道総合教育会議 いじめ防止へ 差異認め協働する力を 異学年・校種間の交流推進(道・道教委 2023-01-20付)
冒頭であいさつする鈴木知事
道教委は18日、札幌市内のTKP札幌ビジネスセンター赤れんが前で第2回道実践的安全教育モデル構築推進委員会を開催した。本年度のモデル地域である東川町・紋別市・羅臼町教委の担当者がそれぞれ防犯教育・交通安全教育・防災教育の実践を発表。関係機関や校種間との連携、グーグルマップやVRといったICT活用など多様な実践と成果を示した。各地域の実践は報告書としてまとめ、全道の学校に配布して成果の普及を図る。
会議は知事と教育委員会が、地域の教育課題やあるべき姿を共有して教育行政を進めることを目的に年に数回開催している。
鈴木知事の開会あいさつに続き、倉本博史教育長が本道におけるいじめの認知率やいじめ防止を図る道教委の取組、本年度の改定を予定している道いじめ防止基本方針素案の概要を説明した。
続いて関西外国語大の新井教授が「これからのいじめ防止対策の方向性と課題」と題して講演。いじめ重大事態を防止する大きな課題として「法で定めるいじめの定義の共通理解と積極的な認知」「情報共有に基づく学校の組織的対応」を挙げ、「目指すべきはいじめゼロではなく“いじめ見逃しゼロ”。認知件数の増加は教師の感性と学校の組織的教育力の向上の表れであることを、学校や地域が理解することが重要」と述べた。
また、いじめ防止に向け学校が組織として機能するため、安心して情報を共有できる職場の「心理的安全性」や協働性、同僚性の重要性を強調。日常的な教育活動を通して児童生徒の発達を支える働きかけを行う「発達指示的生徒指導」や、学校いじめ防止基本方針の共有化などいじめをしない人を育てるポイントを示した。
講演後「子どもたちが人間関係を構築する力の育成」「地域のいじめ防止の関わり」をテーマに各委員が意見交換。「いじめ重大事態の予兆を先回りして把握する仕組みが必要」「身近な大人である先生同士や保護者の関係が信頼関係で結ばれていることを気付かせる場面を意図的につくることが大切」などの意見があった。また、対等で自由な人間関係を築くため異学年・異校種・学校外の人たちとの交流を推進する提案も。「児童生徒自身が自分の異質性や差異性を意識化することも重要」との声も出された。
新井教授は、日本社会における同調圧力や「世間の目」を大切にする規範意識の一面が子どもたちの生きづらさにもつながっていると指摘し「互いの差異性を認め合い、協働して取り組む力を小・中学校のうちに育むことが大切」と述べた。
鈴木知事は、いじめ問題を克服するためこれまで以上に行政、学校、社会全体の連携が必要と強調。「迅速かつ組織的な対応で事案の長期化・深刻化の防止を徹底して目指すことが重要と考えている。道教委との連携を一層強化し、今回の意見を参考にいじめ防止基本方針改定をはじめとする様々な取組を進めたい」と締めくくった。
(道・道教委 2023-01-20付)
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