命の源である食を供給する農業の大切さを伝え、共感を広める食育の取組を関係団体などと連携して着実に進め、地産地消を力強く推進していく考え。
◆幼児教育
Q 宮下議員 幼児教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う上で極めて重要であることから、全ての幼児教育施設において質の高い幼児教育が受けられるようにすることが重要である。
幼児教育施設の多忙な状況を考えると、たとえコロナ禍が終息しても、学びを深めたい保育者にとっては有意義なものと考える。
今後も一層、園内研修を充実するためにどのように支援していく考えなのか、教育長に伺う。
A 倉本教育長 保育者の資質・能力の向上について。幼児教育の質の向上を図るためには、日ごろの保育活動や研修を通して保育者個々の資質や専門性を高めるとともに、その成果を組織として共有し、施設全体の教育力を高めることが重要である。
こうした中、新型コロナウイルス感染症の影響によって、公開保育など他の施設の保育を学ぶ機会が減少していることから、道教委では3年9月からICTを活用した研修の一環としてオンライン公開保育を開始し、これまで地域を越えて保育実践に触れられることや、他の園の取組を参考に保育を話し合えるといった声が寄せられるなど、一定の成果が見られている。
今後は、こうしたオンライン公開保育の利点を生かし、これまで対象としていなかった各市町村や小学校などの職員にも拡充するとともに、各施設が後日、視聴することができるよう、新たにオンライン公開保育視聴サイトを年内にも開設し、園内研修の活性化を図るほか、施設内で研修を推進する中核的な人材の育成を進めるなど、保育者のスキルアップや幼児教育の質の向上に努めていく。
◆病児保育
Q 宮崎議員 日ごろ、子どもを保育所や学童保育に通わせている場合、その子どもが病気になったときは発病している子どもを通わせることができなくなる。
共働きの家庭やひとり親家庭など、近くに子どもを預けることができない、親族など頼れる方がいない場合は、仕事を休まざるを得ない。
正規、非正規を問わず、仕事を休みづらい環境にある人にとって病児保育事業は重要な制度だが、一方で、一施設当たりの利用定員が少ないことや事前の予約が必要など、保護者からは利用しづらいといった声も聞こえる。
道は、今後、病児保育事業の取組の推進に向け、どのように対応していくのか伺う。
A 鈴木知事 病児保育について。子育てと仕事を両立している家庭の子どもが病気をした際でも適切な保育と看護を確保するためには、病児や病後児を受け入れる病院や保育所などを整備していくことが重要であると認識している。
このため、道では市町村が地域の保育ニーズを把握し策定した子ども・子育て支援事業計画に基づき基盤整備を進めており、病児保育事業を実施する市町村に対しては、施設の開設準備や運営にかかる経費を助成している。
今後とも、病児保育に関する助成制度の周知や事例紹介などを通じて市町村の取組を促すとともに、施設の利用状況をリアルタイムに確認できるシステムの導入など、保育所等のICT化を促進することとしており、どこに住んでいても病児等を円滑に受け入れることができる体制を整備し、働きながら安心して出産や子育てができる環境づくりを進めていく。
D 宮崎議員 病児、病後児の受入体制について、働きながら子育てをされている家庭にとって、なくてはならない取組。引き続き体制整備の充実に向けて取り組まれるよう求める。
男性の育休促進
Q 宮崎議員 厚生労働省の統計によると、北海道における出生数は毎年1000人から1500人程度減少しており、コロナ禍による出生数への影響が懸念されている。
3年6月に改正育児・介護休業法が成立し、4年4月から施行されるが、男性版産休制度とも言われる出生時育児休業が新設され、ワンオペ育児と言われる女性の負担軽減に期待が寄せられている。
制度改正における道の受け止めと、今後どのように男性の育児休業の取得促進に取り組んでいくのか伺う。
A 鈴木知事 男性の育児休業の促進について。このたびの育児・介護休業法の改正によって、新たにいわゆる産後パパ育休が導入されたほか、事業主に対し従業員の制度利用を促す措置を講じることを求められたところであり、男性の育児参加に向けた環境づくりにつながるものと考えている。
道では、これまで、国や道の支援策を紹介するハンドブックの作成・配布や、男性の育児休業の取得状況を評価する企業認定制度の普及に取り組んできたほか、3年度からは各振興局において専門家による相談窓口を設置した。
今後、関係団体と共に改正法の内容を紹介し、男性の育児休業取得の機運醸成を図るフォーラムを開催することによって男女が共に仕事と子育てを両立できる環境の整備に向け、取組を進めていく。
◆教育ICT化
Q 宮崎議員 国のGIGAスクール構想では、Society5・0時代を生きる子どもたちにふさわしい、全ての子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現するため、学校における児童生徒1人1台端末と高速大容量の校内通信ネットワークの一体的な整備が進められた。
そうした中、毎日、端末を活用しながら学習している学校もあれば、週に数回しか活用していない学校もあるなど、1人1台端末の活用はそれぞれの教員の力量任せとなっている。
全ての教員に、端末などICT機器等を活用する基本的なスキルが蓄積されていない状況と考えているが、本道における1人1台端末の活用状況と併せて、教員のICT活用指導力の現状や向上に向けた取組について伺う。
A 倉本教育長 ICTの活用にかかる状況等について。道内では全ての小・中学校等において端末の活用が進められている。
3年度始まったGIGAスクール構想による1人1台端末の活用については、各学校の活用方針や校内研修、教員間の経験などで違いがあることから、道教委としては教職員や市町村教委の職員を対象とした効果的なICT活用などに関する研修を充実させるとともに、ICTにかかる実践研究やポータルサイトによる情報発信などを通じて効果的な事例の普及を図るなど、教員一人ひとりのICT活用指導力の向上に努め、各学校における教育活動の改善に取り組んでいく。
Q 宮崎議員 既にICTを活用した教育が始まっている現状がある中、教員や学校、市町村でそれぞれのICTの活用方法の差によって子どもたちの学力の差につながるとすれば、おのずと教員が1人1台端末を使わない授業が日常となる恐れがある。
ICT支援員は、国の地方財政措置において4校に1人の配置を目標水準としているが、本道では地域によっては人材確保が難しいことなどによって配置が進んでいないものと考える。
ICT支援員など、学校のICT活用を支援する外部人材の確保に向けた取組や、そうした外部人材への支援について伺う。
A 倉本教育長 ICT支援員の確保等について。教員がICTを効果的に活用して児童生徒の学びの質を高める授業を進めるためには、ICT活用に関する日常的なサポートや児童生徒への技術的なアドバイスを行うICT支援員等の効果的な活用が大切である。
こうした中、ICTに関して幅広い知識等を有する人材の確保は地域によっては難しい状況もあることから、道教委では本庁にICT活用サポートデスク、教育局に担当窓口を設置するなど人材確保を含めた相談に対応しているほか、現在配置している学習指導員やスクール・サポート・スタッフ等を対象としたICT研修会の実施など、人材育成に向けた取組を進めるなど、引き続き各市町村教委が学校のICT活用を円滑に進めることができるよう、人材確保に向けた支援に一層取り組んでいく。
Q 宮崎議員 GIGAスクール構想によって学校のICT環境が整備された状況を踏まえ、小・中学校の特別支援学級の子どもたちの指導に当たっても、ICTを活用することで子どもたち一人ひとりの状況に応じた指導の充実を図ることが大切だと考える。
また、特別支援学級の子どもたちの中でも、強い好奇心や感受性、豊かな想像力などを持つ子どもたちは、ICTを活用することによって能力を伸長できる場合もあると考える。
子どもたちの特性に合った指導ができるよう、特別支援学級におけるICTを活用した教育の実現に向け、どのように取り組むのか伺う。
A 倉本教育長 特別支援学級におけるICTの活用について。障がいのある児童生徒が個々の才能を伸ばしながら豊かに学んでいくためには、障がいの状態等に応じて教材の拡大や音声の補助などによって思考を促したり理解を深めたりするなどICTを有効に活用し、個々の能力や特性に応じた指導内容、指導方法を工夫することが重要である。
道教委では、道立特別支援教育センターのホームページ等を活用して先進的な学校の取組を紹介するほか、それぞれの特性等に応じた学習活動を促す動画教材を普及するとともに、ICTの利活用に関する研修会を実施して教職員の専門性の向上に努めている。
今後も引き続きこうした取組の充実に努めるほか、指導主事の学校訪問などを通じて特別支援学級等においてICTの活用によって児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた学びが一層充実するよう、支援に努めていく。
◆いじめ問題
Q 宮崎議員 元年6月に旭川市内の女子中学生が川に入水した事案につき、現在、前旭川市長の指示によって第三者委員会が設置され、いじめの有無、少女の死亡との因果関係について慎重に調査されていると承知しているが、現時点で結論は出ていない状況にある。
元年9月に旭川市教委から報告を受け、道教委はいじめの疑いがあるという認識のもと、いじめを認知した場合の対応について指導助言しているが、報告を行った市教委はいまだにいじめの認識には至っていないとしており、両者の認識はかみ合っていない。
どうしてこのような事態になったのか、指導助言を行った教育長の見解を伺うとともに、知事は過日の記者会見で道教委のいじめの疑いに対し同感と発言されているが、仮に元年9月の認識としての発言だとしても、その後、同生徒が亡くなられた事故について第三者委員会で調査が行われている最中なだけに、中立、公正を期する第三者委員会に対する無用な圧力になってはならないと懸念する。
知事は、そのようなことは認識せず発言されたのか、見解を伺う。
また、第三者委員会による結果を真摯に受け止めるとともに、子どもたちの心のケア、いじめによる痛ましい事故が再び起きないよう対策することが極めて重要と考える。
道教委として今後どのように対応されるのか教育長の所見を伺う。
A 鈴木知事 いじめ問題への対応について。道教委では旭川市教委から報告を受けたあと、いじめの疑いがあると判断し、これまでも市教委に対して、学校はいじめとして認知し、方針を保護者と共有して対応する必要があると指導してきているものと承知している。
私としても、ささいな兆候であってもいじめの疑いがある場合は積極的に認知するとともに、速やか、かつ保護者の心情に配慮しながら丁寧に対応することが重要であると考えている。
現在、旭川市教委において進められている第三者委員会でのいじめ重大事態調査については、いじめ防止対策推進法の趣旨を踏まえ、公平性、中立性の観点から対応がなされるものと考えている。
遺族の思いに寄り添いながら調査を進めていただき、事案の全容解明に取り組んでいただきたいと考えている。
A 倉本教育長 いじめ問題への対応について。いじめの早期発見は、いじめへの迅速な対処の前提であり、学校は、ささいな兆候であっても、いじめではないかと危機感を持ち、早い段階からいじめを積極的に認知し組織的に対応することが重要である。
当時、旭川市教委は、いじめの認知には至っていないと判断していたが、道教委は当該生徒が他の生徒から与えられた行為によって心身の苦痛を感じている可能性があると考え、いじめの疑いがあると判断し、市教委に対し事実関係の把握を行い、いじめとして認知して対応するよう指導助言したが、市教委の認識は変わらなかったものである。
道教委としては、全ての教育委員会と学校が、いじめはどの子どもでも、どの学校でも起こり得るとの意識を持ち、子どもたちに、いじめは絶対に許されないという人権感覚を育むことが重要と考えており、今後も学校はもとより教育委員会や家庭、地域が一体となって、いじめ根絶の取組を徹底して行うことができるよう努めていく。
Q 宮崎議員 道教委と旭川市教委の認識の食い違いについて、なぜ埋められなかったのか、とても残念である。
なぜ食い違いの溝を埋める努力を惜しんだのか、再度伺う。
A 倉本教育長 いじめ問題への対応について。道教委は、旭川市教委に対し、いじめの認知について確認を求めたが、いじめとの判断には至っていないとの回答であったために、あらためて、いじめとして認知して対応するよう指導助言してきており、道教委としては市教委に対し、道教委と考えを共有して対応するよう継続的な指導助言に努めてきた。
いじめ問題への対応は、いじめ防止に関する法や条例等の趣旨を踏まえて対応することが重要であり、道教委としては今後も市町村教委や学校といじめの認知についての考えや初動対応の重要性について考えを共有するとともに、いじめの疑いがある場合には学校や教育委員会が速やかに対応することができるようきめ細かに指導助言していく。
Q 宮崎議員 いつ起こるか分からないいじめに対して、子どもたちと向き合う教職員の時間的な確保やそれを補うための教職員等の増強、さらに専門員などの確保など具体的な取組を聞かせいただきたいのと併せて、本道においていじめをなくすといった教育長の強い決意を伺う。
A 倉本教育長 今後の取組について。学校がいじめの未然防止や早期発見、早期対応の取組を徹底するためには、教職員がいじめ対策組織を中心として一体となって取り組むとともに、心理や福祉等の専門家と連携して対応することが重要である。
道教委では、これまでも学校に対していじめなどの生徒指導上の諸課題に適切に対応するための児童生徒支援加配や、教育相談体制の充実に向けたスクールカウンセラーの派遣などの取組を計画的かつ継続的に進めており、今後も引き続き全国のいじめ対策事例の資料なども参考にするなど市町村教委と連携し、より効果的な取組を進め、いじめの根絶に力を尽くしていく。
Q 林議員 道におけるいじめ問題の解決に向けた認識について、いじめは学校内だけで解決できる問題ではなく、教育委員会や各家庭の協力は必須である。特に先般のいじめの問題があってから、国民の認識としては、教育委員会が被害を受けた生徒に寄り添うのではなく、学校側に寄り添っているように感じているのではないか。
教育行政における学校に対する教育委員会の立場を明確にする必要があると考える。教育長の認識について伺う。
A 倉本教育長 教育委員会の役割について。学校の設置者である教育委員会は、学校が行う教育活動や学校運営について管理する立場にあることから、日ごろから学校ときめ細かに連携し、必要な指導を行うことが大切である。
とりわけいじめ問題については、児童生徒の心身の健全な発達に重大な影響を及ぼし、不登校や自殺などを引き起こすきっかけになりかねないことから、教育委員会は学校がいじめの未然防止および早期発見、早期対応に適切に対応することができるよう、的確な指導や効果的な研修の実施などの必要な措置を講ずる責務を有している。
Q 林議員 いじめの性質も変化する中、教育委員会においては、近年の具体的事例と解決方法をいくつも把握されていると思う。
それを、新たに事例集としてより多く集めてホームページ等で公開し、周知できれば、より多くの子どもたちが救われる可能性を高めることにつながると考える。
道教委として積極的に取り組むべきではないか、教育長の所見を伺う。
A 倉本教育長 いじめ問題への対応事例について。いじめの早期発見、早期対応のためには、家庭において保護者が、ささいな兆候であってもいじめではないかと感じた場合には、学校や教育委員会に速やかに、かつ気兼ねなく相談いただき、適切な対応につなげる体制づくりが重要である。
道教委では、これまで学校や市町村教委に対し、いじめ解消に関する効果的な対応事例を周知し、早期発見、早期対応に向けた取組について指導助言してきた。
今後は、家庭と学校、教育委員会が互いに信頼関係を構築し、連携していじめの解消に取り組んだ効果的な事例を道内外から収集するとともに、道教委のホームページや広報誌などを通じて保護者に広く周知し、教育委員会への積極的な相談を働きかけるなど、家庭と教育委員会や学校が一体となったいじめ根絶に向けた取組を進めていく。
Q 林議員 学校や教育委員会の役割と今後の対応について、学校で起きるいじめも含めたあらゆる問題について、学校と市町村教委の役割分担が明確になっていない現状があると考える。
学校の問題については学校長が対応するという考えもあるが、いざ事が起きたときには教育委員会に対応が求められる場合もあり、相互の役割が不明確になるなど問題への対応が進まなくなることがある。
学校で起きた問題に対して、最終的な対応者は誰になるのか。
また、このことを明確にすることで報告漏れ等の初歩的ミスの改善にもつながり、冷静な視点を持って、いじめ等の諸問題を早期に発見し、解決していくことにもつながると考える。あらためて、子どもたちの安全・安心と教育現場の先生方を守るためにも、こうした役割について学校現場はもちろん、多くの道民への周知が必要だと考える。道教委としての認識と、今後のいじめ未然防止と解決策について伺う。
A 倉本教育長 いじめ問題への対応について。学校は保護者などと連携を図り、いじめの未然防止、早期発見、早期解消のため適切かつ迅速に対処する責務を有し、教育委員会は学校への適切な指導および必要な措置を講ずることによって児童生徒の安全・安心を確保し、最終的に設置者としての責務を果たすことになる。
道教委としては、いじめ問題に適切に対応するためには、学校と教育委員会がそれぞれの役割を確実に果たすとともに、日常的に家庭、地域、関係機関の連携協力を得て、より効果的な取組を進めることが大切と考えており、道PTA連合会や社会教育団体等の関係機関による道いじめ問題対策連絡協議会から意見をいただきながら、いじめ根絶等に向けた具体的な取組を加速していく。
プロスポーツチームとの連携
Q 林議員 道内を本拠点とするプロスポーツチームは、北海道日本ハムファイターズ、北海道コンサドーレ札幌、レバンガ北海道、ヴォレアス北海道など、様々なチームが様々な競技で大活躍している。ポストコロナを意識して、プロスポーツチームとの連携強化と情報発信に積極的に取り組むべきと考える。知事の所見を伺う。
A 鈴木知事 プロスポーツチームとの連携について。本道には平成8年以来、サッカー、野球、バスケットボール、バレーボールなど様々なプロスポーツチームが誕生し、その存在は道民に夢と感動を与えるだけでなく、スポーツ人口の裾野の拡大など地域のスポーツ振興に大きく寄与しているものと認識している。
道では、これまでプロチームの選手と連携し、スポーツの楽しさや魅力を体験できるよう全道各地でスポーツ教室を開催するほか、コロナ禍によって各種スポーツイベントが延期または中止となっていた状況の中で、ホームページから選手の応援メッセージの発信などを行った。
道としては、今後とも子どもたちとの触れ合いの機会の創出やプロスポーツチームの発信力の活用に協力いただくとともに、それぞれのチームと連携を深めながら道民とスポーツをする喜びや見る感動を共有し、プロスポーツに対する応援の輪がさらに広がるように取り組んでいく。
私立高校生への修学支援
Q 森議員 今日、コロナ禍が長期化する中で収入が急激に落ち込むなど、私立高校に魅力を感じていても経済的な事情によって進学を断念せざるを得ない人も少なくないものと考える。
コロナ禍において、これら家計が急変した世帯に対し、これまで道としてどのような支援を行ってきたのか伺う。
A 藤原総務部長兼北方領土対策本部長 私立高校生への修学支援について。道では私立高校に通う生徒が安心して教育を受けられるよう、教育にかかる経済的負担の軽減を図るため、国の就学支援金制度や奨学給付金制度と道の授業料軽減補助金の組み合わせによって、所得が一定水準を下回る世帯を対象に、授業料や教科書費、教材費などの授業料以外の教育費への支援を行っている。
また、保護者の失職、倒産や、新型コロナウイルス感染症の影響などによる減収で家計が急変した世帯に対しても、同様に授業料や授業料以外の教育費への支援を行っている。
道としては、こうした支援制度の内容をまとめた保護者向けの資料を学校を通じて各家庭に配布するとともに、道のホームページにも掲載するなど、支援が必要となる世帯が制度を円滑に活用していただけるよう周知徹底に努めていく。
Q 森議員 私立高校生のいる世帯における家計急変の状況はどのようになっているのか伺う。
A 藤原総務部長兼北方領土対策本部長 私立高校に通う生徒がおり、家計が急変した世帯の状況等について。道では国や道の支援制度によって私立高校生がいる家計急変世帯への支援を行っているところであり、対象世帯から提出される申請書や生活状況にかかる申立書によって、世帯の状況や家計急変に至った事由を把握している。
道の授業料軽減補助金制度においては、家計急変による申請があったのは3年度9月末現在で60件となっており、このうち新型コロナウイルス感染症の影響による失職や減収が27件あり、割合として45%となっている。
今後とも、こうした申請書類による確認に加え、学校に対するヒアリングや生徒の状況に関する概況調査とともに私学団体からも状況を伺うなど、家計急変世帯の状況などについて、きめ細かく実態の把握に努めていく。
Q 森議員 2年4月からスタートした国の制度では、年収590万円未満程度の世帯を対象として私立高校の授業料が実質的に無償化されているが、一方で全国においては、東京都では年収910万円未満、埼玉県では年収720万円未満の世帯を対象とするなど、国の基準を超え、積極的な支援策が講じられている。
知事は、これら全国の実態についてどのように認識されているのか。
また、道においても、独自で世帯の年収要件を拡充し、無償化の対象拡大を図るべきと考える。私立高校生に対する就学支援金制度の充実についてどのように取り組んでいくのか。
A 鈴木知事 私立高校生への修学支援について。道では、これまでも、国の就学支援金制度と道の授業料軽減補助金を組み合わせるなど、私立高校生への修学支援に取り組んできた。他都府県においても、それぞれの地域の実情に応じて独自の支援に取り組まれているところもあると認識している。
道においては、道内の私立高校の平均授業料の状況などを踏まえ、3年度から年収590万円未満程度の世帯に対する道の補助額を月額500円から2000円に引き上げ、施設整備費等の納付金も含め実質無償化するなど制度の充実を図り、保護者の負担の一層の軽減に努めている。
私としては、こうした措置などを通じ、私立高校に通う生徒が家庭の経済的事情に左右されることなく安心して教育を受けられるよう、全国知事会などとも連携しながら国に対して就学支援金制度のさらなる充実を要望するとともに、引き続き限られた財源を効果的かつ効率的に活用しながら必要な支援に努めていく。
◆高校改革
Q 森議員 各高校の特色化、魅力化を図るためには、各学校の存在意義や各学校に期待される社会的役割、目指すべき学校像を明確化する形で再定義することが必要であると考える。
そのため、いわゆるスクール・ミッションの再定義や、スクール・ミッションを踏まえた各学校におけるスクール・ポリシーの作成が求められている。道教委はどのように対応していく考えなのか伺う。
A 倉本教育長 スクール・ミッション等の作成について。高校において技術革新の進展や人口減少等によって生じる社会的・経済的課題に対応し、将来の社会をけん引する生徒を育成するためには、学校の教育活動のみで完結させるのではなく、域内の幅広い教育資源を最大限に活用した特色、魅力ある教育を行うことが重要である。
このため、国では社会や地域の実情に応じて各高校の存在意義や期待される社会的役割、目指す学校像を明確化することの必要性を示したことから、道教委は各高校の特色化、魅力化の実現に向け、あらためて地域との役割等を確認、共有した上でスクール・ミッションを再定義し、通知した。
今後、各学校はスクール・ミッションを踏まえ、教育活動の継続性を担保するため育成を目指す資質・能力に関する方針、教育課程の編成および実施に関する方針、入学者の受入に関する方針、いわゆるスクール・ポリシーを3年度末までに公表することとしており、生徒の可能性および能力を最大限に伸長していくための高校の特色化、魅力化を一層推進するよう取り組んでいく。
Q 森議員 高校の多くの生徒が在籍する普通科においても改革を進めることが求められているものと承知している。道教委として、どのように受け止め、どのように対応しようとしているのか。
A 倉本教育長 普通科改革に向けた取組などについて。国では約7割の高校生が在籍する普通科を設置する各高校が特色化、魅力化に取り組むことを推進する観点から、4年度以降、学際領域に関する学科や地域社会に関する学科などを新たに設置することを可能とした。
こうしたことを踏まえ、道教委では社会の変化や多様な学習ニーズ等に対応することなど、生徒や地域の実情に応じた特色ある普通科教育を推進することが重要と考えており、生徒や保護者を対象とし実施している高校教育に関するアンケートの分析結果や、今後設置する外部有識者会議での議論等を踏まえながら国の普通科改革に対応し、本道におけるSDGsの実現や地域社会が抱える諸課題の解決を目指した学習に取り組む学科の設置など、生徒の学ぶ意欲が高まる本道にふさわしい普通科の在り方について検討していく。
◆通学路の安全対策
Q 森議員 3年6月、千葉県八街市でトラックが下校中の小学生の列に突っ込み、児童が死傷する痛ましい事故が発生し、各市町村教委においては国の通知に基づき通学路の合同点検を実施したものと承知している。
先の文教委員会において、ことし10月末時点での通学路の合同点検結果について、対策必要個所を有する市町村が149市町村で、対策必要個所の合計が1705ヵ所との報告があった。今回の点検結果について道教委はどのように受け止めているのか伺う。
A 倉本教育長 通学路の合同点検結果について。千葉県で発生した通学路での事故を踏まえ、道内の学校、教育委員会、道路管理者、地元警察署等の関係機関が連携して実施した合同点検では、速度が上がりやすい個所や、ヒヤリ・ハット事例があった個所、保護者や地域住民から改善要請があった個所など、全道で1700余りの個所で対策が必要と判断された。
道教委としては、こうした多くの対策必要個所について各関係機関などが責任を持って確実に対策を講じ、それぞれの地域における登下校時の児童生徒の安全確保を早急に図る必要があると考えている。
Q 森議員 今回の合同点検の結果を踏まえ、今後、交通安全教育を担う学校、教育委員会はもとより、道路の改良、整備を担当する道路管理者、さらに信号機の設置などを所管する警察など各関係機関が一層の連携を図り、一刻も早く対策を講じることが必要と考える。
今後どのようにして通学路における子どもたちの安全・安心に取り組んでいく考えなのか、知事、教育長、警察本部長の所見を伺う。
A 北谷建設部長 通学路における安全確保について。将来を担う子どもたちを交通事故から守るためには、安全で安心な道路交通環境の整備が重要と認識している。道では、これまでも道教委や道警等と連携し、交通安全対策を進めてきた。
こうした中、千葉県の通学路で発生した交通事故を踏まえて、地元市町村の教育委員会や警察署、道路管理者が連携し、札幌市を除く全道の公立小学校の通学路について合同点検を実施した結果、道路管理者による対策が必要とされた個所は、3年10月末時点で461ヵ所、このうち道道において防護柵や標識の設置、歩道の整備などの対策が必要な個所は96ヵ所であり、これまでに減速を促す路面標示や樹木剪定による見通し確保などの早期に対応が可能な対策について12ヵ所で完了した。
道としては、引き続き関係機関との連携を密にしながら残りの個所についても可能なものから速やかに着手し、通学路における交通安全の確保に努めていく。
A 倉本教育長 通学路の安全対策について。登下校時の児童生徒の安全確保のためには、学校、教育委員会が、家庭や地域、警察などの関係機関などと連携して取り組むことはもとより、児童生徒が自らを守ることができるよう、危険を予測し、回避する能力を身に付ける安全教育の充実を図ることが重要である。
このため、道教委としては、道関係部局や道警等との連携を一層強め、連絡会議を定期的に開催し、それぞれの対策状況を継続的に把握して、必要な改善策を講じるとともに、市町村教委に対し、地域住民の協力による通学路の見守り活動の推進や道警と連携した体験型の交通安全教育の充実など、通学路交通安全プログラムに基づいた対策を計画的に実施するよう働きかけることなどを通して通学路の安全対策の徹底を図り、地域全体で子どもたちの安全・安心を確保する取組を進めていく。
A 扇澤警察本部長 通学路における安全・安心の確保への取組について。道警では、次世代を担う子どものかけがえのない命を守ることは、重要な責務であると認識しており、これまでも様々な対策を講じてきた。
先般の悲惨な交通事故を受けて実施した合同点検では、3年10月末現在、道警による対策が必要とされた213ヵ所のうち84ヵ所について、横断歩道の新設や塗り直し、歩行者用灯器の増設などの対策を実施した。残りの個所についても速やかに実施していく。
道警としては、子どもが犠牲となる痛ましい交通事故が起きることのないよう、自治体や学校、道路管理者等の関係機関と緊密に連携して交通安全施設の整備に努めるとともに、交通安全教育や交通指導取り締まりといったソフト対策も並行して実施するなど、地域の実情に応じた効果的な対策を推進し、通学路における安全・安心な通行空間の確保に向けた交通安全対策に万全を期していく。
(道議会 2022-06-01付)
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【質問者】 ▼赤根広介委員(北海道結志会) ▼大越農子委員(自民党・道民会議) ▼小泉真志委員(民主・道民連合) ▼松山丈史委員(民主・道民連合) ▼清水拓也委員(自民党・道民会議...(2022-06-03) 全て読む
道議会質疑 文教委員会(3年12月15日)
【質問者】 ▼大越農子委員(自民党・道民会議) ▼宮川潤委員(日本共産党) 【答弁者】 ▼池野敦教育部長 ▼唐川智幸学校教育局長兼ICT教育推進局長 ▼柴田亨高校教育課長兼ICT...(2022-06-02) 全て読む
道議会質疑 一般質問(3年12月7日)
Q 質問 Question A 答弁 Answer P 指摘 Point out O 意見 Opinion D 要望 Demand 【質問者】 ▼太田憲之議員(自民党・道民会議)...(2022-06-02) 全て読む
道議会質疑 一般質問 3年12月3日
【質問者】 ▼桐木茂雄議員(自民党・道民会議) ▼中川浩利議員(民主・道民連合) ▼赤根広介議員(北海道結志会) 【答弁者】 ▼鈴木直道知事 ▼三瓶徹保健福祉部長 ▼京谷栄一保...(2022-05-30) 全て読む
道議会質疑 文教委員会(3年11月29日)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼大越農子委員(自民党・道民会議) ▼宮川潤委...(2022-05-26) 全て読む
道議会質疑 文教委員会(3年11月29日)
Q 質問 Question A 答弁 Answer P 指摘 Point out O 意見 Opinion D 要望 Demand 【質問者】 ▼小泉真志委員(民主・道...(2022-05-25) 全て読む
札幌市教委 3年度教職員相談室 相談件数81件増371件 「仕事」が最多51件増155件
札幌市教委は、3年度教職員相談室の利用状況をまとめた。相談件数は、前年度比81件増の371件。相談内容では「仕事」が155件で51件増、「健康」が87件で11件増加。「仕事」では、「人間関...(2022-05-17) 全て読む
道議会文教委員会(令和4年5月10日) 財源措置拡充し相違ない支援を 就学援助制度の利用
就学援助制度の利用が取り上げられた。 文部科学省の2年度就学援助実施状況調査によると、道内の要保護児童生徒数は8630人で公立学校全体に占める割合は2・43%と全国で一番高い。要保護・...(2022-05-16) 全て読む