道議会質疑 一般質問(令和4年2月25日)(道議会 2022-06-17付)
【質問者】
▼久保秋雄太議員(自由民主党・道民会議)
▼宮崎アカネ議員(民主・道民連合)
▼赤根広介議員(北海道結志会)
▼寺島信寿議員(公明党)
▼菊地葉子議員(日本共産党)
【答弁者】
▼鈴木直道知事
▼倉本博史教育長
=役職等は当時=
◆3年度補正予算案
Q 久保秋議員 道立学校における感染症対策について。オミクロン株による新型コロナウイルスの感染の急拡大によって、道立学校でも1月以降、臨時休校や学級閉鎖、学年閉鎖が相次いでいる。
このため、各学校では感染症対策の徹底を図るとともに、できる限りリスクの低減を図りながら、児童生徒の学びを保障することが必要である。
今回の補正予算では、学校感染症対策等支援事業として、保健衛生用品や換気用備品の購入など、感染症対策のための経費とともに、学習を保障するために大型提示装置の整備や教員用デジタル教科書購入等の経費が計上されている。
オンライン学習や、感染予防のための分散授業等での利用が期待されている。
道教委は、今後、今回の予算を活用し、感染症対策の徹底と学びの保障に向け、どのように取り組んでいくのか伺う。
A 倉本教育長 道立学校における感染症対策等について。
新型コロナウイルス感染症がいまだ収束しない中、各学校においては、感染のリスクを可能な限り低減した上で、児童生徒に安全・安心な教育環境を提供していくことが重要である。
こうしたことから、道教委としては、衛生管理マニュアルに基づく安全な教育活動を展開するため、感染症対策に不可欠な消毒液などの保健衛生用品の充足や、効率的、効果的な換気を行うCO2モニター、サーキュレーター等の導入を行うとともに、プロジェクターなどの大型提示装置やデジタル教科書等を活用して、密を回避した分散授業やオンライン学習をより効果的に行うなど、児童生徒一人ひとりが安心して学校生活を送りながら、様々な学びに専念できる環境の構築に努めていく。
Q 宮崎議員 コロナ禍における学びの保障について。
オミクロン株は、これまでの変異株に比較して児童生徒の感染者が多く、公立学校でも、週当たり最大で459校が学校閉鎖等に追い込まれるなど、学校教育活動に大きな影響を及ぼしている。
今回の補正予算には、感染症の影響等により登校できない場合でも、効果的にオンライン学習が行える環境を整えるため、大型ディスプレーや教員用のデジタル教科書を整備するための予算が盛り込まれている。
オンラインでも普段と同様の学びを実現することは意義あることと考えるが、学校現場が感染症対応で多忙を極める中、単に機器を配備するだけでは、事業効果が十分に発揮されない懸
念もある。
道教委は、こうした機器の有効活用に関し、どのような課題があると認識し、どう解決しようと考えているのか伺う。
A 倉本教育長 コロナ禍における学びの保障に関し、学校感染症対策等支援事業について。
コロナ禍における学びの保障はもとより、GIGAスクール構想の実現のため、本事業を活用して大型提示装置やデジタル教科書等を整備し、各学校における効果的な指導の充実を図ることは大切であるが、教員間におけるICTを活用した指導経験の差や、学校における端末やアカウントの効率的な管理、ICTを活用した学習の様々なノウハウの蓄積などについて課題があると認識している。
道教委としては、教員のニーズに応じた研修機会を確保するほか、各教科等によるICTを効果的に活用した授業およびオンライン学習の実践事例や、端末等の管理についての具体的な方策などをポータルサイト等を通じて各学校に発信するとともに、ヘルプデスクによるサポート対応のほか、指導主事が学校訪問を行い、ICTの効果的な活用について各学校の実態に応じたきめ細かな指導助言を行っていく。
Q 宮崎議員 つぎに、子育て支援対策事業費について。コロナ禍による臨時休校や学級閉鎖などの影響もあり、近年は家庭や学校に居場所がない子どもが増加し、低年齢化も進んでいるとの指摘がある。
子どもの生きづらさにしっかりと向き合い、子どもとその家族が抱える多様な課題について、学びのサポートや食事等の提供を行っていくことは喫緊の課題と考えるが、道は子どもの居場所支援にどう取り組まれるのか。
A 鈴木知事 子どもの居場所への支援について。子どもたちが心身ともに健やかに成長していく過程で、信頼できる大人との出会いや地域とのつながりを実感する場所として、学習支援や食事の提供を行う子どもの居場所は大変重要と認識している。
このため、道では、道内で子どもの居場所づくりに取り組む方々に対し、民間企業や団体の皆さんから提供を受けた寄贈物資のあっせんや、新規開設に向けた電話相談や研修、アドバイザーの派遣などの支援に取り組んでいる。
こうした中、本年度から、子どもの居場所に対する運営費が安心こども基金の対象事業となり、実施を検討する市町村が増加していることから、道としては、今後、未実施の市町村に対し、本事業の周知と積極的な活用を働きかけながら、子どもの居場所の設置促進を図っていく。
Q 赤根議員 学校感染症対策等支援事業費について。道立学校における感染症対策のための保健衛生用品や感染拡大時の分散授業、オンライン学習など、学びの保障のためのICT機器等を整備するとし本事業が提案されている。
教育現場では、新型コロナウイルス感染症対策として、デジタル化の導入が加速度的に進んだことは事実であるが、そもそもは、世界的にも大きく遅れている学校教育のデジタル活用を挽回すべく、GIGAスクール構想による1人1台端末の整備や校内ネットワークの拡充にあったと承知をしている。
世界的には、フェイクニュースに振り回されないためのリテラシーなどを学ぶデジタルシチズンシップの教育により、デジタル社会を生きる子どもたちに自立的なコミュニケーションを学ぶ機会を設けている。
知事の肝いりで2年3月に改定された道総合教育大綱においては、情報教育の充実として、Society5・0時代の到来を見据え、従来の科学的理解や情報活用の実践力を高め、高度な情報社会に主体的に参画する態度の育成を図るなど、情報モラルを含む情報活用能力を育むとし、新たな社会を開くICT人材の育成では、基幹産業や医療・福祉分野などにおける様々な課題をICTを活用して解決するなど、高度なICT社会を担う人材の育成を進めるとしており、その方針には全く異論の余地はない。
先の文教委員会における議論でも、学びの保障に関するオンライン学習の課題については、同時双方向型のウェブ会議システムを活用するなどして、指導計画等を踏まえた教師による学習指導と学習把握を行うことが重要だが、通信環境が十分に整っていない家庭があることや、一部の学校では、ICTを活用した指導経験の差などの理由から、効果的な学習が十分に実施されていないことなどの課題が見られており、早急な改善が必要と述べられ、コロナ禍の3年目を迎える中で大変残念な認識が示され、まさに早急な改善が必要と考える。
こうした状況を打開し、本道の教育現場におけるデジタル化を進めるためには、知事部局と教育局がこれまで以上に連携を密にして、市町村や学校教育現場と協力のもと、取り組む必要があると考えるが、教育長の所見を伺う。
A 倉本教育長 学校感染症対策等支援事業費に関し、学校におけるICT活用の促進について。
道教委では、教育のICT環境の充実に向けて、ICTを活用した授業モデル等を示すほか、ポータルサイト等による実践事例の提供、研修の実施や校内研修等の促進、相談窓口による助言など、市町村教育委員会や学校の実情に応じた支援に努めている。
今後、各管内において、振興局、教育局および市町村の関係部局と連携を図り、ICTの活用促進に向けた方法や、より良いICT関係の在り方を共有し、各地域の通信インフラの状況やICTに関する教員研修の実施状況のほか、各学校におけるICTの活用状況等を把握し、ハード、ソフトの両面から効果的な対応を検討するなど、児童生徒一人ひとりの学びと、各学校におけるICT環境の一層の充実に努めていく。
Q 寺島議員 学校の感染症対策について。児童生徒一人ひとりが安全、安心に学校生活を送るためには、感染症対策の徹底を図ることが必要と考える。また、やむを得ず登校できない場合には、オンライン学習の実施などにより、学習機会を確保することが極めて重要と考える。
今般の補正予算には、道立学校における感染症対策に必要なマスク、石けん、消毒液などの衛生用品や、オンライン学習などに用いる大型提示装置などの購入に要する経費として約6億円の予算が計上されているが、この予算措置により、全ての道立学校において感染症対策やオンライン学習に必要な環境の整備が十分に講じられることになるのか教育長の所見を伺う。
A 倉本教育長 道立学校における感染症対策等について。学校においては、地域の感染状況や児童生徒等の実態を十分に把握し、新型コロナウイルスの感染拡大のリスクを可能な限り低減した上で、児童生徒の学びを止めない取組を行うことが重要である。
このため、道教委では、全ての道立学校において、消毒液などの保健衛生用品による消毒や、CO2モニター、サーキュレーター等を活用して効率的、効果的な換気を徹底し、衛生管理マニュアルに基づく感染症対策に万全を期すとともに、プロジェクターなどの大型提示装置やデジタル教科書を活用して、密を回避し、より学びの質を確保するための分散授業やオンライン学習をより効果的に行うなど、児童生徒一人ひとりが安全・安心に継続して学びに専念できる学校生活を送ることができるよう努めていく。
Q 菊地議員 子育て支援対策事業に関し、コロナ禍における影響について。国からの交付金を積み立てた安心こども基金の活用による新たなメニュー、子どもの居場所支援等の子育て支援対策事業費に4797万2000円が計上されている。
昨年、東京都墨田区で行った子育て世帯への影響調査によると、子育てへの不安や孤独の感じ方が、コロナ前に比べ顕著に増えているとの結果報告である。
道では、コロナ禍における子どもたちの学習環境や子育て世帯への影響をどのように認識しているのか。
A 鈴木知事 子育て支援対策事業費に関し、コロナ禍における子どもなどへの影響について。
オミクロン株の流行に伴い、子どもへの感染が急拡大しており、道内においても、学校や幼稚園、保育所等でも集団感染が発生をし、学級閉鎖や休園する事例が生じている。
また、家庭内で過ごす時間が増加することによって家族間の不安やストレスの増大、周囲が子どものSOSに気付きにくくなることなどが懸念されている。
このため、子育て世代包括支援センターや道子ども相談支援センターなど、児童生徒や子育て家庭に対する相談機能の充実や、個々の家庭状況に応じた適切な支援を講じていくことが必要である。
Q 菊地議員 つぎに、実施市町村数について。コロナ禍にあって、大きく変わった教育環境や、子育てへの不安や孤独感が増大している中にあって、不登校児童への学習サポートや子育て世帯への訪問支援は大変有効な取組だと考えるが、実施市町村が15市町村にとどまっているのは驚きである。
認識を伺うとともに、全道の多くの市町村で事業を展開できる援助を行うべきと考えるが、いかがか。
A 鈴木知事 子育て支援に関する今後の取組について。
本年度、国では、新たな子育て家庭支援の基盤を早急に整備していくため、補正予算において、子どもの居場所支援臨時特例事業をはじめとする18事業を新たに創設したところであるが、国からの事業概要の提示が11月になったことから、実施体制が整った15の市町において事業が展開をされている。
道としては、子どもたちの成長段階に応じた母子保健や保育サービスなどの子育て支援のほか、保護者に対する生活支援や子どもの居場所づくりなど、様々な視点から子育て家庭を地域全体で支え、必要な支援を切れ目なく提供することが重要であると考えており、今後、新たにメニュー化された学習サポートや子育て世帯への訪問支援についても、市町村に対し積極的な実施を働きかけ、子育て家庭支援のための基盤整備を着実に進めていく。
(道議会 2022-06-17付)
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