帯工高　流木処理実証実験　新手法導入し検証へ　菌糸含む液体を木材に噴霧

（学校 2022-11-25付）

　【帯広発】帯広工業高校（中島泰彰校長）環境土木科生徒は９日から３日間、関係機関による協力のもと、流木処理に関する実証実験を行った。４年にわたり続く実験で、腐朽菌の種駒を木材に打ち込む方法に加え、今回は菌糸を含む液体の噴霧を新手法に取り入れた。生徒たちは１年後の検証に向け、木材の処理作業に汗を流した。

　平成２８年度の十勝西部台風被害によって発生した河川への流木流入を課題に、同校は令和元年度から研究を始動。洪水時の流水阻害となるため河畔林木は伐採され、多くが廃棄処理となることから、河川内で安全に処理されるよう腐朽促進技術の開発を試みている。課題としている災害時の流木による被害軽減に加え、廃棄費用の軽減や健全な河川生態系の保全維持に貢献できると考えられる。

　取組には寒地土木研究所、十勝総合振興局帯広建設管理部、北海道大学等が協力。

　元年度、北大農学部で培養した腐朽菌を、同校生徒が寒地土木研究所研究員と共に木材に接種。腐朽菌の働きによって木材が脆くなり自然に処理されることを願うものの、異なる雑菌の侵入によって期待した結果には届かなかった。

　本年度は、侵入した雑菌をもとに腐朽菌を培養し、同様に種駒を木材に接種。また、簡易的に接種を進めるため新たに菌糸を含む液体の噴霧を手法に加えた。

　９日から３日間、同校環境土木科２年生の有志生徒が研究員と共に実証実験を進めた。生徒たちは木材に穴を開けて腐朽菌の種駒を埋め込むと、雑菌の侵入を防ぐため緩衝材を入れ、上からろうを塗布した。

生徒の一人は、流木や河川に関係する仕事に関心を持ち参加を決意。「雑菌が入らないよう除菌を徹底した」と作業を振り返り「防災に役立つと知ることができた」と話した。

２種類の手法で処理した木材は河川内に設置。１年後、今回参加した生徒たちが「課題研究」の授業の中で結果を確かめる。

(学校 2022-11-25付)