北音教 夏季研修会を開催 小中一貫意識した授業へ 筑波大附属小の平野氏ら迎え
(道・道教委 2022-08-17付)

北音研授業1
平野氏は手拍子や楽器を使い音の世界を楽しむ方法を参加者と共に実践

 北海道音楽教育連盟(北音教、足立教会長)は8日、札幌市立資生館小学校で夏季音楽教育研修会を開いた。筑波大学附属小学校教諭(筑波大非常勤講師兼務)の平野次郎氏と、道教育大学札幌校准教授(藤女子大学人間生活学部非常勤講師)の石出和也氏を講師に迎え、小中一貫や9年間の育ちを踏まえた授業実践に向け指導力の向上を図った。

 研修会には全道から約40人が参加。足立会長があいさつに立ち「新型コロナによって一昨年は中止、昨年はオンラインで実施したが、直接対面で研修したいとの要望が多く、3年ぶりに参集型の研修会とした」と説明した上で「本日はお二人の講師を招き、小中一貫した9年間の指導の観点から両方の講座を受講できるようにした。2学期からの指導に生かしてほしい」と期待した。

 このあと、平野氏が「この先10年の音楽科授業を見据えた“学ばせ方改革”」、石出氏が「多様な音素材を用いた創作指導の意味~実例と背景」をテーマにそれぞれ教育講座を実施。

 平野氏はランチルームを会場に小学生を対象とした指導法を、石出氏は第2体育館で主に中学生を対象とした指導法について講義。その後、新型コロナウイルス感染防止のため、参加者が会場を移動するのではなく、講師が別会場へ移動。参加者全員が小学校向け、中学校向けの両方の指導について学んだ。

 平野氏は、コロナ禍でも実践可能な常時活動や、音楽づくりの初めの一歩となるリズム遊びなどを、参加者を児童に見立てて体験させながら紹介。

 「幸せなら手をたたこう」の伴奏に合わせ、手拍子、手拍子の2回目をじゃんけんにし平野氏に勝ったら座る、勝った参加者が前に出て平野氏の代わりにじゃんけん、つぎに勝った参加者は前に出てつぎはどんなルールでいくか決めるなど、リズムを楽しみながら、できるだけ多くの参加者が拍手されたり、脚光を浴びたりするよう配慮した。

 また、思い思いの打楽器を手に持ってもらい、みんなが一斉に鳴らす、順番に鳴らす、別の持ち方で鳴らすなど、音色の違いや変化を楽しんだほか「一番高い音で拍手してみて」「つぎは一番深い音」「順番にできるだけ早く拍手して」「今度は全員で3秒切って」と、次々とリズム遊びを仕掛け「音楽づくりの一歩目はこんなものでいい。とにかく子どもが試すことが重要。自分で試し、気づき、比較し、協働することが大切」などと述べた。

 また「平成24、25年の調査では、音楽の授業が好きという子は68・1%しかいなかった。他の教科に比べ低いのは、個が活躍する時間が少ないから。音楽は○○しましょうと教師がさせることが多く、自由度が少なかった」と述べ、子ども自身がリズムや音程などを楽しみ、行動したり創意工夫したりする授業の大切さを説いた。

 一方、石出氏は楽器音や歌声だけでなく、身の回りの多様な「音」を素材に、「聴くこと」「創ること」について説明。

 空き缶を2つつなぎ、片方にだけ水を入れると、穴を通るときに不思議な音がすることや、ポテトチップスなどの円筒にばねを付けたもの、卵の殻を布に入れたものなど多数紹介。

 「見た目とちょっとギャップのある音が出ると、子どもは気になって音に集中する」「音が生まれてから終わりまでしっかり聞くようにすることで、音が減衰していく様子などに気づいていく」などと述べた。

 また「基本的に音は2つのものが出合って生まれる。雨の音は雨だけではしない。屋根や公園の葉っぱ、傘やアスファルトに当たって初めて音になっている」「楽器を作るときも、ペットボトルに入れるとみんなペットボトルとの音になってしまう。あえて布やガーゼに入れると、小さいけどきれいな音がする」など、多様な音を作るポイントを解説した。

 このあと、1枚の紙を使い、どんな音ができるかを参加者がそれぞれ考案。振る、こする、丸める、グシャッとする、草笛のように吹くなど、1枚の紙でも多彩な音が出せることを楽しんだ。

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北音研授業2
石出氏は身の回りにあるものを素材に聴くこと創ることを解説した

(道・道教委 2022-08-17付)

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