国連勧告受け永岡文科相 特別支援教育「中止せず」 通級や支援員配置など継続(国 2022-09-15付)
国連の障害者権利委員会が日本の特別支援教育の在り方の改善について勧告したことを受け、永岡桂子文部科学大臣は13日の記者会見で「現在、多様な学びの場で行う特別支援教育を中止することは考えていない」との見解を示した。通常学級で学ぶ時間を制限する通知についても撤回しないとし、引き続き通級による指導の担当教員の基礎定数化や特別支援教育支援員への財政支援などの取組を継続するとした。
国連の障害者権利委員会は9日、障害者権利条約を批准する日本に対する総括所見を公表。障害のある子どもの教育に関し個々の教育上の要請を満たす合理的配慮の保障やインクルーシブ教育に関する研修の確実な実施などの改善を勧告した(13日付1面既報)。
永岡大臣は「障害のある子どもとない子どもが可能な限り共に過ごす条件整備と、一人ひとりの教育的ニーズに応じた学びの場の整備を両輪として取り組んできた」と文科省の取組を説明。特別支援学級の理解の深まりによって特別支援学校・特別支援学級の在籍者数が増加している中、特別支援教育を中止する考えはないとし「引き続き勧告の趣旨を踏まえ、通級による指導の担当教員の基礎定数化の着実な実施などを通してインクルーシブ教育システムの推進に努めていく」と述べた。
特別支援学級に在籍する児童生徒が通常の学級で学ぶ時間を制限するよう通知で求めた件でも見解を表明。前年度文科省が行った実態調査によると、特別支援学級に在籍する児童生徒が大半の時間を通常の学級で学び、障がいの状態に応じた指導を十分に受けていないなどの不適切な事例があったことを踏まえたものとし「むしろインクルーシブ教育を推進するものであり、勧告で撤回を求められたのは大変遺憾と思っている。引き続き通知の趣旨を正しく理解してもらえるよう、周知徹底に努めていきたい」と述べた。
(国 2022-09-15付)
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