第71回道公立小中事務研究大会 主体的な学び深化を期待 582人参加 講演、分科会で研鑚(関係団体 2022-09-22付)
分科会では学校事務の今日的課題の解決を目指した
道公立小中学校事務職員協議会(作田八重子会長)は15日から2日間、ホテルライフォート札幌を主会場に第71回道公立小中学校事務研究大会をオンライン開催した。テーマ「創造性ゆたかな学校事務をめざして!~“領域”のあゆみを未来へつなげよう」のもと、会員582人が参加。北大大学院教育学研究院の松本伊智朗教授による講演や6分科会での協議を通して、日常の実践と研修の成果を検証し、学校諸課題の解決への方策を探った。
冒頭、北野茂樹副会長が作田会長のあいさつを代読。共同学校事務室や働き方改革の法制化、子どもの貧困、コロナ禍への対応など、学校事務職員を取り巻く環境の変化に言及し「学校事務職員の役割が大きくなっている中で、十分に論議する機会が失われている」と危惧。分科会の時間を確保し、参集形式に近い協議会を目指したことを強調し「あすの学校事務を担う会員が課題を共有する貴重な機会とし、主体的な学びの場となることを期待する」と述べた。
佐藤準実行委員長は、学校現場において、働き方改革や学びの保障、子の貧困対策、ICT機器導入などが進む一方で「教員の業務負担軽減と併せて微妙なバランス配分が求められ、混乱しているのでは」と指摘。様々な課題が山積する中、「これまで学校事務職員が重ねてきた実践の成果が、これらの課題に対応していく礎になる」と述べ、分科会での活発な議論を通して充実した協議会になることを願った。
後藤浩史研修担当理事による基調報告のあと、松本教授が「子ども・家族の貧困と学校」をテーマに講演した。
松本教授は、貧困を「社会生活を営むための必要を充足する資源の不足や欠如」と定義。社会的貧困が「何かをなすときの制約や、現実的な選択肢の縮小・制限をもたらす」と述べ、「制約を経験することで、必要となれていない、恥ずかしいという感覚を与えてしまう恐れがある」と警鐘を鳴らした。
税と社会保障の関係性を示した国際データを提示。多くの国では、税の再配分後に貧困率が低減している一方で、日本では低減の効果が見られないことを挙げ「高齢者層では年金などによって効果があると言えるが、子育て世代に対しては社会保障の仕組みが機能していない」と指摘した。
道の調査で明らかになった、貧困世帯を取り巻く経済的なゆとりのなさによる保護者の夜勤の頻度、病院の受診状況やうつ尺度などの心身の健康、ヤングケアラーに関するデータ、子どもの経験の不平等、進学希望・機会の格差などを指摘。「家族の格差が子どもの状態に直結する」と強調し「家族の不利を子どもに持ち込ませない仕組みづくりが大切」と訴えた。
その上で、学校現場で考えるべきこととして①費用負担の軽減②楽しいと思える学校づくり③家族と子どもの誇りを傷付けない環境づくり―の3点を求めた。
このあと、職務検討委員会が「学校財政財務ファイル」に関する報告に続いて、2日間にわたって6分科会を開催した。
うち第5分科会では、「“学校財政財務ファイル”の作成を通して職務を考える」をテーマに協議。職務検討委員会が中心となって作成した、学校予算や教育環境整備に向けた必要事項を効率的に管理するためのツール「Theファイル」の基本的・発展的な活用方法について意見交換した。
会員らは「各校で共通したファイルを活用することで、市町村内や管内で課題を共有し、予算要望などに生かすことができる」「学校規模が同等の他校とデータを比較することで、より良い学校環境整備に資することができる」などと話した。
Theファイルは、10月以降に協議会のホームページに掲載し、各校で運用を開始する。
(関係団体 2022-09-22付)
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