札幌市　子ども生活実態調査結果　「食料買えず」世帯１割　所得格差の影響明らかに

（札幌市 2022-08-23付）

　札幌市子ども未来局は、子どもの生活実態調査の結果をまとめた。全国的に子どもの貧困が問題となる中、市内でも、必要な食料が買えないことがあったと回答した世帯が約１割あった。このほか、必要な病院受診を控えた経験や教育資金の準備状況など、所得格差がもたらす影響の実態が明らかになった。

　調査は、次期こどもの貧困対策計画の策定に向けて、平成２８年以来５年ぶりに実施したもの。

　２歳、５歳、小学２・５年、中学２年、高校２年の子どもがいる家庭約１万世帯の保護者と、小学５年、中学２年、高校２年の児童生徒約４５００人を対象に実施した。回答率は保護者で７３・２％、児童生徒で７９・４％だった。

　結果は、ひとり親家庭とふたり親家庭、相対的貧困線（等価可処分所得の中央値の半分１２７万円）を基準に低所得層Ⅰ、低所得層Ⅱ、中間所得層Ⅰ、中間所得層Ⅱ、上位所得層に区分した。

　回答者のうち、ひとり親世帯は１１・１％、ふたり親世帯は８７・５％だった。ひとり親家庭の半数が低所得層Ⅰで、ふたり親家庭の６・７％と比較して、所得がより低い方に分布していることが顕著に現れた。低所得層Ⅱも１８・９％だった。

　保護者に対し、経済的な理由によって家族が必要とする食料を買えなかった経験があるかを尋ねる質問では「よくあった」「ときどきあった」「まれにあった」を合わせた割合は全体で１０・６％。ひとり親世帯に限ると２３％に上り、所得階層が低いほど割合が高い傾向にあった。

　子どもに必要な病院受診をさせなかったことがあった割合も１６・４％だった。理由について「お金がなかった」と答えた割合は１３・１％で、市では所得の格差が健康面にも影響していることを問題視している。

　また、家庭の経済状況が進学に影響している実態もみられた。

　子どもに教育を受けさせるための資金の準備について、小学５年と中学２年の保護者に尋ねると「貯金や学資保険などで準備を始めている」と答えた割合は５８・３％だった。

　一方で、所得階層が低くなると「時期になったら奨学金を利用する予定である」「まったくめどはついていない」という回答が目立った。特に低所得層Ⅰでは４０％近い世帯が「まったくめどはついていない」と回答した。

　同局は、アンケート調査

のほか、児童福祉施設や学校関係者などへのヒアリング、生活保護受給世帯やひとり親家庭で成育した若者対象とした座談会も実施しており、併せて計画策定の基礎資料とする。

(札幌市 2022-08-23付)