附属釧路義務教育後期 教員受入研修 指導力向上へ授業比較 羅臼知床未来中・寺島教諭(学校 2022-11-24付)
地域連携研修で授業を行う寺島教諭
【釧路発】道教育大学附属釧路義務教育学校(内山隆校長)後期課程は14日からの5日間、教員受け入れ研修を行った。地域連携研修として実施し、羅臼町立知床未来中学校で数学を担当する寺島凜界教諭を受け入れた。授業参観や同一目標での授業比較研修などを通して、授業力の向上を図った。
同校は、道東教員研修支援センターとしての役割を担っており、今回の地域連携研修はその一環として行われた。
また、研修3日目(16日)には、釧路算数数学教育研究会(濱田有子会長)とタイアップした「比較による授業研究会」が開催され、釧路・根室管内の中学校、義務教育学校の教員や大学生ら32人が参加。
寺島教諭と同校の赤本純基教諭による、同単元・同指導内容での授業公開が行われ、同一目標による授業比較研修で、数学科の授業力向上を図った。
2人は、単元「比例と反比例」(19時間扱いの16時間目~比例のグラフの利用)を4校時と5校時にそれぞれ異なるクラスで授業を公開。赤本教諭は普段担当していないクラスで授業を行った。同単元同時間、指導内容のみを統一。教材選択などは自由。事前の話し合いなどは行っていない。
寺島教諭は4校時に7年A組で授業。本時の目標を「比例のグラフから、いろいろな値や2つの数量の関係を読み取ることができる」と設定し、本時の問題「2人が2400㍍を一定の速さで走り、出発してからx分後に進んだ道のりをy㍍として、2人が進んだ様子を、xの変域が0以上8以下の部分だけをグラフに表したもの」を確認。グラフを書き、到着時間を求めた上で、本時の課題「グラフからいろいろな値を読み取ろう」を提示した。
生徒たちは、2人の分速や到着時の差などをグラフから読み取り、グラフの座標に着目しながら、様々な角度から読み取った。このあと、各自でグラフを使った問題を作成。「2人が200㍍離れるのは、出発してから何分後ですか」という問題を全員で考え、計算しなくても、グラフの座標からいろいろな値を読み取ることができると確認した。
5校時には、赤本教諭が7年B組で授業を公開。本時の目標を「車いすマラソンでスタートから6㌔㍍の地点で応援するとき、先頭の選手が通過してから何分後に最後の選手が通過するのかや、先頭の選手が通過してから約45分後に最後の選手が通過する地点は、スタートから何㌔㍍の地点なのかをグラフを用いて求める方法を説明することができる」と設定した。
本時の問題「学級で車いすマラソンの応援計画を作成。スタートから6㌔㍍の地点で応援するとき、出場選手全員を応援するにはどのくらい時間がかかるでしょう」を提示。
スタートしてからの経過時間をx分、スタート地点からの道のりをy㌔㍍とし、xとyの関係を表したグラフから本時の課題「スタートから6㌔㍍の地点で応援するとき、先頭の選手が通過してから何分後に最後の選手が通過するのかは、グラフからどのように求めると良いか」を確認した。
yの値が6000㍍のとき、先頭と最後の選手のxの値の差から求める考えや、2点間のx軸方向の距離を読み取るなどの意見を交流。また、確認問題の「全員を応援するのに45分かかる地点は何㌔㍍地点か」を考え、グラフの着目点を明確にすることや、2つのグラフの差や距離を読み取ることなどを確認した。
授業後の研究協議では、同一目標の授業比較を中心に話し合いが行われた。
参加者からは2つの授業を比較しながら「グラフを読み取る必要感を感じた。求めたい、やってみたいという問題設定や教師の働きかけが重要」や「本時の目標を全員が達成できるようにすることが大切」などの声が上がった。
助言に立った道教育大釧路校の早勢裕明教授は、授業改善への熱心な取組を評価した上で「子どもの困り感を見過ごさず、課題をみんなで共有し、全員で解決していくことが、個別最適な学びでは重要」とし、主体的・対話的で深い学びの授業が毎時間行われることに期待を寄せた。
5日間の地域連携研修を終えた寺島教諭は「対話的授業の必要性と方法、順思考と逆思考など、多くのことを学べた1週間となった。自校では“分かる”イコール“説明できる”となるような授業づくりをしたい」と今後の授業改善に意欲を見せた。
比較授業を行った赤本教諭は「2つの授業を比較することで、問題の工夫や解決に向けた自然な文脈のデザインなどを再確認することができた」と話し、地域連携研修について「本校教員にとってもプラスになっている。互いの授業を見せ合うなど、大きな刺激にもなった」と成果を強調した。
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比較授業を行った赤本教諭
(学校 2022-11-24付)
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