５校が優れた実践発表　札幌市教委　特別支援研究協

（札幌市 2023-01-31付）

　札幌市教委は１３日、オンラインで４年度札幌市立特別支援学校研究協議会を開いた。幼稚園、小学校、中学校、高校、特別支援学校の関係者約１８０人が参加。５校の特別支援学校による実践発表やパネルディスカッションを行い、各校の特別支援教育の充実・発展に向け研鑚を積んだ。

　市立札幌豊成支援学校、市立札幌北翔支援学校、市立札幌山の手支援学校、市立札幌豊明高等支援学校、市立札幌みなみの杜高等支援学校が実践発表した。

　豊成支援は、児童生徒が小学校から高校までのキャリア教育に関わる諸活動について、自らの学習状況やキャリア形成を見通したり振り返ったりしながら自身の変容や自己評価できるよう工夫したポートフォリオ「キャリア・パスポート」を紹介。その成果や今後の課題などを発表した。

　北翔支援は、重度重複障がい児の進路をテーマに発表。「生徒一人ひとりの人生が自分らしく豊かになるような進路指導を心がけている」と強調。今後は「児童生徒にとってのキャリア・自立についてあらためて教職員で意見交換し、学校全体の取組としてキャリア教育を再構築していきたい」との考えを示した。

　山の手支援は、小学部、中学部、高等部の実践を紹介。うち小学部の「きいてきいてタイム」では「継続して実践を重ねることで話を聞く力の向上につながった」「クロームブックを用いて取り組むことで、書くことに課題がある児童も、苦手意識を持つことなく聞くということに集中して取り組むことができた」などと振り返った。

　豊明高等支援は、思いやりと社会性を持った生徒を育てる「Ｍプロ」の取組を発表。①ＳＥＬ②ＰＢＩＳ③ピア・サポート④協同学習―の４つのプログラムとの関係性を説明しながら、Ｍプロ実践のポイントとして「先行的・常態的で発達支持的な４つのプログラムを全ての生徒に提供」「Ｍプロを展開するための教員研修」「子ども理解の徹底」の３点を挙げた。

　みなみの杜高等支援は、同校のスクールミッションとして「“はたらく”を応援」「協育」「自分らしく生き生きと社会の中で活躍する生徒の育成」の３つを掲げていることに触れた上で「現時点ではスクールミッションの目標を概ね達成しており、卒業後、満足いく職業生活を送っている卒業生が多い。卒業生がまだ若く、長い人生を支えていけるものであったかについて今後、十分な検証とアップデートが必要」と振り返った。

　実践発表後には、ＮＰＯ法人ツリーフィールドの伊藤翔太さん、暁パティスリーフルタの古田浩真さん、東京美装北海道㈱の伊藤直明さんをパネリストにパネルディスカッションを実施。パネリストが、現在、取り組んでいることや大切にしていること、卒業後の暮らしと仕事の現状、学校と共にできることなどについて意見を交わした。

(札幌市 2023-01-31付)