札幌市　３年度保育士等実態調査　市内施設　３分の１人材不足　全産業比で平均月給６万円低く

（札幌市 2023-01-19付）

保育士・保育教諭の平均初任給（クリックすると拡大表示されます）

　札幌市子ども未来局は、３年度保育士等実態調査の結果を公表した。人材の充足状況について、市内の認定保育所など４６８施設のうち、およそ３分の１に当たる施設が「不足している」と答えた。また、保育士有資格者の平均初任給は２年度と比べて増額したものの、平均月給は全産業の平均より６万円ほど低いことが分かった。

　調査は、保育人材の確保や離職防止に向けた施策の基礎資料とするため、平成３０年度から毎年行っている。

　今回の調査対象は、市内の認可保育所、地域型保育事業所、認定こども園計５２９施設。昨年１～３月に、調査表の郵送や電話による聞き取りで調べた。回答率は９０・３％だった。

　保育士・保育教諭の人材の充足状況について尋ねると、必要と感じている従業員数について「定員を満たしている」と答えた施設は６６・２％、「不足している」が３３・８％だった。

　特に、認可保育所２５８施設のうち４３・４％が「不足している」と答え、他の施設と比べて不足している状態が目立った。平均不足人数は２・２人で、令和元年度の１・９人、２年度の２・２人からほとんど変化がなく、慢性的な人材不足が続いていることが分かった。

　不足している理由は「求人募集を行っても、補充できるだけの人員が集まらない」が９８・７％と最も多く、次いで「保育士・保育教諭の退職・休職」が７３・４％だった。

　保育士・保育教諭の平均初任給をみると、全体平均は１７万９９７５円。大卒は１８万２２２４円、短大・専門学校卒は１７万７０５６円だった。保育所の運営のため国などが施設に払う公定価格の見直しが反映されたことなどによって、２年度と比べていずれも数千円程度増額している。ただ、フルタイム勤務者の平均月給は２４万４６５９円で、国による３年度調査の全産業の平均月収３０万７０００円を下回った。

　また、平均勤続年数は、フルタイム勤務者で７・８年、パートタイム勤務者で４・８年となっている。

半数が市内で

保育の仕事に

　市内および近郊で、保育士を養成する学科やコースを設置している大学や短大、専門学校を対象に、学生の就職状況などの調査も併せて実施した。１８校が回答した。

　３年３月卒業生計９４１人の進路について尋ねると「保育の仕事に就いた」割合は７９％だった。このうち札幌市内で保育の仕事に就いた割合は４８・６％で、およそ半数だった。

　一方「保育以外の仕事に就いた」割合は大卒者で比較的高く、２０・１％に上った。

(札幌市 2023-01-19付)