道高教組・道教組が声明 民意反映した指針策定を 高・特配置計画決定受け
(関係団体 2022-09-14付)

 道高教組(尾張聡中央執行委員長)と道教組(中村哲也執行委員長)は12日、公立高校配置計画および特別支援学校配置計画に関する声明を発表した。機械的な学級数の増減は、学校と地域に混乱をもたらし、教職員の過重労働を深刻化させると断じた。道教委が改定作業を進める「これからの高校づくりに関する指針」に言及し「同一学区内で最大8学級から最小2学級という極端な学校間格差は早急に改善すべき」と強調。道教委に対し、40人学級と1学年4~8学級を望ましい学校規模とする固定概念を捨て「多くの地域の道民の意見を反映した指針を策定する責務がある」と訴えた。声明の概要はつぎのとおり。

 道教委は6日、公立高校配置計画(2023~25年度、以下、高校配置計画)と23年度の公立特別支援学校配置計画(以下、特別支援学校配置計画)を発表した。

 今回の高校配置計画は、23年募集停止としていた留辺蘂高校の募集停止を1年延期したほかは、6月7日に発表した高校配置計画案とほとんど変わっていない。

 これらの内容は、「これからの高校づくりに関する指針」(以下、指針)が示す「望ましい学校規模」や「多様なタイプの高校づくり」に固執するもので、地域の高校を大切にしてほしいという道民の願いとはかけ離れていると言わざるを得ない。

▼募集停止は実情と乖離した「指針」の改定まで留保せよ

 本年度行われた2度の地域別検討協議会では、多くの地域の教育関係者から、地域の高校は子どもにとって大切な学びの場であり、地域活性化において、高校は欠かせない存在であることが指摘されている。

 また、40人学級と1学年4~8学級が「望ましい学校規模」であるという指針が、地域の実情に合わないこと、少人数学級できめ細かい教育を求める声が上がっている。特にオホーツク中地区においては、昨年決定した留辺蘂高の募集停止の再提示に対し、第1回、第2回共に全ての参加者が募集停止に反対し、指針に異を唱え、留保を求めた。留辺蘂高の募集停止を1年延期したことは、教育行政として民意をくみ取るという当然の責務を果たしたと言えるが、学校をなくすという道教委の結論に変わりはない。

 穂別高校は、地理的状況等から再編が困難であるという地域連携特例校で初めての募集停止となるが、道教委自身が指針の改定に向け地域連携特例校の扱いの変更を検討している最中でこの判断は許されない。

 地域の実情と乖離した現在の指針のもとでの留辺蘂高・穂別高2校の募集停止は撤回すべきであり、少なくとも指針改定までは留保すべきと考える。

▼現場を混乱させる機械的な学級減、年度当初の学級減はやめよ

 道教委は2次募集後に学級減とした20校は「計画決定時に公表する」としていたが、このうち11校11学級を削減することとした。こうした場当たり的な学級減は、3年間を見通したはずの教育計画ばかりか、当初予定していた教育課程の変更を余儀なくされ、受験生・保護者への説明や進路選択にも大きな影響を及ぼしている。短期的な生徒数の増減に対し、毎年機械的に学級数を増減させることは、学校と地域に混乱をもたらし、教職員の過重労働を深刻にするだけである。2次募集後に学級減としたままの11校では、次年度は教員数を維持して様子を見るなど、単なる数あわせではない対応を行うべきである。

 とりわけ生徒数が多く競争が激しい石狩学区での矛盾が際立っている。19~22年度の配置計画では、学級減数は19学級だったものが、2次募集後の学級減を加えると42学級となり、配置計画の倍以上の学級減の強行となっている。その際、学級減が復元された例がない理由について道教委は「学区の厳しい競争環境によって生じた結果として重視している」と説明しているが、厳しい競争環境を肯定し、一層の競争激化を招くものとして絶対に容認できない。指針の改定に当たっては、同一学区内で最大8学級から最小は2学級という極端な学校間格差は早急に改善すべきである。

▼必要な財源確保をし、教室不足を解消せよ

 特別支援学校配置計画では、白糠養護学校を23年3月末に閉校するとしている。これは、学校に隣接する白糠学園(社会福祉法人北海道社会福祉事業団)の閉園に伴うものであるが、地域からは学校存続の声も上がっていた。白糠養護の閉校により、在校生は釧路市内など別の特別支援学校に転校するとのことだが、道東地域の肢体不自由特別支援学校は、網走養護学校1校のみとなる。広い道東地域において肢体不自由教育の保障、専門性の確保等が課題である。受け皿となる地域の義務制の特別支援学校の教室不足も慢性的な問題となっており、これら課題の根本的な解決のためには、同地域での肢体不自由教育の拠点となる学校の設置を含めた、新たな特別支援学校の新増設を検討すべきである。

 また、道教委は現在、「特別支援教育に関する基本方針」の策定に向けて、9月中にパブコメの実施、本年度末の決定を目指している。その中で、道内各地で問題となっている特別支援学校の教室不足を解消する具体的な方針を示すべきであり、必要な財源確保を含め、実効ある基本方針を示すよう強く求めるものである。

▼理念なくして、新たな「指針」はつくれない

 道教委は来年度の指針改定に向け現行指針の検証を行っているが、これまで行った様々な「特色づくり」において、どのような生徒が育ったか、保護者や教職員や地域の関係者がどう考えているかといったことをさておき、入学者数の増減、就職・進学率をもって評価し、学級数、統廃合を決定してきた。特色づくりの目玉として導入した「総合学科」の留辺蘂高を募集停止にし、反省の言葉もなく「特色ある教育活動の一部を近隣校に引き継ぐ」としたことは、指針路線の破綻を如実に表している。

 こうした数あわせの手法からは、道教委自らが示している教育行政執行方針にある「北海道への誇りと愛着を持ち、未来を切り拓く人づくり~家庭・地域と連携した学校や多様な価値観を認め支え合う社会の実現~」という観点はみじんも感じられない。

 北海道の教育をどのように構想するのか。そもそも多くの地域に高校がなくなっては道教委が進める地域との協同は難しく、北海道への誇りや愛着も育てようがない。40人学級と1学年4~8学級が「望ましい学校規模」であるという固定概念を捨て、高校配置はどうあるべきか、多くの地域の道民の意見を反映した指針を策定する責務が道教委にはある。

 21年度に道内189校の公立高校のうち、1学年1学級の学校は53校、22年度は9校増え62校を数える。これらの学校を統廃合することは、地域コミュニティの崩壊を加速させるものである。小規模校の維持を基本とすることが地域活性化の鍵となるものであり、来年から運用される改定指針は、浜中町立の霧多布高校が30人学級としているなどの努力に学び、少人数学級を軸とした、全ての子どもにゆきとどいた教育を保障するために策定すべきである。

 私たちは、教育予算の増額、国による少人数学級の実現、教育費無償化、特別支援学校の狭あい化・過大過密化の解消などを求める「教育全国署名」に全力で取り組むとともに、「ゆきとどいた教育」を求める共同をいっそう広げ、大きく運動を進めていく決意である。

(関係団体 2022-09-14付)

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