北理研第7回札幌支部理科教育研究大会学年別分科会主張内容② イメージ図で考え整理 物のあたたまり方を考察
(札幌市 2022-11-02付)

4年「物のあたたまり方」

◆指導者=細谷哲平教諭(北九条小)

◆発表者=南口靖博教諭(幌南小)

▼主張

 「もののせいしつを調べようハイフン3」東京書籍の教科書において、この単元につけられている文言である。

 ハイフン1は「閉じ込めた空気と水」、ハイフン2は「ものの体積と温度」の単元。ハイフン4には「水の姿と温度」という単元が続く。

 これらの単元は、連続して捉えることの有効性を提案しており、今回の授業においても、ハイフン1、ハイフン2の学習を生かしたものの見方を働かせ、問題解決に挑む。

 ハイフン1「閉じ込めた空気と水」の学習では、手応えから空気の存在を捉えるという、実体的な見方を働かせる。その中で、空気を圧縮する際に「目に見えないものにも性質が存在する」ことを学ぶ。

 ハイフン2「ものの体積と温度」の学習では、温めるだけで膨張する、という物質の性質を学ぶ。空気においては、ハイフン1で獲得した、空気は性質を持つという学びを活用し、目に見えないが膨張する性質を持つと理解する。

 こうした連続した学びの中で、特に空気の性質について共通して言えることは「目に見えない」という点。そこにある。膨らむ。さらには、移動するなど、「質的・実体的な見方」を働かせることで空気の性質を事実として捉える必要がある。

 このような学びに「科学の価値」が生まれると考える。

 本時では「目に見えない空気は、温めることで移動する」ことを検証することで「空気は膨らんで浮かぶのでは」「空気は下から押されて暖かい空気が上にたまるのでは」といった事象の新しい側面、つまり「科学の価値」に気が付く。

 しかし、わずか9歳、10歳の子どもにとって目に見えない存在を整理することは難しいと考えた。

 そこで、私たちは目に見えるもので説明することができるイメージ図の活用を考えた。

 これまでもイメージ図を活用した実践は多くあったが決まって話題の多くに「事実かどうかの検証ができず、その立証は空中戦になる」という課題があった。

 そこで私たちはイメージ図について「自身の考えを整理するためにつかう」という考えに立ち、活用を進めることにした。

 本時では「予想や仮説を表現するためのツール」として活用した。根拠のある予想や仮説を発想するという姿を具現化するために、自分なりの根拠を具体的にする。それによって、本時で子どもが目的を持って活動に取り組むようになる。

▼単元構成

▽金属の温まり方

 金属は空気と異なり、目に見える物体であることから、それ自体を温めるということについて理解がしやすいことが理由である。

 金属を温める中で、子どもに気付かせたい大きな点は2つ。

 1つは「どんな温め方をしても、金属は温めた所から順に広がるように温まる」ということ。2つは「温められた金属は、空間を飛び越えて温まらない」ということ。

 この2つの事実をもとに空気の温まり方を考えることで「問題解決」を2次で展開することができる。

▽空気や水の温まり方

 「あれ、順に温まると思ったのに、上から温まる」「あれ、空間を飛び越えて温まらないはずなのに、上から温まる」という問題を解決する学び。前時では、このような事実を根拠として、空気の温まり方について仮説を立てた。

 子どもたちに共通して生まれたのは「上に移動して、全体が温まるのではないか」という仮説。

 子どもにイメージ図を書かせ、その仮説をことをどう検証するのか考えさせた。本時では、その検証の様子を見てもらった。

▼本時

▽主張したい点

・自分のイメージどおりに仮設の検証を行おうとしていたか

・仮説の検証を通して事象の新たな側面が見えていたか(新しい物の見方)

 本時では煙が上から押し出される事象や、スズランテープのたなびく様子から「動きながら全体が温まる」「温まり方と動きには関係がある」という考えにまで至っていたかをねらっている。

 手だてとしては、火を付けると起こる、サーモシートの変化と煙の動きの共通点を見るように支援すること。関係があると考えた子と関係が別であると考えた子でグループ内議論をさせる。

(札幌市 2022-11-02付)

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