道議会質疑 一般質問(3月4日)
(道議会 2022-07-07付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼赤根広介議員(北海道結志会)

▼阿知良寛美議員(公明党)

【答弁者】

▼鈴木直道知事

▼小玉俊宏副知事

▼倉本博史教育長

◆新型コロナ感染症対策

Q赤根議員 新型コロナウイルス感染症対策について。まん延防止等重点措置を3月6日まで延長するに当たり、保育所、認定こども園等に対し、新たに感染リスクの高い行動を避けるとともに、少人数に分散した保育、マスクの無理なく可能と判断される児童については、可能な範囲で一時的にマスク着用を促すことなどを要請しているが、実行可能性については疑問がある。

 幼児のマスク着用はその危険性についての指摘もあり、少人数保育をするには、保育士の増員も伴うのではと考えるが、要請に当たり、現場の声をどう聞かれたのか。また、要請を実行可能とするために、どのような支援を講じようとするのか。

A鈴木知事 保育所等に対する支援について。国では、今般のオミクロン株の特性を踏まえ、基本的な感染防止対策の徹底のほか、休園児の代替保育の確保など、緊急避難的な対応策を示すとともに、地域子育て支援拠点での代替保育や一時預かり事業に対し、新たに財政措置を講じるとしたところである。

 道では、これまで衛生資材の購入や代替職員の人件費助成、専門家による感染予防のための動画の配信や保育所向けの専用相談窓口の設置などによって、保育所等における感染防止対策の徹底を図ってきたところであり、今後とも地域の感染状況に的確に対処しながら、保育所等が求められている役割を果たせるよう、市町村に対し、新たな財政支援制度の活用を助言するなど、必要な保育サービスが継続されるよう支援していく。

A小玉副知事 保育所等における感染対策について。厚生労働省では、子どもの感染事例の増加を受け、本年2月に休園時の代替保育の確保や、2歳以上の児童に対する一時的なマスク着用などのオミクロン株の特性を踏まえた感染防止対策について、全国の自治体に通知したところである。

 道では、これまでも保育所における感染症対策について、道内の保育団体と意見交換や情報提供を行ってきたところであり、保育所等では、予防策を徹底しながら保育サービスの維持に尽力いただいていることから、今般の国の通知によって、現場で混乱や誤解が生じないよう、市町村を通じて保育所等へ質疑応答を別途送付するなど、迅速かつ丁寧な周知を行っているところである。

◆若者の道内定着

Q赤根議員 道では、高校生や大学生などを対象に若者の道内定着にかかる施策に取り組んでいるが、道内からの流出は続いている。

 若者の地元定着を推進する方策の一つとして、若者が抱える奨学金の地方公共団体による返済支援があり、わが会派では、元年の第4回定例会で道政の重要課題である人口減少対策として返済支援制度を創設すべきとただしたが、札幌圏への人口集中の懸念など様々な課題があるとして、導入には消極的な姿勢であった。

 国は、都道府県が奨学金返済支援のため、地元産業界等との間で基金を設置した場合などに、都道府県の基金への出捐額、広報経費に対し特別交付税措置を講じるとしている。知事の姿勢に変化はないのか伺う。

A小玉副知事 若者の道内定着に向けた支援について。国は就職等によって地域に定着する人材確保のため、2年6月に奨学金の返還支援制度について、要件の見直しや財政措置の拡充などによって、若者の流出が続く地域にとって活用しやすいよう見直しを行ったところであり、道内においても、現在64の市町村において運用が行われている。

 本制度を道が活用した場合、都市部への就職を希望する学生の利用が集中し、地方企業の人材確保と競合する可能性があることや、市町村が実施する場合に比べ、財政措置率が低くなるといった課題があることから、道としては国の制度の活用にかかる勉強会の実施や先行事例の情報提供を行うとともに、若者の定着を促す各市町村の様々な制度や魅力をホームページで道内外に発信するなど、引き続き、市町村の取組を多面的に支援していく。

Q赤根議員 奨学金の返済支援制度について、取り組まない理由を副知事が答えた。

 知事と私は同年代であり、私はつい数年前、ようやく奨学金を完済した。当然だが、結婚すると妻の分の返済も上乗せされ、今度は奨学金を完済したと思ったら、子どもたちの教育費などが現在急上昇中で、大変な家計の状況である。

 人口減に悩む本道にとって、若者の流出防止はまさに喫緊の課題であり、そのためには、考えられる全ての施策に取り組むべきと考えるが、再度、知事の見解を伺う。

A鈴木知事 若者の地元定着に向けた支援について。若者の都市部への流出は、人口減少が続く本道において大変重要な課題であり、道では若者の地元定着に向けて、市町村や大学、地域の企業の方々と連携しながら、人材獲得に向けた企業の魅力発信や、地域を志向する人材の育成などの取組を進めるとともに、道内外での就職説明会などを実施している。

 国の奨学金返還支援制度については、道が本制度を活用した場合、都市部への就職を希望する学生の利用が集中し、地方企業の人材獲得と競合する可能性が懸念されるなど、市町村が主体となった取組を支援することがより効果的であることから、道としては引き続き、国の制度の活用を促す勉強会の開催や、各市町村の人材誘致策等の情報発信を行うなど、地域への若者の定着が進むよう努めていく。

◆医療的ケア児支援センター

Q赤根議員 医療的ケアが必要な子どもたちやその家族に対し、専門的な相談に対応するとともに情報提供や助言を行うほか、医療、保健、福祉、教育、労働等の関係機関に対する情報提供や研修など、中核的な機関である医療的ケア児支援センターについては、昨年の第4回定例会の段階では、国が運営の在り方等について調査検討中との理由で開設時期は明言されなかった。

今定例会に医療的ケア児支援センターの運営費が予算計上され、医療的ケア児等コーディネーターが2人配置されることとなっているが、道内には医療的ケア児は約700人いるとされており、年々増加傾向にあることも踏まえれば、果たして2人のコーディネーターで十分な活動ができるのか不安があるが、コーディネーターにはどのような方が就任され、どのような支援体制を考えているのか。

 また、実際の稼働時期はいつごろになるのか、併せて伺う。

A小玉副知事 道では、国が定めたカリキュラムを満たす養成研修を修了した医療的ケア児等コーディネーター、またはこれと同等の知識を有する者をセンターに配置するとしている。

 また、センターによる支援としては、医療的ケアが必要な子どもたちの家族などからの様々な相談内容に応じて、市町村や地域のコーディネーターなどにつなげ、必要な支援に結び付けていくとともに、関係機関等への情報の提供、研修などの体制を整備し、全道域での対応力の向上を図っていくとしている。

 今後、年度内に公募によってセンター業務の受託者を選定し、開設に向けた準備を進めていくとしており、センターと市町村等との円滑な連携に向けた仕組みづくりや、運営に必要な情報等の整理を行い、受託者における準備期間も考慮しながら早期に開設し、医療的ケアが必要な子どもたちやその家族の皆さんを支える体制の構築に努めていく。

◆指定管理者制

Q赤根議員 指定管理者制度について。本制度については、昨年の第4回定例会でも議論を交わしたところであり、知事からは、自主財源を確保できる仕組みについて検討を進めるなどの答弁を得たところであり、あらためて、今後の運営の在り方についても、全庁的な課題認識のもと、検討を進められている中、このたびのネイパルの指定管理者選定に関わる道教委職員の不正行為に関しては、まさに言語道断と言える。

 道では、2年前にもいわゆるキタデミー賞問題が発覚し、知事は組織としての問題があり、道政を預かる知事として、その責任を痛感し、心からおわびすると陳謝されるとともに、道民の信頼回復と再発防止の決意を述べられたわけであるが、再び、道民はもとより、懸命に指定管理を担う事業者の信頼を大きく裏切る問題が発生したことを、知事および教育長はどのように受け止めているのか、所見を伺う。

 先の文教委員会での質疑においては、真っ先に取り組むべき原因究明が判然としないばかりか、道教委のスケジュールありきの事業者や議会への対応は、丁寧さに欠け、全くもって誠意が感じられない。

 道民、事業者の信頼回復には、徹底した原因究明と実効性のある再発防止策を早急に示す必要があり、道庁、道教委の垣根を越えて一体となり、取り組む必要がある。

 道教委では、第三者による調査委員会を立ち上げるとのことであるが、今後どのように取り組むのか、スケジュールを含めて所見を伺う。

 また、コロナ禍の長期化によって厳しい状況が続くネイパルの運営に、今後どのように取り組むのか、教育長の所見を伺う。

A鈴木知事 指定管理者の選定について。今回明らかとなった教育庁の職員による特定の申請者を支援するといった不適正な事務の執行については、公募に応じた事業者が公平、公正な条件のもとに競争することで公共サービスの質の向上につなげる指定管理者制度の根幹を揺るがす行為として、誠に遺憾であり、教育庁を含む指定管理施設を所管する全ての部局において、再発防止に取り組んでいくことが必要であると認識している。

 今後は、教育庁と共に再発防止策の検討を進めながら必要な対応を講じることとし、指定管理者制度の適切な運用を図り、道民の皆さんの施設利用に支障が生じることのないよう、着実に取り組んでいく。

A倉本教育長 指定管理者公募における不正行為について。このたび、道教委の職員が、公正性、公平性や透明性が求められる指定管理者の公募において、選定の公正性をゆがめる悪質な不正行為をしたことは、教育行政を執行する立場の職員としてあってはならないことである。

 児童生徒や保護者の皆さんをはじめ、道民の皆さん、事業者の皆さんの教育行政に対する信頼を大きく損ねるものとして、誠に申し訳なく思うとともに、このような不祥事が発生したことを大変重く受け止めている。

 今後の取組についてであるが、道教委としては、早急に第三者による調査委員会を設置し、不正行為の全体像について事実関係を解明するとともに、道教委において、職員の処分や管理監督責任を検討し、厳正に対処するほか、再発防止策を実施していけるよう、できる限り早期に公正性や公平性、透明性の確保や相互牽制の在り方などについて、知事部局と連携し検討していく。

 また、ネイパルを利用してくださる児童生徒をはじめとする多くの皆さんに影響が生じることのないよう、事業者の皆さんと共に施設の適正な運営に向けて全力を尽くし、コロナ禍においても多くの皆さんに満足いただけるよう、それぞれの地域性や教育資源を生かした体験活動を通して、魅力ある施設づくりに努めていく。

Q赤根議員 教育長は本事案への今後の対応として、早急に第三者委員会を設置し、不正行為の全体像について事実関係を解明する、道教委において、職員の処分や管理監督責任を検討し厳正に対処する、再発防止を実施していけるよう、できる限り早期に公正性や公平性、透明性の確保や相互けん制の在り方等について、知事部局と連携し検討することを述べられた。

 私は、本事案に関わる徹底した原因究明とその結果による当該職員の処分、さらには、道民の信頼回復に足る実効性のある再発防止策の提示とその取組が進まなければ、新年度からの指定管理者によるネイパルの運営について、予算を議決する責任にある立場として、一昨日の文教委員会での質疑と本日の議論を経てもなお、現時点では慎重な考えであることは、あらためて申し上げておく。

 早急に設置するとしている第三者委員会について伺うが、文教委員会で報告された本事案の調査報告書を取りまとめた外部調査機関への調査委託に当たり、ヒアリング対象者は40人から50人が想定されるなど、膨大な調査になること、また、期間が非常に短いことなどから、道教委の顧問弁護士が所属している事務所と新たに委託契約を結んだとしていたが、このたび早急に設置するとしている第三者委員会は、先の調査とは目的が異なることから、その調査目的に照らしどのような考えで委員を選定し設置するのか。

 また、第三者による調査と道教委が行う調査との関係性をどのように捉えているのか。

 さらに、先の調査はあらかじめ調査期間を設けていたが、第三者委員会と道教委による調査はいつごろをめどにその調査を終了し、結論を得ようとするのか。

A倉本教育長 今後の調査について。道教委としては職員の処分等の検討に向けて、引き続き関係者からの聞き取りを行うとともに、様々な角度から検討できるよう、弁護士や臨床心理士といった専門家などからなる委員会を早期に立ち上げられるよう準備を進めていく。

 調査期間や、委員会と道教委との役割分担などについては、委嘱した委員と相談しながら調整していく。

P赤根議員 教育長から弁護士や臨床心理士などの専門家からなる委員会を早期に立ち上げる、そのための準備を進めていくという意気込みが語られたが、これだけ重要な事案なのに、いまだにその設置の時期すら明らかにされなかった。

 この不正の疑いが明らかになってから1ヵ月余り、道教委においては組織を挙げて原因究明、そして、調査等に全力で当たられ、その苦しみについては、私も重々理解をするところである。早急な組織の立て直し、正常化が求められるわけである。

 しかし、皆さん以上に苦しまれているのは、本事案にまさに巻き込まれてしまった事業者の方々であり、その苦悩を思うと、言葉もない。

 現在までの調査において、いまだに組織的な関与の有無も明らかにされていない。また、当該職員の使用のパソコン、スマホ、こういったものの調査、解析を行うことができるのかさえも分からない状況。

 こうした中、新年度から、ネイパルの運営に対する補正予算を提案しようとする、このことは知事も当然、了としているわけであり、私はこういう事案に対して、知事は本来、慎重に対応されるのかと考えていたが、今回はなぜか新年度からの運営を行おうとしている。

 当然、利用者のことを考えたとき、それがベストな選択かもしれないが、それはあくまで、徹底した原因究明と再発防止策を示した上で、道民理解のもとに初めて成立するわけである。

 これ以上ただしても新たな答弁は引き出せないと理解するが、引き続き、会派として、今定例会を通じて追及していく。

◆学校図書館図書整備計画

Q赤根議員 学校図書館図書整備計画について。文部科学省では、公立小・中学校等の学校図書館における図書標準の達成、計画的な図書の更新、新聞の複数紙配備、学校司書の配置充実を目的に、このたび、4年度から8年度を対象期間とする第6次学校図書館図書整備等5か年計画を策定している。

 本道の状況は、図書標準の達成率や学校司書の配置等で全国平均に大きく後れを取っているが、教育長は昨年の第3回定例会で、各学校の図書館運営の充実を図り、児童生徒一人ひとりが自ら課題を見つけ、解決したり、先人の考え方に触れて心を豊かにしたりできる学びが実現できるよう努めていくと述べている。

 第6次5か年計画は、4年度からの5ヵ年であり、全ての小・中学校において、学校図書館図書標準の達成を目指すとともに、図書の更新、新聞の複数紙配備および学校司書の配備拡充を図るとしている。

 教育長は5か年計画の目標実現に向け、どう取り組み、児童生徒の基礎的知力・学力向上につなげていくのか。

A倉本教育長 学校図書館図書整備計画について。道内の学校図書館は、図書標準の達成状況や学校司書配置校の割合など、いずれも全国平均より低いことから、学校図書館の運営上の重要な事項について、その望ましい在り方を定めた学校図書館ガイドラインに基づく取組を着実に進め、読書活動の拠点であり情報活用能力を育むといった機能の充実を図るよう努めることが重要であると認識している。

 道教委としては、今後新たに学校司書の養成や資質向上に向けた体系的な研修を実施するとともに、各管内における市町村教育長部会の開催や道学校図書館協会との連携を強化するなど、定期的に道内の各学校における図書標準達成校や新聞配備達成校、学校司書配置校の状況を共有し、各市町村における必要な対応を促すことなどを通して、児童生徒の学びの基盤としての学校図書館の整備と利活用の促進を目指し、着実に取り組んでいく。

Q赤根議員 学校図書館整備計画について、教育長は学校図書館の整備と利活用の促進を目指し、着実に取り組んでいくと答えた。

 学校図書館は、自由な読書活動や読書指導の場としての読書センター、また、児童生徒の学習活動を支援したり授業の内容を豊かにして、その理解を深めたりする学習センター、児童生徒、教職員の情報ニーズへの対応や、児童生徒の情報収集・選択・活用能力を育む情報センターとしての機能、役割を担っており、2年度学校図書館の現状に関する調査の分析結果では、学校図書館を計画的に整備している都道府県は、その成果が数値に現れたと結論づけている。

 取組成果を見える化するため、各教育局別に5ヵ年の年次別目標値を直ちに作成すべきと考えるが、見解を伺う。

A倉本教育長 学校図書館の計画的な整備は、その機能を高め、児童生徒の学びを支える上で重要である。

 道教委では、これまでも図書の冊数が図書標準を著しく下回る市町村や、学校司書が未配置の市町村については、教育局職員が直接訪問し、図書等の整備が地方財政措置されていることなどを説明しながら、学校図書館の充実が図られるよう要請してきた。

 今後は、教育局が学校図書館の充実に関する市町村ごとの課題や対応方向を各市町村と共有するとともに、図書標準等の達成率の高い市町村等における好事例などを教育局のホームページに掲載して、管内ごとに見える化するほか、民間の助成金等の有効活用を促すなどしながら、学校図書館の整備が着実に進むよう取り組んでいく。

◆保健福祉問題

Q阿知良議員 保健・福祉問題について。国では、平成30年に循環器病対策基本法を制定するなど、健康寿命の延伸に向けた対策を講じており、道においても、これまで、様々な指針やビジョンを示されてきたが、新型コロナウイルス感染症の発生によって、社会情勢や私たちの生活スタイルは大きく変化し、公衆衛生の重要性は高まっている。

 こうした状況の中、道民の健康づくりの推進に当たっては、若い世代からの健康教育や社会全体が相互に支え合う環境の整備などが大切であり、子どもたちをはじめとした学校教育との連携や、働き方改革が叫ばれている企業、事業者などに対する取組は非常に重要であることから、道としても各関係機関と連携した取組を展開すべきと考えるが、知事ならびに教育長の所見を伺う。

A鈴木知事 道民の健康づくりについて。新型コロナウイルス感染症の流行は、外出機会の減少に伴う運動不足や食生活の乱れ、さらには、生活環境の変化によるストレスの蓄積など、心身に大きな影響を与えており、健康の維持増進はこれまでにも増して重要と認識している。

このため、道ではコロナ下においても、道民の皆さんの健康づくりを共同で応援する健康づくり共同宣言に賛同いただいた市町村や関係団体、企業の皆さんなどの協力をいただきながら、生活習慣の改善や特定健診の受診促進などに努めてきたほか、道教委と連携し、がん予防や喫煙防止などに関する健康教育に取り組んできた。

今後はこうした取組に加え、子どもを対象とした食事に関する健康教育やシニアに向けた栄養セミナーを企業の皆さんと協働で開催するなど、子どもから大人までライフステージに応じた健康づくりを進めていく。

A倉本教育長 保健・福祉問題に関し、学校における健康教育の取組について。道教委では、子どもたちが心身共に健康的な生活を営むことができるよう、学識経験者や医療・福祉関係者などの皆さんからの助言もいただきながら、各学校に対する資料の作成、配布や、専門家を講師に迎えた養護教諭等を対象とした研修会等の実施など、健康保持・増進に努める教育活動の充実に取り組んでいる。

 今後は、道の関係部局をはじめ、医療系大学や医師会などとの連携を強化するなど、専門医等を学校に招いた出前講座や、高校生と医療系大学の学生の協働による学習や研究を実施するとともに、大学と連携して現在作成している生活習慣病の予防等に関する指導資料なども活用しながら、ポストコロナを見据えて、子どもたち一人ひとりが健康に関する正しい知識を身に付け、健康な生活を実践できる資質・能力を育成する健康教育の一層の充実に努めていく。

◆少子化対策

Q阿知良議員 少子化対策について。国においては少子化政策を最重要課題と位置づけ、近く、対策の総合的な司令塔であるこども家庭庁の設置に向けて取り組まれるものと承知している。

 本道の合計特殊出生率は、全国で、東京、宮城に次いで低い現状にある。このような中、今後、本格的な少子化対策にどのように取り組んでいくのか、また、道として今後、国のこども家庭庁に対応した受皿についてどのように考えていくのか、重点的にどのような取組を展開されようとしているのか、併せて所見を伺う。

A鈴木知事 少子化対策について。道ではこれまで、待機児童の解消や男性の育児休業の促進、子育て世帯の経済的負担の軽減など、各般の施策を通じて、結婚や子どもを持つことを希望する方々を支援してきている。

 今般の感染症によって、こうした方々の経済的・精神的不安が、結婚や妊娠、出産などの面に少なからず影響を及ぼしていることから、道としては、現在の施策や感染症の終息に向けた対策を継続しつつ、新年度から、大学生など若い世代の感性や意見を子育て施策に反映させるためのユースプランナー制度や、オンラインを活用した婚活支援にも取り組むなど、少子化対策のより一層の充実を図っていく。

 また、こども家庭庁については、昨年12月に閣議決定されたこども政策の新たな推進体制に関する基本方針において、5年度のできるだけ早期に創設するとされたことを受け、道では本年1月に教育庁を含む関係部局で、こども家庭庁の設置に関する情報交換を行ったところであり、今後、国における議論などを注視し必要な対応を検討していく。

◆北海道博物館

Q阿知良議員 北海道博物館について。文化観光推進法が2年5月に施行されて以降、これまで、全国で41の拠点計画、地域計画が認定されているものと承知しているが、本道においては、小樽芸術村の1ヵ所のみとなっている状況にある。

 他県においては、県立の博物館や美術館を文化観光拠点施設として、様々な取組が展開されており、道においては北海道博物館を拠点施設として、機能の充実や情報発信の強化などを図り、国内外からの利用客の増加につなげていくべきと考えるが、知事の見解を伺う。

A小玉副知事 北海道博物館に関し、今後の取組について。北海道博物館は、本道の豊かな自然、環境、アイヌ文化など、特色ある自然や歴史、文化を広く紹介する総合博物館として、資料の収集、調査研究、展示活動の充実に取り組むとともに、道内各地域の博物館と連携し、ネットワークを構築するなど、本道の中核的博物館としての役割を果たしている。

 こうした中、一昨年の5月に施行された文化観光推進法の趣旨を踏まえ、道としても、ポストコロナを見据え、道民の皆さんはもとより、国内外の多くの方々に安心して展示等を楽しんでいただけるよう、来年度以降、博物館を文化観光拠点施設として位置づけ、展示資料のデジタル化、多言語化、さらには解説動画の作成などに計画的に取り組むとしている。

 道としては、今後とも国内外の多くの方々が博物館に興味を持ち、訪れていただけるよう、観光や教育などの関係部局や、道内各地で文化振興に取り組む団体等と連携しながら価値と魅力の向上に努めていく。

◆STEAM教育

Q阿知良議員 教育長は先の教育行政執行方針の中で、グローバル化の進展などによって、人々の価値観や生活様式が大きく変化する中で、これまでの知識や経験を重視した視点から、子ども自身が自らの良心や可能性を認め、地域などの多様な人々との連携協働しながら、それを生かしていくことの大切さを指摘し、学校教育と社会教育の連携の重要性を示している。

 そこで伺う。まずSTEAM教育の推進について。急速な技術の進展には、激しく変化する社会に対応するため、様々な資質・能力を備えた人材の育成が求められていると考える。

 高校改革で取り上げられているSTEAM教育とはどのようなものなのか、また、道教委として今後どのように取り組んでいくのか。

A倉本教育長 STEAM教育の推進について。高校改革を取り上げた国の教育再生実行会議において、STEAM教育は各教科での学習を実社会での問題発見・解決に生かしていくための教科等横断的な教育とされ、その推進が提言された。

 道教委としては、各学校において、学習指導要領に新たに位置づけられた総合的な探究の時間などを通じて、例えば地域における人口減少を防ぎ活性化させる方策や、再生可能エネルギーの有効な活用方法など、実生活や実社会に関連する諸課題などについて、生徒自らが設定した学習テーマに基づき、関係機関や大学等の専門機関等との連携のもと、教科、科目などの枠を越えて探究的な学習を推進するとし、持続可能な社会を形成する人材として必要な資質・能力を育んでいく。

◆幼児教育推進

Q阿知良議員 つぎに幼児教育の推進について。幼児教育においては、幼児教育施設と小学校との接続における諸課題の解決に向け、今後どのように取り組んでいく考えなのか、教育長に伺う。

A倉本教育長 幼児教育の充実について。幼児期の子ども一人ひとりの発達や特性を把握し、その後の教育活動に確実につなぐためには、幼児教育と小学校教育の連携協働を深め、各教育主体間で育ちと学びに向けた取組を共有することが重要である。

 こうした中、道内においては地域ごとに、幼小接続の取組に濃淡があることや、円滑に接続するためのノウハウが不足している状況が見られるところである。

 このため、道教委としては関係者が連携して、接続期の様々な課題の解決を図るモデル的取組である北海道版幼児教育スタートプログラム事業を実施し、各地域において、幼児教育施設と小学校はもとより、市町村や福祉など関係機関との連携強化を促進するとともに、具体的な実践事例を蓄積し、発信することによって、道内の多くの地域における創意工夫を生かした取組を促し、全ての子どもに対し、質の高い学びが保障されるよう取り組んでいく。

(道議会 2022-07-07付)

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