5年度道教育予算案の主要事業
(道・道教委 2023-02-13付)

 5年度道教育予算案における主な事業はつぎのとおり。

◆コロナ対応関係

▼感染症流行下における学校教育活動体制整備=5億9085万円

 道立学校における保健衛生用品等の追加整備や効果的な換気対策に係る備品等を整備する。

・対象経費=消毒液、空気清浄機

・道立学校=256校(高校190校、特別支援学校66校)

▼幼児感染防止対策=895万円

 道内公立幼稚園において感染症対策の徹底を図るため、保健衛生用品購入等に係る経費を補助する。

・対象経費=マスク、消毒液、空気清浄機等

▼特別支援学校スクールバス感染症対策=9582万円

 道立特別支援学校における児童生徒の感染症リスクを低減するため、スクールバスの増便を行い、車内の過密状態を緩和する。

・事業内容=乗車率の高い路線を増便

・対象期間=長期休業期間を除く4~3月

・対象校=12校12コース

▼スクール・サポート・スタッフ配置=1億4467万円

 新型コロナウイルス感染症対応に係る教員の業務負担軽減を図るため、小・中学校等にスクール・サポート・スタッフを配置する。

・対象校=小・中学校等、特別支援学校(高等部を除く)

・配置数=569人

・勤務条件=1日6時間、週3日(年間35日程度)

▼学習指導員配置=1億3727万円

 新型コロナウイルス感染症に対応するため、少人数指導や家庭学習の準備などの教員の指導の補助を実施するため、学習指導員を配置する。

・対象校=小・中学校等、高校、特別支援学校

・配置数=615人

・勤務条件=1日3時間、週4日(年間58日程度)

◆一般事業関係

【子どもたち一人ひとりの可能性を引き出す教育の推進】

▼新しい時代に必要となる資質・能力の育成=1384万円

▽学力向上推進(新規)=323万円

・全国学力・学習状況調査の結果を踏まえた子どもたちの学力向上への取組を図る

・検証改善サイクル=チャレンジテストの実施(全学年)

・授業改善=各校に授業改善教員を派遣し、チーム・ティーチングや校内研修等を実施(336校)

▽高校生心身強化セミナー(新規)=576万円

 スポーツを頑張る全ての高校生のために、自宅等で取り組み可能な「心身の強化」に関するセミナーを開催することによって、部活動への意欲向上や個人の能力向上を図る。

・身体のケア=テーピング、マッサージ、ストレッチ等の実演・指導

・身体づくり=ウエイトトレーニングの実演および指導、食事法や食事内容に係る講演

・精神面強化=メンタルトレーニングの講演および指導

・会場等=道立学校14校(1会場当たり80人、ユーチューブでの動画公開)

▽帰国・外国人児童生徒等教育推進=346万円

 帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな指導を行うため、受け入れ校への指導助言や日本語の指導方法等に関する研修等を実施する。

 新たに高校段階において「特別の教育課程」を編成し、日本語の個別指導と単位認定を可能とする制度改正があったことを踏まえ、講師を配置する。

・指導員派遣=有識者による学校への訪問および相談支援(41校)

・教員研修=指導方法等に関する研修、情報共有等による指導力向上(年3回)

・教育推進講師(拡充)=日本語指導を必要とする生徒への指導・支援を行うための非常勤講師配置(高校2校)

▽STEAM教育推進=137万円

 新学習指導要領を踏まえ、教科等横断的な学習を推進し、生徒の多様な可能性を育み、将来の北海道を支える人材を育成する。

・授業改善=IT、データサイエンスの専門家を招き、専門的見地から教員への助言(高校14校、年3回)

・探究学習推進=大学・企業等の助言のもと企業課題への解決策を高校生自ら立案(教員10人、年3回)、道総研・企業等の助言のもと生徒が雪冷房を活用した探究学習を実施(特別支援学校1校)

・成果発表=生徒による探究活動発表

▼5年度全国高校総体開催=7億2007万円

 全国高校総体開催に要する経費。

▼幼児教育推進=3242万円

 北海道幼児教育振興基本方針に基づき、北海道の幼児教育の振興を支える体制づくりを推進する。

・企画調整=課題等検証のため、外部委員および検討部会を設置

・研修体制=保育者等を対象に園外研修・オンデマンド配信の実施および園内研修を促進

・助言体制=大学教授等によるスーパーバイザーを配置し研修体制の相談等を実施。エリアスーパーバイザーを配置し地域の幼児教育相談員に研修・助言(7圏域)。幼児教育相談員を配置し施設の要請により園内研修等を実施(14管内)

・幼小接続=北海道版幼児教育スタートプログラム事業の実施(3地域)

・環境整備(拡充)=ICT機器等整備補助(5市町村)

▼新規学卒者就職対策推進=4620万円

 高校生の勤労観・職業観の育成や就職対策の充実を図るため、就業体験活動(インターンシップ)や企業訪問の実施のほか、キャリアプランニングスーパーバイザー(進路相談員)を配置する。

・就業体験活動=地域の企業等と相互連携および協力関係を確立し就業体験活動を実施(全道立高校の生徒を対象、3日間)

・企業訪問=進路指導担当教員による学校への理解促進、企業ニーズの把握等(121校)

・進路相談員=就職相談、就職情報の提供等(14教育局に各1人配置)

▼高校生留学促進関連=1152万円

 本道のグローバル化を支える人材育成を推進するため、高校生の留学促進や国際交流機会の提供を図る。

・交換留学支援=アメリカ、ロシア、中国、ニュージーランド、オーストラリアに各5人、2週間程度

・留学支援等=10日以上1ヵ月未満の短期留学を希望する高校生への支援

・疑似留学=国内にいながら外国人と触れ合い、異文化や多様な価値観に触れられるよう、道内大学の留学生との交流などによって、疑似的な留学体験機会を提供(3会場)

▼次世代地域産業人材育成刷新=2100万円

 産業界と専門高校が一体となって、第4次産業革命・地域の持続的な成長をけん引するための最先端の職業人材育成システム(マイスターハイスクール)を構築する。

・対象校=専門高校2校

・事業内容=産業界ほか関係者が一体となったカリキュラムの編成および実践等。マイスターハイスクールCEOの配置

【学びの機会を保障し質を高める環境の確立】

▼遠隔授業配信センター運営(新規)=871万円

 遠隔授業の配信機能の集中化によって、地域連携特例校等の小規模校に対し、多様な教科・科目を配信する。

・遠隔授業配信センター=配信対象校31校、8教科36科目

・対面授業=センター教員の受信校訪問

・運営協議会=取組の成果および課題分析、対応策検討

・教員育成=遠隔授業担当職員の養成研修

▼GIGAスクール運営支援センター機能強化(新規)=2051万円

 学校のより安定的なICT活用の支援基盤を構築し、ICTを活用した教育の充実に向け、道立学校や市町村教委を支援する。

・対象=道立学校、市町村教委

・道立学校=日常的な端末等ICT機器の活用を専門業者が遠隔デサポート。トラブル対応結果をQ&Aとして作成

・市町村教委=市町村との連携によるGIGAスクール推進協議会での情報共有

▼いじめの防止や不登校児童生徒への支援の取組の充実=2億4900万円

▽いじめ等対策総合推進=2億1442万円

 いじめや不登校などの問題を抱えた児童生徒の早期発見や、問題の早期解決を図るため、カウンセリング事業や相談体制の整備等を行う。

・スクールカウンセラー活用(小・中学校)=通年型164校、巡回型266校、その他779校への派遣、オンラインカウンセリング225校

・スクールカウンセラー活用(高校)=通年配置151校、その他39校へ派遣、オンラインカウンセリング14校

・教育相談体制ウェブ支援=遠隔で専門家等が指導助言

・外部専門家チーム=有識者、弁護士等で構成し、全道4地域に設置する外部専門家チームが重大事案等に対し学校および市町村教委に助言

・緊急支援チーム=学校等では解決困難ないじめ事案に対して専属的に組織する「緊急支援チーム」への専門家の派遣

・スクールソーシャルワーカー=社会福祉士、精神保健福祉士などの地域人材を活用(52市町村)、大学教授や経験者等によるスクールソーシャルワーカーへの指導、連絡協議会の開催(年2回)

・ネットパトロール=児童生徒の危険なネット上の投稿を監視、問題投稿対応や保護者等への情報提供を行う研修会の開催

・自殺予防に関する調査研究=専門家を招いた研修会の実施、自殺予防教育の充実を図る効果的な取組に関する調査研究の実施(指定校10校)

▽子ども相談支援センター=1920万円

 いじめや不登校など学校等で生じる様々な問題の解決につなげる支援を行うため、子どもや保護者から直接相談を受ける取組を実施する。

・電話相談=いじめや不登校等の悩み相談のため専任相談員を配置、毎日24時間体制、カードおよびリーフレット等周知資料の作成および配布

▽SNSを活用した相談=884万円

 いじめや不登校などの相談に対応するため、SNSを活用した相談事業を実施する。

・相談体制=臨床心理士等の配置(4人)

・対応期間=4~3月(年間114日、毎週月曜、長期休業前後、GW明け)

▽ヤングケアラーに係る教育支援体制構築=653万円

 ヤングケアラーへの適切な支援を行うため、市町村や地域との連携体制を構築し、学校にスクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)を派遣する。

・SC派遣=小学校46校、中学校54校、高校48校

・SSW派遣=年間活動予定日数35日

・連絡協議会=有識者によるセミナーおよび派遣事例を踏まえた検討・協議(4圏域)

▼学校における働き方改革の推進事業費=4億7097万円

▽スクール・サポート・スタッフ配置事業費=2億7817万円

 教員の業務負担軽減を図るため、小・中学校にスクール・サポート・スタッフを配置する。

・配置数=129人

・勤務条件=週5日(年間209日程度)、1日6時間

▽部活動の地域移行支援(新規)=1億3568万円

 中学校における休日の部活動の地域移行に向け、地域におけるスポーツ・文化団体等の整備、指導者確保等の取組を支援する。

・道=検討段階の市町村に対し、道がコーディネーター(アドバイザー)を派遣する

・市町村=コーディネーターの配置、受け皿団体整備等を行う(44市町村)

▽部活動の地域移行を活かしたスポーツ・文化のまちづくり協働推進=1251万円

 市町村や地域との連携体制の構築と部活動の地域移行モデルの実証を行う。

・部活動地域移行モデル=市町村、スポーツ団体等の連携体制を構築し、競技体験プログラム等を開催(3市町村)

・モデル地域において文化部活動の拠点を創出し、その成果をもとに検討会議開催(2市町村)

▽部活動の総合的な支援体制構築=4367万円

 教員の負担軽減を図るため、学校部活動に地域の外部人材などの部活動指導員を配置する。

・指導員の配置=道立学校150人、市町村立中学校89人(29市町村)を配置

・道は市町村に対し報酬および交通費等の経費の3分の2を支援

・指導員研修=指導方法や練習時間の設定、体罰の禁止などの研修を実施(年2回)

・専門家の意見交換=校長会や道スポーツ協会、競技団体が現状や課題等について意見交換(年2回)

▽学校における法務相談支援体制構築=93万円

 学校現場で発生する様々なトラブルに対応するため、スクールロイヤーによる法務相談体制を構築し、もって教職員の負担軽減を図る。

・法務相談=道内4弁護士会に依頼し、法務相談を実施

・法務研修等=対応事例等を共有するための研修を実施(1地域)

▼公立高校等就学支援=83億121万円

 教育に係る経済的負担の軽減を図るため、所得基準に該当する世帯の生徒に対して、授業料相当額の支援を行う。

・所得基準=市町村民税の課税標準額×6%―市町村民税の調整控除の額30万4200円未満

・対象者数=全学年約7万3000人見込み

・支援金額=全日制11万8800円、定時制3万2400円

・家計急変世帯への支援(新規)=保護者の失職等で低所得となった世帯に支援金支給までの間の授業料支援に要する経費を支給

▼高校生等奨学給付金=14億9960万円

 授業料以外の教育費負担の軽減を図るため、所得基準に該当する世帯に対して、教科書等、教材費、通信費、学用品費等の費用を給付する。

・所得基準=道府県民税所得割および市町村民税所得割非課税

・対象者数=全学年約1万3500人見込み

・生活保護受給世帯=年3万2300円

・第1子の高校生などがいる世帯=年11万7100円(通信制・専攻科=年5万500円)

・15歳以上(中学生を除く)23歳未満の被扶養者がいる世帯で第2子以降の高校生等がいる世帯=年14万3700円(通信制・専攻科=年5万500円)

【地域と歩む持続可能な教育の実現】

▼生涯学習ネットワークカレッジおよび視聴覚センター=2083万円

 生涯学習社会の実現のため、「道民カレッジ」事業の実施により、社会人の学び直しや多様な背景を持つ人々のニーズに応じた学習機会を提供する。

・主催講座=道民の学び直しや多様なニーズに対応した講座を提供

・デジタルリテラシー向上講座(新規)=道民カレッジ生および地域住民等を対象に、パソコンの基本操作や、オンラインサービスの仕組みに関する講座を展開(7会場)

▼縄文時代に学ぶ・世界遺産を活用した次世代育成=534万円

 児童生徒の歴史・文化への理解促進や文化財保護意識の醸成を図るため、縄文遺跡群に係る教材を作成するとともに、出前授業等を実施する。

・教材等開発=世界遺産や道内の縄文遺跡に関する教材(人々の暮らしを学習する動画)を作成

・作成した教材を北東北3県と共有

・出前授業=4年度に作成した教材(出土品の3Dモデル)を用いたモデル授業(14校)

▼アイヌ文化保存対策=923万円

 アイヌ文化財をつぎの世代に継承するとともに、道民の理解促進を図るため、アイヌ文化財の調査・記録や保存・活用および伝承活動の支援を行う。

・民族文化財調査=生活や生産生業に関し、民俗技術の伝承状況を調査

・故金成マツノートの翻訳・整理

・伝承・活用=民俗技術・民俗芸能伝承講座の実施、工芸作品の展示や民俗芸能の公開

◆学校等建設関係

▼高校大規模改造=49億5397万円

 高校の校舎等の安全性を確保し、教育環境を整備する。

・2年次目=札幌南、札幌琴似工業、函館水産、釧路江南、美唄聖華、新十津川農業

・着工=札幌平岡、千歳、遠軽、根室、札幌東、羽幌、清里

▼高校校舎改築=4億9999万円

 長寿命化改修が不可能とされた施設の改築を実施する。

・2年次目解体・外構=新十津川農業普通教室棟、厚岸翔洋寄宿舎棟

▼学校体育施設整備=1億2963万円

 高校・特別支援学校の体育施設を整備する。

・屋外運動場=照明施設着工2校

▼特別支援学校大規模改造=27億4580万円

 特別支援学校の校舎等の安全性を確保し、教育環境を整備する。

・2年次目=札幌養護共栄分校、今金高等養護、紋別高等養護、新得高等支援

・着工=札幌高等養護、札幌あいの里高等支援、夕張高等養護、旭川聾

▼庁舎等整備=7億4504万円

 所管機関庁舎等の機能保全を図るため、老朽個所等を整備する。

・設計着手=帯広美術館(空調・給水用循環・加圧ポンプ)、旭川美術館(冷房設備)、釧路芸術館(中央監視装置)

・着工=近代美術館(冷房設備)

・長寿命化工事着手=図書館、ネイパル砂川

(道・道教委 2023-02-13付)

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