札幌市　小中生向け防災教材改訂へ　胆振東部地震踏まえ　自助・公助周知　新たにデジタル化　５年度から

（札幌市 2022-09-14付）

　札幌市危機管理局は、小中学生向け防災教育教材の改訂に向けた作業を進めている。北海道胆振東部地震の経験を踏まえた防災の重要性などを追加する予定。また、ＧＩＧＡスクール構想で１人１台端末が導入されたことを踏まえ新たにデジタル教材化し、写真や映像資料などを効果的に配置する方針だ。５年度から各学校での活用が始まる見通し。

　市は、将来の防災に関する担い手育成を目的に、平成２５年から各小・中学校に防災教育教材を配布。教育現場における活用を推進している。

　一方、３０年に発生した胆振東部地震をはじめ近年で自然災害が激甚化・頻発化していることなどから、その経験を踏まえた防災教育の重要性が高まっている。

　また、令和元年度から市学校教育の重点に防災教育の推進が示されたこと、市が昨年８月に第４次地震被害想定をまとめたことなどを背景に、小・中学校における防災教育をさらに充実させようと教材の改訂に着手した。

　ＧＩＧＡスクール構想で各学校に１人１台端末が導入されたことを踏まえ、新たにパワーポイントを使用したデジタル教材として配布。小学１～３年生、４～６年生、中学生向けの３種類とし、教員が児童生徒の発達段階や教科等の特性に応じて自由にカスタマイズして使用することを想定している。

　２年度末、市内の教員らで構成する防災教育教材検討委員会を立ち上げ、作成のポイントなどを整理。追加必須項目として①北海道胆振東部地震経験を絡めた自助・公助の重要性の教育②市第４次地震被害想定の反映③正常性バイアスの教育④地域の災害リスクを知るための教育―を示した。

　さらに、写真や映像資料を効果的に配置するなど、災害に対する理解を深めるとともに、防災意識を高める工夫を盛り込むことを求めた。

　７月下旬に作成を委託する業者が決定し、検討委員会がまとめたポイントを踏まえて作成を進めている。

　業者と検討委員会の協議を経て、来年３月中旬ころに完成予定。５年度から各学校での活用が始まる見通しだ。

　危機管理局の担当者は「デジタル化することによって、項目やパーツごとに分けて使えるため、通年での活用が可能になる。子どもたちが防災に触れる機会が増えるのでは」と期待している。

(札幌市 2022-09-14付)