札幌市研究開発事業「防災教育推進」　効果的な指導方法模索　平岸西小で授業、意見交換会

（札幌市 2022-11-02付）

児童自ら行動を考える授業を展開した

　札幌市研究開発事業「防災教育の推進」指定校の市立平岸西小学校（北原哲也校長）で１０月２８日、授業公開および意見交換会が開かれた。市が５年度に配布を予定している映像資料を活用した研究授業を実施。児童の発達段階に応じた効果的な指導方法を考え合った。

　市は、将来の防災に関する担い手育成を目的に、平成２５年から各小・中学校に防災教育教材を配布。教育現場における活用を推進している。

　本年度、防災教育のさらなる充実に向けて、平岸西小を含む小・中学校５校を防災教育研究推進校に指定。デジタル教材の効果的な活用方法や、児童生徒の発達段階や教科等の特性に応じた授業の在り方などに関する研究を進めている。

　研究推進校における授業公開の先陣を切った平岸西小では、２年１組（佐々木華帆教諭）と５年１組（長谷勇輝教諭）による授業が行われた。

　うち２年１組学活「大きな地しんにそなえよう」では、研究における必須項目①北海道胆振東部地震経験を絡めた自助・公助の重要性の教育②市第４次地震被害想定の反映③正常性バイアスの教育④地域の災害リスクを知るための教育―の４点を盛り込んだ授業を実施。これらに、同校が進める授業展開「つかむ」「さぐる」「見つける」「決める」の４点を絡めた学習に臨んだ。

　佐々木教諭は冒頭、緊急地震速報を流し、地震について学ぶことへの意識を高めさせたあと、危機管理対策室が５年度に各学校に配布する映像資料を使って「大きな地震が発生すると、どうなる？」と児童たちに問いかけた。児童たちは「道路が壊れる」「家にあるものが倒れる」などと話した。

　その上で、佐々木教諭は「大きな地震が起こったとき、どのように行動すると良いかな？」と提起。映像資料を活用しながら、学校、下校時、家で発生した場合に発生すること、その場合に行動すべきことを考えさせた。児童たちは「机の下に隠れる」「頭を守るために帽子をかぶる」「壁から離れる」など、行動を考えた。

　佐々木教諭は「“今まで大丈夫だったから”と考えないで」などと注意を呼びかけながら、「安全な場所を見つけて、しゃがんで地震が収まるのを待つといいね」と説明。児童たちの「自分で考えて頭を守る」「自分で自分を守る」という考えを引き出した。

　このあと、意見交換会を開催。授業を視察した参加者らは、映像資料を活用した学習に当たって「児童生徒の発達段階に応じて、系統的な指導方法を考える必要がある」「膨大な資料から場面に応じた最適なシーンを採用するよう工夫しなくては」などと意見を出し合った。

　最後に、北原校長が同校で取り組んでいる「実効性の高い避難訓練の在り方」をテーマに発表した。

(札幌市 2022-11-02付)