道教育大×内田洋行がセミナー　ＩＣＴ活用先行事例を共有　つくば市教委中村氏ら講演

（学校 2022-11-24付）

ＧＩＧＡ活用セミナー

　【函館発】道教育大学と（株）内田洋行は１２日、道教育大学附属函館中学校で北海道限定ＧＩＧＡ活用セミナー“秋”を開催した。道教育大未来の学び協創研究センターの佐藤正範氏、道教育大附属函館中の郡司直孝氏、つくば市教委指導主事の中村めぐみ氏、内田洋行の須藤綾子氏の４人が講師となり、道内外の最先端のＩＣＴ活用事例を紹介。パネルディスカッションでは学校、企業、行政の視点から様々な論点で議論し知見を共有した。

　はじめに未来の学び協創研究センターの佐藤氏が「アフターＧＩＧＡの個別最適化と協働的な学び」と題して講演＝写真＝。脚本、撮影、動画編集など全て子どもたち自身で取り組む映画制作など、小学校における多彩なＩＣＴ活用の実践事例を示し、子どもがつくる学びへの転換を提唱した。

　続いて道教育大附属函館中の郡司氏が「附属函館中学校の１人１台の展開と成果」と題して講演。メールの利活用や学級日誌のデジタル化など中学校の実践を伝え、場所や時間にとらわれない「シームレスな活用」と生徒を中心とする「主体の移行」の大切さを指摘した。

　また、不適切な端末の使用方法や問題への対応に関して説明。全教員に一定の管理権限を持たせることや情報モラルに関する各教科での指導を紹介し「問題が起きたときは生徒と話し合うチャンス。失敗をどう役立てるかを含め考えさせることが大切」と伝えた。

　内田洋行の須藤氏は「どうする？“話すこと調査”“教育データ活用”学習ｅポータル選定で後悔しないためのポイント」と題して講演。メクビットを使った調査実施や教育データの活用など学習ｅポータル選定のポイントを示し、教育委員会向けの機能や管理業務の効率化の機能を備える同社の「Ｌ―Ｇａｔｅ」を紹介した。

　オンラインで参加したつくば市教委の中村氏は「１人１台端末で実現するつくばシームレス教育」と題して講演。健康状態や授業の満足度といった各種データを可視化することでよりきめ細かに子どもたちの状況を把握できる取組を伝え、確固とした自治体の教育理念のもとでデータの利活用を推進する重要性を説いた。

　講演後はパネルディスカッションを実施。キャリア教育、学校間の接続、自治体における予算確保など様々な論点で意見を交わした。教員のＩＣＴ活用に関して郡司氏は、全ての教科で活用を促すのではなく「多くの教員が関わる教育課程や健康調査、学級日誌など日常の場面で活用することが重要」と述べた。

　中村氏は、クラウドによる活用事例の共有など短時間で教員が高め合う体制の大切さを指摘。佐藤氏は「先生たちの力をそろえようとすると苦しい感じがする。苦手な部分も認め合った上で、困り感を共有することが大切」と述べた。

　最後に来場者限定の情報交換会を実施。オンラインを含めて質問や名刺交換を行った。

(学校 2022-11-24付)