道展の作品が焼却の危機？　「作品」活用しませんか　空き教室や廃校でギャラリーなど

（関係団体 2022-09-26付）

　大正１４年からという長い歴史を持つ「道展」（第９６回）が２１日から始まったが「作品を活用してほしい」という異例の呼びかけを行っている。

　道展は、毎年約１万人に及ぶ来場者でにぎわうなど広く道民に親しまれている。展覧会開催後は原則作品を作者に返却しているが、個人では長年の蓄積で収蔵場所がなくなったり、貴重な作品が散逸したりすることが課題となっている。

　特に、道展の会員は団塊の世代が多いことから「この先５～１０年、多くの作品が行き場を失ってしまうのでは」と危機感を募らせている。

　事務局でも様々な取組を行っており、地方の市町村では公民館などで展示する例が多いが、札幌市は自治体の規模が大きく、作家同士の交流が図りにくい上、美術館の収蔵スペースが足りず「市内の作家の作品がどんどん失われていく」（事務局）。こうした事情から「やむなく粗大ごみとして焼却してもらうこともある」という。

　事務局では、こうした作品が少しでも多くの人に見られ活用されるよう、学校の空き教室や廃校舎を活用したギャラリーの設置などを希望しており「１００～１３０号といった大きな作品を間近で見たり、日常的に作品に触れて感性を養ったりしてほしい」と述べ、定期的な作品の入れ替えにも対応できるという。

　このほかにも、民間とのコラボレーションやクラウドファンディングなどを検討しており、事務局では「作品にとっても作家にとっても、私蔵しているより多くの方に見ていただくのが幸せ。ぜひ道展の作品を活用してほしい」と呼びかけている。

　詳しくは事務局・電話０１１（８４１）０５３５まで。

(関係団体 2022-09-26付)