網走白鳥台小 個別最適な学びへ 単元内自由進度で学習 子が答え導き出す過程重視(学校 2022-11-25付)
各自のスタイルで学習
【網走発】網走市立白鳥台小学校(河村一恵校長)は本年度、個別最適な学びの推進に向けた単元内自由進度学習に取り組んでいる。10月中旬には公開研究会が開かれ、網走市教委の岩永雅宏教育長や管内小・中学校の校長、教頭、教諭ら計54人が授業を参観。児童たちが一人ひとりの理解度に合わせて意欲的に学習に臨む姿を見た。
公開研究会では、2年生算数「かけ算 九九」(林駿之介教諭、児童数6人)、5・6年生複式学級算数「正多角形と円」「円の面積」(佐藤祐輔教諭、児童数―5年生9人、6年生6人)の授業が行われた。
児童たちは、始まりの合図とともに各自の学習スペースに移動し、学習カードを開き問題に臨んだ。分からないときは友達同士で助け合ったり、教室の壁や廊下に配置された既習事項や具体物などの学習のヒントを参考にしたりして問題を解き進めた。
児童が自分で考えて答えを導き出す過程を大切にするため、担任は時折アドバイスを送るなど児童の様子を見守った。学習カード解答後にチェックを行い、児童の進捗や理解度を確認。児童の主体的な学びを引き出した。
同校は、本年度から個別最適な学びの実現に向け、単元内自由進度学習を進めている。いずれも単元の冒頭で一斉指導を展開。各学年、自由進度学習に入る直前に学習の手引を使って、学習の流れと必ず到達すべき学習内容を確認。チェックテスト後に発展学習に取り組むことができることも示している。
2年生では、全14時間のうち6時間を一斉指導に充て、乗法や式の意味を説明し、自分に合った学習計画を立てさせた。
5年生は11時間扱い。一斉指導を経た上で、児童が自分の好みに合わせて学習に臨むことができるよう、正多角形から取り組む「カクカクコース」と、円周から取り組む「マルマルコース」の2つを用意した。
6年生は11時間扱い。円の面積の見当のつけ方について協働的な学びによって気付かせるため、一斉学習を単元前半に設定。円の面積の公式を考える学習から個々の自由進度で学習できるよう工夫した。
授業後の研究発表では、宮田一央教諭が単元内自由進度学習の取組について紹介。児童一人ひとりが学習の仕方とペースを持っていることを挙げ「自分自身で選択し学習を進めていくことが大切」とした。一方、教師側の課題として「児童に分からせたい、気付かせたいという思いが強いあまり、児童が答えを出す前に干渉してしまうことがある」と指摘。「児童の選択肢を増やし、自己選択していける環境づくりが必要」とした。
参観者からは「児童が自分の課題に向かって解決していこうとする姿が見られた」「分からないところを積極的に聞ける雰囲気づくりができている」などと評価する声が上がった。一方で「学習の広がりをどのようにカバーするのか」「学力差が生まれたときに、どのようにフォローするのか」などの意見も出た。
オホーツク教育局義務教育指導班の若松拓郎指導主事は「最後まで粘り強く学んでいる姿や自分を追い詰めて頑張る姿が見られた」と、児童たちの主体的に学習する姿勢を評価。「学習目標を明確化にするプロセスには、教師の補助が必要」と指摘した。
◆東京学芸大・佐野氏が講演 学び継続の能力育成を 単元内自由進度学習とは
公開研究会では、東京学芸大学非常勤講師の佐野亮子氏が単元内自由進度学習について講演した。
講師の佐野氏は「個別最適な学びを実現する授業づくり~単元内自由進度学習の考え方・進め方」をテーマに講演。
はじめに、単元内自由進度学習が求められる背景として、新型コロナの影響で従来の対面授業が困難になったことを指摘。在宅でも自分で計画を立てて学びを進めることのできる児童とできない児童の差が生まれたことから「何を学ぶのかではなく、自分自身で学びを継続していくための能力を育成する必要がある」と伝えた。
続いて、授業実践に向けた準備について説明。対象教科、単元の選択に関しては、自分で試したり考えをまとめたりするなどの活動を組み込めることや、複数教科・単元にすることで長期的な取組の中で課題のやり直しや繰り返しが可能になることなどを伝えた。学習材の作り方については、複数の資料・教材を比較した上で、個に応じた課題の検討を行うことを勧めた。また、児童の好奇心を刺激するための教室の壁や廊下における掲示物・体験コーナーの設置など、補助教材となる学習環境の整備についても紹介した。
このあと、授業の実践について解説。児童に学習内容を具体的にイメージしてもらうためのガイダンスの意義や、児童が自分で立てる学習計画、おのおのの計画に基づいた授業の進め方、最後に学級全体で行う振り返りや学習成果の共有に至るまでの全体の流れを説明した。
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東京学芸大・佐野氏が講演
(学校 2022-11-25付)
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