旭川市小規模複式教育連盟など 主体的に高め合う子育成 富沢小で実践発表会開く
(関係団体 2023-01-20付)

旭川市小規模・複式教育連盟

 【旭川発】旭川市小規模・複式教育研究連盟(坂東裕美会長)と旭川市教育研究会小規模校教育研究部および研究実践校である旭川市立富沢小学校(大野昌広校長)の教育実践発表会が昨年11月中旬、同校で開かれた。主体的に学ぶ子どもたちを育成する研究の一端を披露した。

 同連盟と同会小規模校教育研究部は研究主題「小規模校や地域の良さを生かし、心豊かに学び、新しい時代を切り拓く子どもの育成」のもと、研究を推進している。

 この日、授業を公開した研究実践校の富沢小は研究主題に「主体的に学び、互いに高め合う子の育成~算数科における“問題解決的な学習”の研究を窓口として」を掲げ、算数科を通して「わたり・ずらし」を生かした学習の展開、見通し・振り返りの充実、発達段階に応じた学習リーダーの育成、発達段階に応じたノート指導の工夫、多様な発表方法の工夫、高め合いの視点の明確化、ICTの効果的な活用等の研修を進めてきた。

 研究内容は①主体的に学ぶための工夫②互いに高め合うための工夫―の2点。①では「わたり・ずらし」のある1単位時間の授業展開(問題解決的な学習過程の定着)、見通し・振り返りの充実、発達段階に応じた学習リーダーの育成(話し合いのルールの定着)、②では発達の段階に応じたノート指導の工夫、多様な発表方法の工夫、高め合いの視点の明確化、ICTの効果的な活用として「課題設定、見通し」「発表、高め合い」の充実に関して研究してきた。

 公開授業では5年「四角形や三角形の面積」と6年「拡大図と縮図」(和泉田俊彦教諭、児童数5年生7人、6年生4人)を公開。5年生の本時の目標は「台形の面積の求め方を理解する」、6年生は「方眼を使って拡大図、縮図を作図することができる」とした。

 和泉田教諭は5年生に対し問題「台形の面積の求め方を考えよう」を提示。「分かりやすい形に変えよう」と呼びかけ、図形を変形・分割することで解決する見通しを持たせた。さらに時間内に思いついた子どもに、ほかにも求め方があることを伝え、意欲を高めた。

 6年生に対しては問題として「三角形の拡大図と縮図の書き方を考えよう」を示し「できたら“自分はこう書いた”と互いに紹介しよう」と話した。

 台形の面積を求めた5年生には、思いついた求め方の個数が少ない子どもの順で発表させた。アイパッドを活用し、図形をどう切ってどこにつなげるかなど、モニターで共有しながら解答を行った。

 その間6年生は学習リーダーを中心に、方眼を用いて拡大図や縮図を書く手順をまとめた。その手順に沿って2倍の拡大図を書かせ、全ての辺の長さが2倍で角が同じになっていることに気付かせた。

 開会式で坂東会長は人口減少に伴う義務教育学校・統廃合の動きが進んでいることに触れ「学校の規模が小さくなると子どもたちの細かな指導が可能になるが、人間関係づくり、逆境に強い心の育成が難しくなってきた。学校規模が小さくなり、複式学級が多くなるとともに、教科指導の難しさが加わる」と分析。その上で、市では小規模校が少なくなっている現状から「小規模校の複式授業の指導方法や技術が継承されにくくなるのではという懸念も持っている。研究会などを通して組織の横のつながりを大切にするとともに、自分の力量を高めることが有効な手だてとなると思う」との考えを示した。

 また「同じような悩みを抱える先生方が、日々の課題解決に向けてヒントが得られることを期待している」と述べた。

 このあと全体会で研究概要説明、授業反省を実施。研究協議では「学年の発達に合わせた学習リーダーの育成」「“課題設定、見通し場面”“発表、高め合い”の充実~ICTの効果的な活用」を柱に話し合った。最後に旭川市教委教育指導課の沼澤和範主査が助言した。

(関係団体 2023-01-20付)

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