道議会質疑 文教委員会(3年11月29日)
(道議会 2022-05-26付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼大越農子委員(自民党・道民会議)

▼宮川潤委員(日本共産党)

【答弁者】

▼鈴木淳学校教育監

▼櫻井良之学校教育局高校配置担当局長

▼中澤美明学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長

▼柴田亨高校教育課長兼ICT教育推進課長

▼岡内誠高校教育課配置・制度担当課長

▼泉野将司健康・体育課長

▼伊藤伸一生徒指導・学校安全課長

▼笠井浩総務部総合教育推進課長

=役職等は当時=

◆児童生徒の体力向上

Q大越委員 全国体力・運動能力、運動習慣等調査の分析結果を踏まえ、特に持久力やスピードなどの体力向上を図るための縄跳びを中心とした、どさん子元気アップチャレンジの取組を進めるとのことだが、これまでの取組状況について伺う。

A泉野健康・体育課長 これまでの体力向上に向けた取組について。道教委では、子どもたちが生涯にわたって運動に親しむ資質・能力を身に付けることができるよう、どさん子元気アップチャレンジを実施している。

 3年度は、全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果も踏まえて、縄跳びを中心として10月までの上半期に1回目の短縄跳び全道大会を実施し、学校を通して参加する学校部門においては、小中学生合わせて4761人、家庭などから個人で参加する家庭、地域部門においては220人の参加があった。

 各部門における成績上位者に対しては、記録証を授与するなど、子どもたちが意欲的に体力づくりを進め、適切な運動習慣を確立することができるよう取組を進めている。

Q大越委員 今後、さらに多くの学校や児童生徒に参加してもらうために、PRの仕方を工夫する必要があると考える。道教委の今後の取組について伺う。

A泉野健康・体育課長 どさん子元気アップチャレンジヘの参加に向けた取組について。道教委では、現在、各学校への周知をはじめ、ホームページやチラシなどの活用によって可能な限り児童生徒や保護者らの目に触れるよう学校や家庭、地域に対して周知してきた。

 今後は、熱心に取り組んでいる学校、家庭、地域の取組の様子や実践事例等を掲載したリーフレットを作成し、ホームページはもとより、メールマガジンや道教委公式ツイッターに掲載したり、大学教授や体育専科教員等で構成する体力向上推進会議で情報提供したりするなど、全道に広く周知し、一人でも多くの児童生徒の参加につながるよう取り組んでいく。

Q大越委員 新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって運動機会が十分に確保できないと考えられる状況を踏まえ、体力向上に向けた新たな取組として、子どもが自ら楽しみ、無理なく続けて取り組むことができるようリズム運動の動画を作成し、体力向上の取組に活用するとのこと。リズム運動動画の作成状況について伺う。

A泉野健康・体育課長 リズム運動動画の作成状況について。児童生徒が楽しみながら無理なく継続的に運動を行い、体力の向上や運動習慣の確立を図ることを目的に、道内出身のシンガーソングライターや道立高校ダンス部、北海道日本ハムファイターズや北海道コンサドーレ札幌、レバンガ北海道、エスポラーダ北海道のプロスポーツチームの数多くの方々の協力を得て制作した、リズム運動動画「みんなでムーブ」を昨年10月20日付でユーチューブにアップし広く発信するとともに、各学校等に向けて活用を促す通知を発出した。

Q大越委員 リズム運動の動画を学校はどのように活用しているのか。また、学校からはどのような声があるのか伺う。

A泉野健康・体育課長 リズム運動動画の活用等について。各教育局を通じて、市町村教委や各学校等へ聞き取りをしたところ、道内のいくつかの公立学校においては、体育授業の準備運動の場面や休み時間、放課後における体力向上の取組、家庭での運動習慣の定着に向けた取組の中で活用されていると承知している。

 また、動画内容について主な感想を聞くと、児童生徒からは「プロスポーツ団体のマスコットなどが登場するので面白く親しみやすい」、教師からは「道内にゆかりのある方々が参加しているので、興味を持たせやすい」などの評価をいただいている。

Q大越委員 リズム運動を活用した体力向上の今後の取組を伺う。

A中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 リズム運動を活用した今後の取組について。道教委では、児童生徒がリズム運動に意欲的に取り組むことができるよう、道教委が作成し、ユーチューブで配信しているリズム運動に取り組んだ小学校、中学校等の児童生徒を対象として、コンテストを実施するなど本動画の活用を促進している。

 今後は、リズム運動動画のより積極的な活用が図られるよう、コンテストの優良作品を表彰し、ホームページに掲載したり、体力向上にかかる各種会議や教員研修の場等を通じて体育担当教員等を中心に体育の授業や行事等での活用を働きかけたりするとともに、動画の制作に協力をいただいた道内のプロ球団等と連携して、学校以外の場面の活用と普及について検討するなど、子どもたちが主体的に体を動かそうとする意欲を高め、運動習慣の定着を図る取組を広く発信するよう取り組んでいく。

P大越委員 学力に関しても体力向上に関しても、最も大事なのは習慣づけ。リズム運動など様々な取組が、子どもたちの運動する習慣づけにつながるようお願いしたい。

◆高校の防災教育

Q大越委員 大きな被害をもたらした北海道胆振東部地震から3年が経過したが、本道では毎年のように豪雨による河川の増水や氾濫などの災害が発生していることから、日ごろの災害への備えとして、子どもたちが自分の身を守る力を身に付けていく防災教育の充実が求められている。

 道教委では、小学校から高校まで防災教育に取り組んでおり、その取組の中でも、本年はコロナ禍を踏まえたオンラインでの北海道高校生防災サミットを実施している。本サミットの狙いと取組の内容について伺う。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 北海道高校生防災サミットについて。本サミットは、元年度に本道で開催された世界津波の日高校生サミットの成果をもとに、高校生が地域の防災等について考えることを通して安全・安心な社会づくりに貢献できる資質・能力の育成と、参加する道内各地の高校生によるネットワークの構築を目指して実施した。

 具体的な取組内容としては、3年8月から実施した事前学習において熊本県とオンラインで結び、熊本地震で被災した高校生の体験などを学ぶとともに、10月のサミット当日には公立、私立を含めて道内27校、87人の高校生が札幌市の主会場と道内各地の地方会場をオンラインで結び、災害時に自らの命を守り抜くために高校生ができること、地域の防災力向上のために高校生ができることなどについて実践例の発表や協議を行った。

Q大越委員 本サミットのSNS等による情報発信や報道等を通じて、本道の高校生が活発に意見交換している様子などを伺い、あらためて地域の防災に主体的に活動する高校生にはエールを送りたい。

 道教委は、サミットの成果をどう考えているのか。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 サミットの成果について。参加した高校生は、全体交流や分科会等を通して道内全ての高校生が防災意識を高め、共に行動することの重要性を共有し、提言として取りまとめ、全道に発信することとした。

 提言の内容については、災害時に自らの命を守り抜くため地域とのつながりを持ち、思いやりを忘れずに行動すること、地域の防災力向上のため地域に合った避難訓練やハザードマップづくりを行うこと、一人ひとりの防災意識を高めるため高校生ネットワークを構築し、取組を地域に広げることなどとし、私立を含めた全道の高校に広く周知した。道教委としては、次回以降の取組の方向性を明らかにすることができたと考えている。

Q大越委員 取組で得られた成果を高校生がしっかり身に付け、将来の地域防災の担い手となっていくことが必要である。

 また、コロナ禍において本年はオンラインによる開催となったが、一方で、一つの会場に集まって顔を合わせながら意見を出し合うなど、集合して開催することも大切ではないか。

 道教委は、サミットの成果を踏まえた防災教育の推進に向け、今後どのように取り組んで行くのか。

A鈴木学校教育監 今後の防災教育の推進について。3年度のサミットは、新型コロナウイルス感染症の拡大を避けるため、札幌市の主会場と地方会場をオンラインで結び開催したが、今後、より活発な意見交換が可能となる集合形式の利点を組み合わせるなど実施方法を工夫していく。

 道教委としては、北海道高校生防災サミットの成果を全道の高校はもとより、市町村の関係部局や、広く地域住民等とも共有し、防災ネットワークを拡大するなど、全道の高校生が安全・安心な社会づくりへの参画意識を高め、地域の防災活動や災害時の支援活動に自ら判断して進んで行動できる防災教育の一層の推進に取り組んでいく。

D大越委員 災害は命に関わること。広域自治体である北海道においては、オンラインでの情報共有というのも非常に利点が多いことと考えるが、こと防災教育に関しては、フェース・ツー・フェースでこそ伝えられる大事なことが多くあると思う。

 子どもたちが自ら判断して進んで行動できるよう、しっかり取り組んでいただけるように強くお願いする。

◆道内高校の大学等進学率

Q宮川委員 全国平均の大学等進学率および道内高校の進学率について伺う。

A柴田高校教育課長兼ICT教育推進課長 高校における大学等進学率について。文部科学省が公表している2年度学校基本調査結果によると、全日制・定時制高校および中等教育学校後期課程を卒業し、大学等へ進学した割合は、全国が58・6%、道内が47・9%となっている。

Q宮川委員 道保健福祉部と札幌市、北海道大学子どもの生活実態調査研究班の子どもと家族の生活によると、高校2年生の所得の一番低い階層では、他の階層と比べて大学進学を希望する生徒が20%近く減る一方、高校までという回答が10%近く増えている。

 家庭の経済状況によって、高校生の進路希望に影響を与えているということは明らかだ。この点についての認識を伺う。

A柴田高校教育課長兼ICT教育推進課長 高校生の進路希望等について。子どもの生活実態調査において、家庭の経済的状況が、大学等の進学を希望している生徒に影響を及ぼしている可能性があることは承知している。

 道教委としては、生徒たちが家庭の経済的な理由にかかわらず自らの進路希望を実現することができるよう、引き続き教育相談体制の充実、各種支援制度の周知等に努めていくことが大切であると考えている。

Q宮川委員 家庭環境によって学ぶ権利が制限されている。これを取り除くのが行政の役割だと思う。

札幌市内のある私立大学の学校推薦型選抜では、入学金と前期授業料など約70万円を合格発表後1週間以内に納入しなければならないとされている。厳しい条件であるため、高校生が大学進学を諦めるようなことがあっては非常に残念である。

 厳しい条件そのものが問題だと考えるが、今現在の現実対応として、経済的支援や国による修学支援、貸付金など各種制度がある。どのようなものがあるのか示していただきたい。

A笠井総合教育推進課長 大学等への進学にかかる経済的支援について。学ぶ意欲のある高校生が、経済的な理由によって大学等への進学を諦めることのないよう、住民税非課税世帯等の学生を対象に入学金と授業料を減免するとともに、返済の必要がない給付型奨学金を支給する国の修学支援制度のほか、貸

与型奨学金や教育ローン、民間団体等による奨学金や貸付金など、国はもとより、様々な実施主体において各種支援制度が設けられていると承知している。

 そのうち、社会福祉協議会の教育支援資金や国の教育ローンなどは、大学入学以前においても貸し付けを受けることが可能な制度であり、道では大学等修学のための経済的支援の手引を作成してホームページに掲載しているほか、道内の高校等に周知してきている。

Q宮川委員 相談しやすく、的確な助言を行うためにどう取り組んでいくのか。

A岡内高校教育課配置・制度担当課長 支援制度に関する相談体制について。各学校においては、対象となる全ての生徒が、奨学金など大学等への進学のための支援制度を有効に活用できるよう、各種支援制度に関する情報や実施団体からの案内を進路希望選択時期に併せて周知するなど、進路指導担当教員や担任等が必要とする生徒一人ひとりに対して漏れなぐ情報提供するとともに、きめ細かな相談に応じている。

 道教委としては、今後とも関係機関と連携し、制度に関する資料の送付に併せて、公的団体や民間の相談窓口など詳細についての問い合わせ先、申請に当たってのポイントや留意事項を分かりやすく伝えるなど、学校が生徒からの様々な相談に、きめ細かく対応できるよう支援していく。

Q宮川委員 支援等の制度があることを周知することが重要だが、どのように取り組むのか。社会福祉協議会の教育福祉資金について、保健福祉部は、道教委と連携して制度の内容や申請手続について周知するとしている。どう取り組むのか、併せて伺う。

A櫻井学校教育局高校配置担当局長 支援制度等の周知について。高校での進路指導においては、大学等への進学に当たり学費などの経済的な理由による悩みを抱えている生徒もいることから、全ての教員が各種経済的支援制度等についての理解を深め、生徒一人ひとりの悩みに寄り添いながら、適切な情報提供に努め、支援制度の活用につなげていくことが重要である。

 このため道教委では、各学校の進路相談体制を支援するため、これまでも、社会福祉協議会の教育支援資金をはじめ、各種支援制度を解説した資料を学校に提供しているほか、今月から2次元バーコードを掲載した啓発用のチラシを全ての生徒に配布し、支援制度を紹介したホームページにアクセスできるようにしている。

 今後も、経済的支援を必要とする生徒に必要な情報がより迅速に伝わるよう関係部局と連携を強め、情報提供の充実を図るなど、意欲ある生徒の大学等への進学に向け一層の支援に努めていく。

P宮川委員 進学したいけれども、お金の問題で断念することが起きないように、しっかりと支援していただくことが求められていると指摘する。

(道議会 2022-05-26付)

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