札幌美しが丘緑小　教育実践発表会　考えつなげ目的に迫る　６年社会　信長とキリスト教

（札幌市 2022-09-14付）

山本教諭が指導した６年生社会

　札幌市立美しが丘緑小学校（足立教校長）は７日、同校で教育実践発表会を開いた。研究主題「学びと“つながり”学びを“つなげる”子」のもと、国語、社会、算数、特別支援の計８授業を公開。山本勝祥教諭が指導した６年生社会では、児童一人ひとりの考えをつなげていきながら、織田信長がキリスト教を保護した目的に迫る授業を展開した。

　同校は、元年度から４ヵ年計画で研究を進めており、本年度が最終年度。２つの視点によるアプローチを通して、研究主題に迫っている。

　１つ目の視点は「教材と子どものつながり」。

　単元を通した貫く学びのデザイン、子どもの興味・関心・意欲を刺激する魅力的な教材化を通して「“問い”や“～たい”が続く授業」を目指している。

　２つ目は「子どもと子どものつながり」。

　各教科等における多様な見方・考え方を働かせて学び合う展開をつくり出すことで「“学びの深まり”が生まれる授業」を目指している。

　公開授業のうち、６年１組社会「戦国の世から天下統一へ」（児童数２５人）は山本教諭が指導した。

　単元では「南蛮貿易やキリスト教の伝来を手掛かりに、群雄割拠の世で織田信長と豊臣秀吉が天下統一を果たしていったことを理解する」をねらいとし、「信長と秀吉の天下統一の謎を探ろう」という学習課題を設定。

　これまでに、信長と秀吉が天下統一に向けて行ってきた政策、キリスト教の伝来、南蛮貿易によって鉄砲が伝わったり港町・堺が発展したりしたことを取り扱った。

　それを踏まえ、本時では「信長がキリスト教を保護した理由を考える活動を通して、南蛮貿易による経済面や戦術面への影響と天下統一のための手段だったことに気付き、適切に表現することができる」をねらいとして位置付けた。

　山本教諭は導入で、既習事項として信長がキリスト教を保護していたことを振り返った上で、新たに「信長はキリスト教を信じていなかった」という史実を提示。「信じていないのになぜ保護したの」などのずれを生み出し、理由を知りたいという課題意識を醸成した。

　それを踏まえ、児童たちは既習事項をもとに考えをまとめていった。

　全体交流は、児童一人ひとりが発表した考えをつなげながら展開。「南蛮貿易によって発展した堺を支配し、豊富な資金を手に入れた」「鉄砲などの新たな戦術を得る」の２つの側面からの意見を掘り下げていき、信長が天下統一の手段としてキリスト教を保護したという戦略の鋭さに気付かせた。

　振り返りでは、天下統一の途中、本能寺の変で自害に追い込まれた信長の思いを視点に加え、次時への意欲につなげた。

(札幌市 2022-09-14付)