「問題見つける力」育成へ札幌平岸西小 冬休みから課題研究開始 自由研究の代わりに導入(札幌市 2023-01-23付)
AIが発達するなど予測困難な時代を迎えようとしている今、児童生徒には困難を乗り越えたくましく生き抜く力を育む教育活動が求められている。札幌市立平岸西小学校(北原徹也校長)は、今回の冬休みから自由研究に代わり「課題研究」の取組を開始し、「問題を見つける力」の育成に力を入れている。児童一人ひとりが自ら設定した課題について追究し、まとめた内容を休み明けに発表するもの。北原校長は「経験を積み重ねていくことによって、その力を高めていきたい」と期待する。
将来、AIの発達などの社会的変化によって予測困難な時代を迎える。そのため新学習指導要領では、言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力など学習の基盤となる資質・能力を育成する重要性が示されている。
同校は、その中でも特に「問題を見つける力」の育成を重視している。
校内研究では、重点の一つとして「既習や経験とつなげて、自ら課題を見いだす」場の設定を位置付けている。授業の導入の工夫などを通して、身の回りの出来事に関心を持ちながら“気付き”を得て、意欲的に問題を解決しようとする力の素地を養成。北原校長は「問題を解決することはAIでもできるが、問題を見つけることは人間にしかできない」と説く。
その力を高める機会として着目したのが、数年前から廃止していた長期休業期間中の自由研究。児童が自ら設定した課題について調べ、まとめたことを発表する「課題研究」を新たに全学年で取り入れた。北原校長は「せっかくの冬休みに何もしないのはもったいない。設定した課題を追究し、分かったことをアウトプットすることで、その分野に関する“ちょこっと博士”になって自信につなげてほしい」と取組に込めた思いを口にする。
これまでの自由研究では、工作キットを購入し説明書どおりに組み立てるなど“作品を作って終わり”といった活動に終始し「取組を通してどのような力が身に付くのか疑問符がつく」(北原校長)という場合があった。また、材料などを購入する家庭の負担も課題となっていた。
このため、家庭に過度な負担を求めない取組にするとともに、児童が目的意識を持って向き合えるよう、課題は学校で決めてから長期休業を迎えた。課題の決定に苦慮する児童には、課題の例を提示し参考にできるようにするなど、発達段階に応じて支援した。
冬休み明けの18日、始業式終了後に各学級で発表会を実施。模造紙などに調べた内容をまとめたり、高学年では1人1台端末でスライド資料を作成したりするなど、一人ひとりが調べた内容を披露した=写真=。
冬に咲く花について調べた児童は「全ての花に花言葉があると知らなかった」と課題を通して得たことを話した。日本の祝日の数について調べた児童は「6、12月に祝日がない理由も知りたいと思った」と新たな課題を見つけていた。
北原校長は「自ら見つけた課題を生き生きと追究しており、一人ひとりの良さが生かされていた」と話す。「児童は最初から問題を見つける力を持っているわけではない。トライアンドエラーを繰り返しながら経験を積み重ねていくことによって、その力を高めていきたい」と力を込める。
(札幌市 2023-01-23付)
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