子への指導をセカンドキャリアに 学校にアスリート派遣 スポーツ庁5年度新事業
(国 2022-09-29付)

 スポーツ庁は、5年度から「アスリートの派遣等による体育授業等の充実・高度化の促進」事業を実施する考えだ。5年度予算概算要求に約1億9000万円を盛り込んだ。学校に派遣するアスリートを登録したリストを作成し、事務局が調整・派遣する仕組みを整える。体育授業の向上を目指すとともに、パラアスリートとの交流によって共生社会の実現にも資する。また、アスリートのセカンドキャリアとして特別免許状の取得につなげていく。

 スポーツ庁では、東京2020大会を「国民一人ひとりがスポーツの価値を再認識し、スポーツに親しむようになることは大会のレガシーの一つとして重要」と捉え、オリンピック・パラリンピック教育をレガシー創出の重要な取組の一つとして推進した。

 東京2020大会後は、参加したアスリート等による児童生徒との交流活動が積極的に進められているが、今後は、これまで蓄積されてきた多様な指導教材・指導事例の情報提供・活用、JOC・JPCなどの関係団体との連携、ICTを積極的に活用した活動、アスリートとの交流活動など、「大会のレガシーを生かしつつ、より質の高い教育活動を進めていく必要がある」「特に、アスリートと子どもたちとの交流は、その教育的意義の大きさが確認され、アスリートとの直接的な触れ合いの中で、子どもたちの成長を促す取組を継続していくことが重要」と考えた。

 そこで、新事業ではアスリートの知見を生かした技術指導やスポーツの価値を伝え、子どもたちが「分かる」「できる」を体感したり、自ら運動する意欲を喚起したりできるよう、アスリートの派遣を希望する学校や教育委員会がスムーズに派遣を受けられるよう仕組みを構築する。

 具体的には、スポーツ庁がウェブサイトを通じ、教材・指導案など現場が活用できるものを全国に普及。

 JOCやJPC、各NF、プロリーグ、大学連携レガシーネットワーク等の団体の協力を得てアスリートを登録し「アスリートリスト」を作成。研修も行う。

 また、派遣者調整のための事務局を選定し、業務を委託。事務局が各教育委員会からの派遣依頼に応じ、アスリートを派遣する。

 学校は、各教育委員会を通じ派遣を依頼。アスリートとの交流や指導によって児童生徒のスポーツへの興味・関心や体育授業の質的向上を図り、成果や課題を教育委員会に報告する。

 特にパラアスリートとの交流を重点としており、子どもたちがパラスポーツへの理解を深め、障がいの有無にかかわらず一緒にスポーツに親しむ共生社会の実現に資する。

 同事業はアスリートのセカンドキャリアとしての学校教育・ジュニア指導もねらっており、子どもとの触れ合いや教育の魅力への気付きを促し、特別免許状の取得につなげていく。

(国 2022-09-29付)

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