北理研学年別分科会主張内容① 視覚で音と震えの関係迫る 北九条小 マクロレンズ用い(札幌市 2022-11-01付)
道小学校理科研究会(北理研、会長・紺野高裕札幌市立北九条小校長)は、7日に北九条小で開催した第7回札幌支部理科教育研究大会の中で学年別分科会を開いた。研究主題「自然と向き合い、協働的に価値を創る問題解決」のもと、各学年部会でチーフを務める各教諭が理科授業の主張を発表。参加者は、理科教育の充実を目指し、活発に意見を交わし合った。ここでは、各学年部会の主張内容を連載で紹介する。
3年「音を出して調べよう」
◆指導者=磯部莉々奈教諭(北九条小)
◆発表者=大坪洋一郎教諭(札苗北小)
▼単元の課題性について
▽諸感覚を働かせた追究
本単元では諸感覚を働かせて音の大小や物の震え方を捉える追究が重要になる
聴覚や触覚を働かせ、音と震えを関係付けていく実践を行ってきた。
本部会では微細な震えに着目。子どもが微細な震えと音を関係付ける単元構成とすることで、音と震え方や大きさの関係についてより自然認識を深めていけると考えた。
そのためには、聴覚・触覚に加えて視覚で微細な震えを捉える必要がある。そこで、本実践では微細な震えを可視化するための手立ての一つとしてマクロレンズを使用している。
▼重点1「課題と問題の関連を明確にした単元構成」
▽3次構成の大まかな流れ
・1次=音の長さ
・2次=音の伝わり
・3次=糸電話を工夫する
▽課題「シンバルは何秒音が鳴るのかな」
様々な物を叩く活動から音の長さに着目する課題を設定。子どもはトライアングルを叩いた経験から、音が鳴っている間は楽器が震えていることを捉えている。ところがシンバルは震えているように見えない。
一見すると震えているようには見えないシンバルだが、音が聞こえ続ける。
このことから「震えていないように見えるけど音は聞こえるもしかしてまだ震えているのかな」との問題が生まれる。
▼重点2「自然事象を見つめ直すきっかけを生む対話問題」
▽問題「震えていないように見えるけど音は聞こえる。もしかしてまだ震えているのかな」―シンバルの微細な震えを可視化
シンバルの微細な震えを可視化する必要が生まれたところで、マクロレンズを提示。ここで生まれる対話の想定として「小さいけど震え続けている」「音が鳴りやむと震えも止まった」「やっぱり最初は大きく震えている」「だんだんと震えは小さくなる」といったことが挙げられた。
それらのことを明らかにするために、撮影した映像を見ることと音を聞くことを行き来しながら追究を深める姿を自然を見つめ直す姿と考えた。
▼本時について(重点1)
▽課題「壁の向こうに音を届けよう」
前時までに糸を真っ直ぐピンと張ることで糸電話は音が聞けることを学習している。
より長い距離へと糸電話を伸ばした子どもたちは壁の向こうに音を届けることに挑戦欲を持って向かう。
壁にぶつかるのがよくないと気付いた子どもが真っ先にすると想定される工夫が「指でつまむこと」。つまみ方にもよるが、指を使うと衝立にぶつかっているときよりは音が伝わる。
しかし、真っ直ぐのときほどはしっかりと音は伝わらない。
▽課題「壁の向こうに音を届けよう」→問題「糸はつながっているけど、指でつまむと聞こえなくなってしまう。糸が震えるようにすれば聞こえるのかな」「真っ直ぐの時のように音を伝えたい」という思いから「糸はつながっているけど、指でつまむと聞こえなくなってしまう。糸が震えるようにすれば聞こえるのかな」という問題が生まれる。
▼本時について(重点2)
▽課題「壁の向こうに音を届けよう」
「糸は震えていないのかな」「前の時間はどうだった?」「マクロレンズで撮影すると震えていた」「糸が曲がると前みたいに震えないのかな」「マクロレンズで撮影してみよう」このように前時との比較を促す教師の関わりを行った。
この教師の関わりによって「壁の向こうは震えていない」「こっちは震えている。ぶつかって震えが止まるんだ」などと、マクロレンズを用いたり糸を触ったりしながら対話し、何度も事象に立ち戻り、曲げた後も糸が震えるようにするにはという点に焦点を当てた追究が生まれると考えた。
(札幌市 2022-11-01付)
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