十勝局 文科省委託道徳シンポジウム 自分の良いところ考える 上士幌小で授業公開など
(道・道教委 2023-02-09付)

道徳シンポジウム①授業
公開授業の様子

 【帯広発】十勝教育局は1月31日、上士幌町立上士幌小学校(山田圭介校長)で文部科学省委託の「道徳教育の抜本的改善・充実に係る支援事業」におけるシンポジウムを開いた。教職員や行政関係者、保護者ら約50人が参加。授業公開や同校の取組紹介を踏まえ、教育活動全体を通じて行う道徳教育の推進に向けて研鑚を積んだ。 

 事業は、学習指導要領を踏まえ、道徳科を道徳教育の要として有効に機能させ、児童生徒が様々な困難に主体的に対応できる資質や能力を身に付けることができるよう、道徳教育の抜本的改善・充実および地域の特色を生かした「北海道ならではの道徳教育」を推進することを目的としている。

 この日、同校1年2組の道徳科「自分の良さに気付く」(山内崇徳教諭、児童数20人)を公開。教材「ええところ」を活用し、自分の特徴に気付き、長所を大切にしようとする心情を育てることをねらいとし、授業を展開した。

 山内教諭は導入時、昨年12月に実施したアンケートの結果から「じぶんに良いところはありますか」の設問に「ある」と回答した児童が12人となったことを伝えた。「ない」と答えた児童に関して「本当に良いところがないのか」を児童たちに問いかけ、本時の課題「じぶんやみんなのいいところを見つけよう」を提示した。

 教材「ええところ」を通読。登場人物が清掃時に雑巾を絞り、同じく手を冷たくした友人の手を握って温めようとしたことに触れ、長所としていた「手が温かい」という身体的特徴がなくなると、長所がなくなるかを発問した。児童たちは「手は冷たくなったが、友人への優しさがある」と回答。「手の温かさ」は外部刺激によって冷たくなる可能性があるが「優しさ」という心理的特徴はなくならないことを確認した。

 また、手を握って温める登場人物の「優しさ」に気付いた友人に関しては「友人の優しさに気付くことができる」ことが長所の一つであるという考えを児童から引き出した。

 続いて、児童たちの学校生活を撮影した写真を示し、「良いところ」を発問。給食時の写真では「おいしそうに給食を盛り付けている」「頑張って準備している」など、多くの児童が級友の長所を見つけ発表した。

 また、児童たちは自分の長所をワークシートに記入。「自分の良いところを見つけるためのヒント」として、山内教諭は保護者から預かった手紙を児童一人ひとりに手渡した。児童たちは自分の長所が書かれた手紙を笑顔で読み、ワークシートへの記入を進めた。

 最後に、山田校長が「1年2組のみんなのことをいつも考え、みんなが笑顔でいられるよう頑張っている」と、山内教諭の長所をつづった手紙を読み上げた。児童たちは深くうなずき、山内教諭と共に「誰にでも、なくならない良いところがある」ことを確認した。

◆説明や実践発表等 地域・家庭と連携

 授業公開後、シンポジウムを実施した。

 十勝局担当者が、事業目的や今求められる道徳教育に関して説明した。公開された授業と照らし合わせ、事前アンケートの活用や発問の工夫などが「児童が課題を見いだせるような価値への方向性」につながり、人間理解・他者理解・価値理解をもとにした交流場面が設けられていたことを評価。保護者からの手紙の活用に関しては「他者からの評価が自己肯定感の向上につながりやすい発達段階において有効」とし、家庭・地域と連携した道徳教育の重要性を伝えた。

 続いて、上士幌小の教職員が同校の取組を解説した。児童の現状と課題を示し、行事ごとの実行委員会設置や目標設定と振り返り、地域と連携した出前授業などによって、自己肯定感の醸成を図っていることを説明。今後、道徳科における授業交流や家庭との共有を進め、児童の道徳性の育み方を学校全体で意識していく意向を示した。

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道徳シンポジウム②
シンポジウム

(道・道教委 2023-02-09付)

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