道議会質疑 一般質問(3月8日)(道議会 2022-07-12付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼木葉淳議員(民主・道民連合)
▼佐々木大介議員(自民党・道民会議)
【答弁者】
▼鈴木直道知事
▼京谷栄一保健福祉部少子高齢化対策監
▼倉本博史教育長
=役職等は当時=
◆病児保育の支援
Q木葉議員 病児保育への支援について。総務省の調査によると、この40年で共働き世帯は600万件から1200万件と、2倍に増えている。核家族化が進み、子どものいる家庭の約1割がひとり親家庭となっている。
令和元年の第4回定例会において、道は、病児保育に係る取組を一層促進し、安心して子育てや仕事ができる環境づくりに努めると答弁している。2年が経過したが、道として病児保育拡充への課題認識と今後の取組について伺う。
A京谷保健福祉部少子高齢化対策監 子育てと仕事を両立している家庭の子どもが病気になったときでも、その子を受け入れることができる病院や保育所などを整備し、適切な保育や看護を確保することは、少子化問題を克服する上でも大変重要と認識している。
このため、道では病児保育事業を実施する市町村に対し、施設の開設準備や運営経費を助成しており、近年は、施設数・利用定員ともに着実に増加している。
一方で空き状況の確認や予約手続など、利用者の負担が大きいことや、専用のスペースと看護師等の確保が求められること、緊急の受け入れや急なキャンセル対応などの施設側の課題も生じてきている。
道としては、市町村に対し助成制度の周知や病児保育のニーズに的確に応えていくことの必要性などを助言して、受入施設の増加を図るとともに、空き状況をリアルタイムに確認できるシステムの導入など、ICTの活用を促進しており、どこに住んでいても病気の子どもを安心して預けられる体制を整備し、働きながら出産や子育てができる環境づくりを進めていく。
◆幼児教育質の保障
Q木葉議員 幼児教育の質の保障について。幼児教育の在り方も大きな変化があった。幼児教育の無償化や共働き世帯の大幅な増加によって、幼児の保育を担う施設についても、これまでの保育所、幼稚園に加え、認定こども園や企業主導型保育事業など多様化してきた。
待機児童数をみれば、解消とは言えないまでも、少しずつではあるが減少してきている。しかし、保育の質についての議論があまり聞こえてこない。
少子・高齢化が進む本道における幼児教育の質の確保に教育長はどのような考えを持っているのか、具体的な取組と併せて伺う。
A倉本教育長 幼児教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う上で極めて重要であり、教育内容の改善充実や、保育士の専門性の向上、それらを支える地域との連携が重要。
このため道教委では、総務部・保健福祉部と共に、施策推進の拠点となる幼児教育推進センターを設置し、公立、私立の別や施設類型を超えて質の高い教育が提供されるよう、キャリアステージに対応した研修の実施や、園内研修の充実を図る助言体制の整備等に取り組んできた。
今後は、多様化する教育ニーズを踏まえた研修や助言を受ける機会が身近なものとなるよう、ICTを活用した協議やオンライン公開保育を拡充するほか、園内研修用資料の提供やオンデマンド教材の充実を通して、道内の幼児教育を支える全ての保育者のスキルアップを図ることにより、子どもたちへの教育、保育のより一層の充実と質の確保に取り組んでいく。
◆GIGAスクール構想
Q木葉議員 コロナ禍によって、GIGAスクール構想が大幅に前倒しとなった。小・中学校では1人1台端末が整備され、休校やコロナウイルスの濃厚接触者等になってしまった場合にも活用している学校もあると伺っている。GIGAスクール構想1年目の成果と課題、新年度の改善策について教育長に伺う。
A倉本教育長 各学校においては、1人1台端末の効果的な活用による学びの質の向上や、平常時から非常時への円滑な移行を含めたオンライン学習による学びの場の提供など、一定程度の成果が見られたものの、ICTを活用した学習ノウハウの蓄積や教員の多様なニーズに応じた研修機会の確保などに課題があると認識している。
このため、今後とも、ポータルサイトを通じて様々な実践事例等を広く発信するとともに、ICTに関する各種研修等において、短時間で効率的な研修方法や、教員個々が直ちに活用できる内容の工夫を図るなど、学校や教職員の実情に応じたきめ細かな支援を行う考えである。
◆1人1台端末
Q木葉議員 この4月から、いよいよ高校でも1人1台端末の取組が進む。全国的にみれば、24県が公費で賄っているにもかかわらず、道内は個人負担となっていると伺った。
数年前に文科省が実施した調査では、家庭の所得や保護者の学歴と児童生徒の学力との関係が一部認められている。高校における1人1台端末についても、道が責任を持ち、小・中学校と同様の支援体制を組むべきと考えるが、知事および教育長の所見を伺う。
A鈴木知事 道立高校においては、経済的な事情によって端末を用意できない生徒に対して、学校所有の端末を貸し出すことができるよう必要な整備を進めるとともに、生徒が個人所有の端末を学校に持ち込む方法で実施するものと承知している。
道としては、教育の機会均等と教育水準の維持向上を実現するためには、ICTを活用した教育環境が整うことが重要と考えており、全国知事会や道教委とも連携し、十分かつ恒常的な財政措置による継続的な支援について国に要望を行っているところであり、誰一人取り残すことなく、多様な個性を生かす学びとなるよう、要望の実現に向けて取り組んでいく。
A倉本教育長 道立高校における1人1台端末の実施に向けて、丁寧な説明と、経済的な事情がある生徒への配慮を行った上で、個人所有の端末を持ち込む方法によって導入を進めることとしているが、学校のICT環境を持続していくためには恒久的な財源確保が必要と考えており、ICT環境整備に係る必要な財政支援について、全国都道府県教育委員会連合会とも連携し、国に対し強く要望していく。
Q木葉議員 代表質問でも伺ったが、公立高校では年間15万円ほどの徴収金がかかるとの答弁だった。新入学であれば、さらに制服や選択教科の教材等も購入することとなる。そこにパソコンも自費となれば大きな負担ではないか。
先ほど、知事は誰一人取り残すことなくと答弁された。また、道政執行方針でもICTのさらなる環境整備を行うとしている。であれば、他県のように高校で使用する端末の費用を公費で負担すべきである。新学期まで時間がない。今一度、知事に伺う。
A鈴木知事 経済的な事情がある生徒への配慮を行った上で、誰一人取り残すことなく、多様な個性を生かす学びを実現することができるよう、全国知事会や道教委とも緊密に連携し、十分かつ恒常的な財政措置による継続的な支援について、国に対し強く要望していく。
◆時間外勤務縮減
Q木葉議員 時間外勤務の縮減について。教職員にかけられる期待は年々高まっている。今回の教育長の方針からも英語教育、ふるさと教育、健康教育と、求められる内容は増加の一途をたどっている。
しかし、極めて残念なことに教員への期待の高まりと反比例するように希望者が減少していると聞いた。
北海道の小学校教諭の受検倍率は、直近20年間でのピークであった平成18年度の7・3倍から大きく下がり、前年度は1・3倍となった。結果、合格者は454人、ここから辞退が113人出たそうである。
4月1日に346人の採用、しかしその中でも、せっかく教員となったにもかかわらず、昨年、全校種で35人もの新採用者が退職したと伺った。
道教委は、昨年から勤務時間の客観的把握を行っていると承知している。現場の教職員に伺うと、在校する時間の縮減は求められるが、仕事内容の縮減はないとのことである。
ある方は、保育園に預けている子どもを迎えに行かなければならず、秒刻みで学校で仕事し退勤、その後、子どもと共に食事、就寝、午前1時に起き、残りの仕事をこなさなければならない、こうした働き方を続けていると伺った。
教職員は、正規の勤務時間に、教育に直結する教材研究や授業準備の時間は確保されているのだろうか。勤務時間内の研究時間の確保に向けては、業務の精選と、1人当たりの持ち授業時数削減のための教職員増員が必要と考えるが、現状および今後の対策を伺う。
A倉本教育長 令和元年に実施した時間外勤務等に係る実態調査では、勤務日における教材研究や授業準備等の時間は、最も少ない小学校で1時間21分、最も多い高校で2時間4分と、授業に次いで長い一方、教材研究の時間が十分に確保できていると感じている教員の割合は4割程度となっている。
このため、道教委では、各学校において、教材研究をはじめとする真に必要な取組を効果的に行うことのできる環境の整備に向けて、北海道アクション・プランに基づき、スクール・サポート・スタッフの配置や、調査業務の見直しなどに努めるとともに、学校全体で対話しながら、それぞれの実情に応じた業務の改善や精選を行うことができる組織体制の確立を進めているところであり、引き続き、学校現場の意見を聞きながら、働き方改革に取り組んでいく。
また、国の加配を効果的に活用しながら、少人数学級編制や小学校高学年を基本に他学年でも指導可能な専科教員の配置を拡充し、きめ細かで質の高い教育の実現に取り組んでおり、こうした取組のさらなる推進に向け、引き続き、国に対し、教職員定数の一層の充実を要望していく。
◆医療的ケア児
Q佐々木議員 医療的ケア児の日常生活における支援について。
難病や障がいで、たんの吸引や人工呼吸器などの医療的ケアが日常的に必要な子どもたち、いわゆる医療的ケア児は、医療技術の進歩に伴い、年々増加しており、医療的ケア児はこの10年で約2倍になっていると言われている。
医療的ケアを必要とする子どもを持つ保護者が子どもを預ける場合には、医療的ケアに対応できる看護師等のサポートが必要となることから、現実として子どもに付きっきりにならざるを得ないケースが多く、就業へのハードルも高くなっている。
また、訪問看護を受ける小児の利用者数は近年著しく増加しており、併せてコロナ禍における外出の自粛や学校の休業なども、保護者の在宅での介助負担の増加につながっていることから、訪問看護に対するニーズが高まっている要因の一つとなっている。
昨年9月には、医療的ケア児およびその家族に対する支援に関する法律が施行され、道においても、来年度、医療的ケア児支援センターを新たに設置するため、その開設や運営に係る予算を計上し、医療的ケア児に対する道民の理解や家族の相談体制の充実、整備を図ることとしているが、現状では、このような医療的ケアを実施できる看護職員が配置されている支援施設や居宅支援には、市町村間のサービス格差など地域偏在も顕著であり、医療的ケアを必要とする子どもを持つ家族の負担や実情、求められる支援を的確に把握し、支援体制を整えていくことも必要と考える。
道として、医療的ケア児を安心して預けられる場や家族の休息ができる場など、日常生活における支援の確保や、このような支援が市町村で格差が生じないよう、今後どのように取り組んでいく考えか伺う。
A鈴木知事 医療的ケアが必要な子どもたちやその家族が、居住する地域にかかわらず、それぞれの心身の状況に応じた適切な支援を受けられることが必要であると認識している。
このため、道では、地域における支援の実態や課題等を把握しながら、市町村が実施する看護師の方々などの派遣事業への支援を行うほか、家族の休息の確保につながる短期入所事業などの受皿整備を促進するため、報酬改定について国へ要望を行うなど、様々な取組を行ってきている。
今後、家族の皆さんから、必要な支援や生活上の悩みなどについて伺うとともに、センターに寄せられる声なども踏まえ、北海道障がい者施策推進審議会、医療的ケア児支援部会において実効ある施策を検討するほか、市町村に対し、関係機関による協議の場の設置を積極的に働きかけるなど、医療的ケアが必要な子どもたちや家族の皆さんが、地域で安心して日常生活を送ることができるよう、支援の充実に努めていく。
(道議会 2022-07-12付)
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