函館えさん小 幼小中連携公開研 子の考え引き出す授業 かけ算 学習の見通し持たせ(学校 2022-11-24付)
授業冒頭に寸劇を導入し、授業の見通しをイメージさせた
【函館発】函館市立えさん小学校(長浦紀華校長)は16日、同校で恵山地区幼小中連携公開授業研究会を開いた。公開授業では、奥野千晴教諭が2年生の算数「かけ算」を指導し、九九の解答を導く考え方を児童から引き出す授業を展開。研究協議を通して学校間の連携を推進するとともに、各校種で子どもに必要な資質・能力を考える機会とした。
同校は本年度、学習指導要領で示されている主体的・対話的で深い学びの実現に向け、学校独自の単元構想シートを作成。教職員は単元を構成する力を高める指導改善を推進し、児童が根拠を明確にして課題を説明できる場面を授業に位置付けるなど、課題を振り返りながら授業改善を進めている。
また、恵山地区は幼児教育施設、小・中学校が各1園・校と、児童生徒が同じコミュニティーの中で成長する現状にある。
今回、各校種の教員22人を招いた公開研究会を企画し、幼小中の連携によって系統的な学びを目指すなど、研究の深化を図った。
公開授業では、奥野教諭が2年生の算数「かけ算」(児童数7人)を指導した。奥野教諭は、1パック6個入りの「卵チョコレート」を販売する店員に扮し、客役を務めた長浦校長から「2パック、3パックだと計何個になるのか」と次々と尋ねられる寸劇を披露。児童に「どうすれば卵の数をすぐに答えることができるか」と問い、かけ算が課題解決の手段となることを予想させた。
児童の「6の段の九九を知っていれば答えられる」という発言を踏まえ、本時の目標「6の段の九九をつくろう」を全員で確認。
児童は、これまで2~5の段までの九九における解答の導き方を学習してきたため、ノートを振り返るなどして、あらためて6の段の解答を考えた。
奥野教諭は6×9までの回答を児童がそれぞれノートに記入したのを確認し、2人一組のペアで、6の段の九九の解答を導く方法を説明させた。
児童は「6×1の答えに6を足すと6×2の答えになる」などと理由を説明。全体交流では代表児童が考えを発表し、6の段の解答を1人ずつ答えさせた。
学習のまとめでは児童全員で「かける数が1増えると答えが6増えるため、1つ前の九九の答えに6を足していけば良い」と確認し、かけ算の正しい考え方を理解させた。
研究協議は、幼小部会と小中部会に分かれて実施。
幼小部会では、幼稚園教諭が幼児期からこれまでの児童の育ちを踏まえ、子どもの成長を引き出す小学校教員の関わり方などについて意見交流。「ペアの交流によって、考えを相手に伝えようとする姿勢が見えた」「導入時から学習内容を見通せるような授業になっていた」などの意見が上がった。
小中部会では「解決する必要感を持たせる問題提示の工夫」などを視点に、グループ協議。「学習目標を子どもたちから導く指導が主体的な学びにつながっている」などと肯定的な意見が多く寄せられた。
部会別協議後は、南北海道教育センターの立花穣指導主事が助言。「日常生活から場面設定した問題提示と見通しを持たせる発問が素晴らしく、児童は問題解決を行う必要感を持って、主体的に学習を進めることができていた。発表した児童は筋道を立てて発表することができており、学級全体での振り返りによって、他の子どもたちの視点や成長につなげることができる」と評価した。
(学校 2022-11-24付)
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