釧路市・釧路教育振興会が講演会 “子どもが主語”の教育を 道教委・石川教育指導監(関係団体 2022-09-14付)
講演する石川教育指導監
【釧路発】釧路市教育振興会(羽刕洋会長)と釧路教育振興会(桐木茂雄会長)は8月27日、釧路センチュリーキャッスルホテルで第42回合同教育講演会を開いた。教育関係者約200人が参加。道教委の石川一美教育指導監が講演し、北海道のこれからの学校教育における今日的課題について理解を深めた。
石川教育指導監は「教育の今日的課題」と題して、学校教育を巡る時代の変化について、社会と学校との関係の概観を説明した。
現在の立ち位置を「能力重視から人間存在としての基本的価値重視への転換期に当たる」とした上で、今後は「“教師が主語”から“子どもが主語”へと変わっていく」と強調した。
中教審が答申で示した令和の日本型学校教育について「一人ひとりの子どもが主語となる教育であり、GIGAスクール構想で求められる新しい学びの姿のように、教師による一斉授業から子ども主体の学びへと学校教育が劇的に変化を遂げる時でもある」とした。
また、教師の主体性や人材の育成、新型コロナウイルス対策や学力・体力向上など、様々な課題を抱える中、教育の今日的な課題として①教師エージェンシーを育む学校文化の醸成②学校経営、人材育成のデザイン力③教育課程編成のデザイン力―の3点を提示した。
課題解決に向け、自身が苫小牧市立明野小学校長時代に実践した「明野小のカリキュラム・デザイン」をもとに具体的な取組を紹介した。
明野小では、学校経営ビジョンを共有するため、先進校の実践を学ぶ機会や道外視察報告会など、様々な研修の場で情報を共有するとともに、教師によるビジョンづくり会議や、児童との「明日の明野小を語る会」を実施したことを報告した。
児童も学校づくりの主体者となる活動として「明野小学校・大変身プロジェクト」を進めたことを説明。「校長が経営ビジョンを明確に示し、その方向性の共有を図ることが重要」とした上で、「手段は教師に任せる勇気も必要」と訴えた。
このほか、人材育成に係るプロジェクトチームによる学校運営を例示。初任者層を中心にチームリーダーを指名し、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた学校運営組織体制の確立と学校改善の取組などの例を示した。
初任者の提案で実現した「スポーツフェスティバル」(運動会)と「文化フェスティバル」(学習発表会)については、自己決定する場の保障や地域と一体となったフェスティバルの模索、教科等横断的な教育課程の発表の場になったとした。
一方で、目的地や遊び、行程を子どもが決定する「縦割り遠足」についても解説。子どもが主語となる活動に変身した過程等を写真や活動記録などを提示しながら説明し「これらの実践は、子どもと共に、教師の主体性も育てる取組になった」と述べた。
主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善については、個別最適な学びと協働的な学びのもと、「自立した学習者を育てることが大切」とした上で、先進校の取組事例を紹介。ICTを活用した個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実が求められるとする一方で「1人1台端末の活用を目的にしない」ことを強調した。
最後に「校長は子ども一人ひとりが主語となるため、ファシリテーション能力や組織マネジメント、アセスメント能力等を発揮し、強いリーダーシップのもと、課題解決に取り組むことが重要」と期待を寄せた。
(関係団体 2022-09-14付)
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