教育調査研究所札幌セミナー 教育課程編成弾力化を 指導要領改訂へ文化庁・合田次長
(関係団体 2023-01-17付)

教育展望札幌セミナー
学校体系や人材市場構築に取り組む必要性にも言及

 教育調査研究所は7日、ホテルポールスター札幌で第28回教育展望札幌セミナーを開催した。研究主題「変革の時代の学校教育を展望するⅡ~北海道の未来につなぐ 主体的な学びを求めて」のもと、有識者による理論提案や実践提案を実施。文化庁の合田哲雄次長は、9年ごろに予想される学習指導要領の次期改訂を見据え「教科の本質を踏まえた教育内容の重点化」「教育課程編成の弾力化」に取り組む必要性を提起した。

 集合と動画配信によるハイブリッド方式で開催し、約200人を上回る道内の教育関係者が参加した。

 松原紀男常務理事による開会あいさつに続き、札幌市立幌南小学校の髙橋慶之教務主任、安岡剛研究主任が「近い未来を創るKonanの学校創造~授業を中核に据えた教育課程の発信」をテーマに実践提案。多様性を認め合う学校教育の目標や主体的な学びを生む授業づくりの実践を解説した。

 続いて理論提案に移り、京都大学大学院教育学研究科の石井英真准教授が「子どもの主体的な学びをデザインする授業づくり」と題して説明。1人1台端末の導入に伴い従来の対面による授業空間とオンライン上の学習空間を行き来する「多層的な教室」が実現しつつあるとし、デジタルへの比重が増すことで知識・技能の習得を軸にした「小さな習得主義」に陥ることに警鐘を鳴らした。また、教材を介して教師と子ども、子ども同士が向き合う「共同注視」の重要性を挙げ、子どもの興味・関心を育み視野を広げる学校の役割を提起した。

 つぎに文化庁の合田次長が「次期学習指導要領を見据えて学校教育に期待すること~教育DXと学校の存在意義」と題して理論提案。個々の子どもの特性・関心に応じた学びを通じて力を引き出すため「時間」「人材」「財源」の3資源を組み替える必要性を示した。

 9年ごろの改訂が予想される次期学習指導要領のポイントとして「教科の本質等を踏まえた教育内容の重点化と、教育課程編成の弾力化が最大のテーマになる」と指摘。社会構造に適した教員の養成・免許・採用の枠組みを再構築する必要性に触れたほか「教育課程の問題にとどまることなく、学校体系、教員免許や教職員配置、あるいは校長、教育長という専門職の人材市場の構築と併せて前に進めたい」との考えを示した。

 このあと、札幌市立幌西小学校の小原祥枝主幹教諭がコーディネーターとなり「活力ある学びへ いまあらためて授業の在り方を等」をテーマに研究協議を実施した。

(関係団体 2023-01-17付)

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