文化庁 5年度予算概算要求発表 部活動地域移行に16億 地域移行数目標4500件
(国 2022-09-07付)

 文化庁は、5年度予算概算要求の概要を発表した。前年度比25・5%増の1350億円で、文化部活動の地域移行に向けた「文化部活動改革」に大幅増の16億円を計上。コーディネーターの配置や運営団体等の整備、指導者の配置、参加費用負担への支援などを行う。5年度の地域移行数目標値は4500件とした。

 文化部活動改革(地域連携や地域文化倶楽部活動移行に向けた環境の一体的な整備)には13億円増の16億円を計上した。

 休日の部活動の段階的な地域移行に向け、「部活動改革体制整備事業」に11億4400万円を充て、コーディネーター(各中学校区レベルで指導者の派遣管理、学校や文化施設との連絡調整・安全管理等を行う者)配置支援のほか、地域文化倶楽部活動の運営団体・実施主体の整備充実や持続可能な運営・質の確保の支援、指導者の配置と養成のための講習等の支援、経済的に困窮する世帯の子どもが参加できるよう、参加費用負担への支援を行う。

 また「中学校における部活動指導員の配置支援事業」に3億3600万円を計上。教師に代わる部活動指導や大会引率、生徒のニーズを踏まえた充実した活動を推進する部活動指導員配置に対する支援を行う。

 部活動の地域移行については5年度4500件、6年度9000件、7年度1万5000件を活動目標として示した。

 部活動関連以外では「文化芸術による子供育成推進事業」に56億1000万円を計上。国が一流の文化芸術団体を選定し、小・中・特別支援学校等で質の高い舞台芸術公演を実施する「子供育成推進巡回公演」1316公演程度、山間、へき地、離島など鑑賞機会に恵まれない地域の学校において合同で公演を実施する「山間・へき地等巡回公演」560公演程度を予定している。

 これらは122億円を充てた新規事業「舞台芸術等総合支援事業」の一部でもあり、子どもの舞台鑑賞者数を3年度の約25万人から5年度は37万人に増やす計画。

 文化芸術による子供育成推進事業ではこのほか、障がい者芸術団体による公演提供や、障がいのあるこどもたちや院内学級等の子どもたちも鑑賞しやすい公演を体育館等で実施する「ユニバーサル公演事業」を200公演程度、芸術家が学校の体育館、講堂等で公演、講話、ワークショップ等を実施する「芸術家の派遣事業」を3150公演程度、地域の美術館、音楽ホール等の文化施設を会場とし、アーティストやエデュケーター等が協力することによって、子どもたちがより効果的に鑑賞・体験できる活動を実施し、近隣の学校と連携した合同開催も可能とする「文化施設等活用事業」を110公演、芸術家によるワークショップや児童生徒が小集団で協働して創作や課題解決に取り組む「コミュニケーション能力向上事業」を200公演予定。

 また、小・中・高校等で芸術系大学等と連携し、芸術系教科等を担当する教員等向けに実演鑑賞なども含む実践的な研修を行う「芸術教育における芸術担当教員等研修事業」も実施する。

 このほか、茶道、華道、和装、囲碁、将棋などの伝統文化を体験できる機会を提供する「伝統文化親子教室事業」に倍増の約30億円を計上。幅広い参加を促し出会いの機会を提供する「地域展開型」を130件、習得を目指し継続的に実施する「教室実施型」を3800件、統括実施型を15件実施する。

 また、新規事業として「劇場・音楽堂等の子供鑑賞体験支援事業」に20億円を計上。18歳以下の子どもが無料で鑑賞できる劇場・音楽堂等で行われる本格的な舞台公演(オペラ、バレエ、オーケストラ、歌舞伎、能楽、演劇など)を支援する。公演数は5・6・7年度各260件、鑑賞する子どもの人数は各10万人を見込んでいる。

(国 2022-09-07付)

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