札幌市等　５年度税財政要望案　校舎等建設費　必要十分額算定を　義務教育費など税源移譲求める

（札幌市 2022-08-19付）

　青本は、中長期的な観点からの税財政制度の改正に関して、大都市行政を総合的に進める上で不可欠な税財政の充実を図ることを目的に、指定都市市長会などが昭和３８年から取りまとめているもの。例年１０、１１月に、各政党をはじめ、内閣府や総務省、財務省などに要請している。

　札幌市は、１７日に開かれた市議会大都市税財政制度・災害対策調査特別委員会に、指定都市市長会がまとめた５年度大都市財政の実態に即応する財源の拡充についての要望（通称、青本）案を報告した。税制・財政に関係する重点要望事項６項目、要望事項８項目を整理。小・中学校の校舎および屋内運動場建設費に関しては、本来あるべき補助基本額と実際の補助基本額に大きな乖離があるとし「国庫補助負担金算出には、事業実施のために必要かつ十分な金額を基礎とするべき」と訴えた。

　５年度の重点要望事項は、税制関係が「真の分権型社会の実現のための国・地方間の税源配分の是正」「大都市特有の財政需要に対応した都市税源の拡充強化」「事務配分の特例に対応した大都市特例税制の創設」の３項目。財政関係が「国庫補助負担金の改革」「国直轄事業負担金の廃止」「地方交付税の必要額の確保と臨時財政対策債の廃止」の３項目となっている。

　国庫補助負担金の改革については、地方が担うべき分野の所要額を全額税源移譲することを要望。教育関連では、義務教育費国庫負担金、子どものための教育・保育給付交付金などを挙げた。

　要望事項は、税制関係６項目、財政関係２項目を要望。

　財政関係においては、国庫支出金対象事業となっている小・中学校の校舎および屋内運動場建設費を例示。総事業費のうち、本来あるべき補助基本額と実際の補助基本額に大きな乖離があり、指定都市に超過負担が生じている状況を指摘し「国庫補助負担金改革がなされるまでの間、存続する負担金については、国と地方の適正な財政秩序を確立するため、算出の際には事業実施のために必要かつ十分な金額を基礎とするべき」と訴えた。

　また、地方債制度の充実に関わっては、時限的措置となっている公共施設等適正管理推進事業債に関し、公共施設等の更新・統廃合・長寿命化を推進する観点から、恒久的な措置とすることを要望。本年度追加された脱炭素化事業については、脱炭素化推進の観点から、既存施設の改修に制限せず、新築や改築を対象とすることを求めた。

(札幌市 2022-08-19付)