札幌市教育センター　専門研修　法的視野で危機管理を　黒坂弁護士が事例挙げ演習

（札幌市 2022-10-18付）

様々な事例について参加者同士で真剣に話し合った

　札幌市教育センターは５日、同センターで専門研修・危機管理２「法的視野での危機管理」を開催した。７４人が参加し、弁護士から学校で発生する事例に対する法的視野での対応の在り方について学んだ。

　札幌市教員育成指標における「危機管理」「関係機関との連携」「園・学校運営に関する法令等の理解」の向上に資するもの。

　札幌市弁護士会の黒坂頌胤弁護士が講師となり、具体的な事例をもとに、演習を交えながら実践的に講義を行った。

　黒坂氏ははじめにスクールロイヤーについて説明。「学校で様々な問題に対して継続的に助言を行う。顧問弁護士と違い、学校の利益ではなく、子どもの最善の利益を考え、法的見地から助言を行う」「複数の弁護士で対応しており、全員子どもの権利委員会に属している」などと述べた。

　また、顧問弁護士が訴訟になって初めて登場するのに対し「スクールロイヤーは紛争化した時点で対応する。トラブルの初期から問題に関与し、適切な対応を検討できるので問題が大きくなるのを防ぐことができる」とのメリットを挙げた。

　ただし「保護者対応に立ち会ってほしいとの要請があるが、あくまでも中立的な立場なのでそれはできない」と注意。逆に「保護者から様々な文書を出すように要望されることが多いが、その中身の検討には入ることができる」と伝えた。

　また、相談全般について「いじめ、不登校、保護者対応などの相談が多いが、担当者任せにすると担当の先生が疲弊してしまう。組織的対応を大切にし、担当の先生が疲弊する前にわれわれを呼んでほしい」と求めた。

　このあと、部活動中や帰りの会、自習中などに起きた生徒間の争いやけがなどについて実際の事例をもとに演習。事故が起こる予見可能性はあったか、安全配慮は適切だったか、どのような点に問題があり、どうすべきだったかなどを参加者同士で真剣に話し合ったあと、黒坂氏が法的見地から詳しく解説した。

(札幌市 2022-10-18付)