道議会質疑 予算特別委(4年10月4日)(道議会 2023-02-16付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼真下紀子委員(共産党)
【答弁者】
▼倉本博史教育長
▼唐川智幸学校教育監
▼伊藤伸一生徒指導・学校安全担当局長
▼泉野将司生徒指導・学校安全課長
◆いじめ問題
Q真下委員 旭川市の中学生のいじめ問題に対して、旭川市教委が設置した第三者によるいじめ防止等対策委員会は、最終報告書を出した。
昨年、教育長は、早期の解決が図られず、いじめ重大事態となったことについて、道教委として極めて重く受け止めていると答えていたが、各職能団体から推薦を受けた委員が時間をかけた最終報告を受けた今、道教委はどのように受け止めたのか、まず伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 最終報告の受け止めについて。旭川市事案の調査結果では、学校、市教委の関係法令に基づくいじめへの理解不足や、法令やガイドラインに基づいた対応を怠ったことなどが厳しく指摘された。
これまで、市町村教委と共にいじめ防止に取り組んできた道教委としても、調査結果の中で指摘されたことを重く受け止めている。
A真下委員 道教委の指導内容について、報告書で指摘があるが、どのような内容で、どう受け止めたのか伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 最終報告書での道教委に関する内容について。「学校及び市教委の対応についての検証」の項目において、市教委が、道教委から本件についていじめと認知する方向の指導があったことに関する注釈として「道教委の指導内容は、本件をいじめとして認知すべきことなどを指摘するものであったが、重大事態として対応すべきとはされていなかった。道教委としても、市教委からの報告で重大事態と評価すべき本件の事実関係の概要は把握していたのであるから、端的に重大事態として対応するように指導すべきであったと思われる」と記載されている。
道教委としては、当時、道教委と市教委との認識の共有が図られるよう、さらに取り組んでいく必要があったと考えており、こうした記載内容も含めて、本事案への自らの対応を振り返り、課題を整理した上で、北海道いじめ問題審議会においての意見等を伺いながら、いじめ重大事態に関する対応について、あらためて検討していく。
Q真下委員 まず、元年6月に、この中学生は川に入っていたが、その時に、その入水行為は自殺未遂、さらには、わいせつ行為を含めたいじめだと道教委は情報を得ていたわけである。この時点では、いじめの疑いと認識しているのだが、これはどうしてなのか。
A泉野生徒指導・学校安全課長 いじめの認知について。元年6月に発生した事案について、同年9月10日に、市教委から上川教育局に対し、電話によって報告があり、道教委はこの時点でいじめの疑いがあると捉え、同年9月11日および18日に市教委から事案について報告を受け、いじめの認知について確認を求めており、10月10日、市教委から、いじめとの判断には至っていないとの回答があったところである。
Q真下委員 この時点での情報収集や状況から、報告書では、学校と市教委がいじめ防止対策推進法とガイドラインの理解を著しく欠き、必要な対応を怠ったことが厳しく批判され、指摘されている。
しかし、道教委も同じような情報を持っていたのなら、この時点で重大事態との判断に至る必要があったのではないかと考えるが、いかがか。
A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 いじめ重大事態について。道教委は、市教委に対して、生命、心身に重大な被害が生じた疑いがあるとの考えのもと、本事案はいじめの疑いがあると判断し、市教委に対し、いじめを認知することや、被害生徒と保護者の心情に配慮して対応することなどについて指導したところである。
Q真下委員 答弁にあった、生命、心身に重大な被害が生じた疑いがあるという考えがあったのであれば、法とガイドラインに基づけば、これは重大事態ではないのか。
そういう認識があったならば、重大事態と認めないといけないのではないか。
A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 道教委の対応について。道教委としては、関係法令、ガイドラインを踏まえて、市教委に対し、生命、心身に重大な被害が生じた疑いがあるとの考えのもと、本事案はいじめの疑いがあると判断し、指導したところである。
Q真下委員 なぜ重大事態と判断しなかったのかを聞いている。
A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 道教委の対応について。道教委としては、いじめ重大事態を想定して、生命、心身に重大な被害が生じた疑いがあるとの考えのもと、本事案はいじめの疑いがあると判断し、市教委に指導してきた。
Q真下委員 1月16日、上川教育局は面談で旭川市教委に事実確認の上、指導したとされているが、6月の入水自殺未遂、わいせつ行為を伴ういじめの情報を得ていた教育局は、この時も重大事態だと判断していない。報告書では、この時点で対応方針等を変えた様子が認められないと指摘しているのではないのか。
事実関係と、重大事態と判断しなかった理由を示していただきたい。
A泉野生徒指導・学校安全課長 電話相談を受けたあとの対応について。2年1月16日、上川教育局は、市教委に対し、当該事案について、生命、心身に重大な被害が生じた疑いがあるとの考えのもと、いじめの認知について再度指導したが、市教委からは、いじめの認知に至っていないとの判断があらためて示されたものである。
Q真下委員 さらに深刻なのは、重大事態として認識すべき、相当の期間、学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあるときの対応である。
この生徒は、転校先でも出席が困難な状態が続いていた。ところが、道教委は、転校先での4月の報告書をもって1年間放置して、3年2月13日に行方不明の報告を受けるまで、報告を求めていない。
道教委は、転校先での経過を見るように指導したということだが、なぜフォローした記録がないのか。この時期の情報は非常に重要である。この時期の情報が欠落して、解明されていないことで、遺族が最も知りたい、自殺との関連が明らかにされない。
道教委が、重大事態と判断し適切な指導を行うべきを怠ったと、この3回目も怠ったと言わざるを得ないと思うが、2回目と3回目を併せて、なぜ重大事態の判断をしなかったのか伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 転校先での対応も含め、道教委の対応について。道教委としては、元年9月、10月、2年1月と継続して、いじめ重大事態を想定し、本事案に関する事実関係といじめの疑いがある事案としての対応について、市教委に指導してきたが、市教委からは、いじめの認知には至っていないという判断が繰り返し示されたことから、市教委に対し、転校先の学校の協力も得て、状況把握と当該生徒への丁寧な対応を引き続き行うよう指導してきた。
Q真下委員 重大事態だと判断して対応したのに、市教委がそれに対応しなかったということか。では、本当に重大事態だという判断をしたという記録がどこにあるのか。
A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 道教委の対応について。道教委としては、市教委に対し、いじめ重大事態を想定し、生命、心身に重大な被害が生じた疑いがあるとの考えのもと、本事案はいじめの疑いがあると判断し、市教委に対し指導してきた。
Q真下委員 いじめの重大事態だと想定したことを、言葉で市教委に伝えたのか。
A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 道教委の対応について。道教委は、市教委に対し、いじめ重大事態を想定し、生命、心身に重大な被害が生じた疑いがあるとの考えのもと、本事案はいじめの疑いがあると判断し、市教委に対し、いじめを認知すること、被害生徒と保護者の心情に配慮して対応することなどについて指導することをまとめた資料はあるが、その指導をした際の詳細な経過をまとめた記録についてはない。
Q真下委員 実際には、市教委が指導だと受け止めるに足るだけの重大事態だと示した指導はなかったということで良いか。
A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 道教委の対応について。道教委は、市教委に対して、いじめ重大事態を想定して、生命、心身に重大な被害が生じた疑いがあるとの考えのもと、本事案はいじめの疑いがあると判断したものである。
Q真下委員 いじめの対応も含めて、これから見直しをするということだが、3回、重大事態であるという判断をすべきところを見逃している。
きちっと検証して、道教委としての指導性を確保するという対応が必要ではないか。
A倉本教育長 いじめ問題の対応について。このたび、旭川の事案について、最終報告も第三者委員会から出ている。
道教委としては、当時、道教委と市教委との認識の共有が図られるよう、さらに取り組んでいく必要があったというふうにも考えている。
今回の第三者委員会の記載の内容を含めて、本事案への自らの対応を振り返り、課題を整理した上で、北海道いじめ問題審議会において様々な意見もいただきながら、今後の対応について、あらためて検討していきたいと考えている。
Q真下委員 道教委の指導性を発揮するためには、この検証なしには前に進めないと思う。この一つ一つについて、具体的に道教委としても検証すべきではないか。
A倉本教育長 このたび、第三者委員会から詳細な報告もいただいた。私どもがいただいたわけではないが、報告がされた。
これも十分にわれわれとしても読み込み、自ら今回の対応を振り返り、課題を整理させていただきたい。また、それをもとに、道いじめ問題審議会において意見いただきながら、今後のいじめ防止基本方針の見直しなども含め、対応していきたいと考えている。
Q真下委員 では、今回のことについての個別の検証も行った上で、反映させていくということで良いか。
A倉本教育長 道教委としては、当時、市教委との認識の共有が図られるよう、さらに取り組んでいく必要があったと考えている。
今回の自らの対応を振り返りながら、課題を整理し、いじめ問題審議会において意見いただき、今後の対応についてあらためて検討していきたいと考えている。
Q真下委員 個別の検証も含めてということか。
A倉本教育長 今回の報告書を踏まえて、自らの対応の中で課題を整理し、あらためて、いじめ問題審議会において意見いただきながら、今後の対応方向、いじめ防止基本方針の見直しについて、反映していきたいと考えている。
Q真下委員 私は、第三者委員会による検証が本当に必要であると考えると同時に道教委の対応として、教育局任せにせず直接指導に乗り出して、生徒と保護者への支援とケアに当たることができるように、専属的な組織体制を取るべきだと考えるが、いかがか。
A唐川学校教育監 第三者による検証等について。道教委としては、第三者調査委員会の調査結果を参考に、市町村教委との連携など、自らの対応の課題を整理し、道いじめ問題審議会の意見を伺いながら、いじめ防止基本方針の改定内容に生かしていく。
また、道教委では、組織的な支援をする緊急支援チームを運用するほか、児童生徒がいじめに関する悩みを、直接、道教委に相談できるよう、1人1台端末を活用した相談窓口を5月に開設し、早期発見、早期対応を促進するとともに、子ども相談支援センターや、各管内で設置している相談窓口の保護者利用も周知し、事案に応じて、教育局職員が相談された保護者や児童生徒に直接対応しており、今後も、いじめ事案に悩みを抱える児童生徒や保護者の支援と心のケアに努めていく。
Q真下委員 当該生徒の心の一番の痛みは、性被害の問題だった。それに対して対策強化を求めてきたが、改善が図られたのか。
道のいじめ防止条例、基本方針に、性被害を伴ういじめへの対応を明記するなど、対策の一層の強化が必要だと考えるが、ここをお聞きしたい。
A
泉野生徒指導・学校安全課長 性被害への対応について。道教委では、子どもたちが、性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないよう、命の安全教育の推進が重要と考えており、3年5月には、各学校に参考資料や教材を配布し、活用を促すとともに、4年3月には、人権擁護委員等と連携した実践事例を取りまとめ、一層の推進を図っている。
また、4年6月には、いじめ問題への対応の徹底に向け、犯罪行為とも捉えられるいじめは、警察等の関係機関に速やかに通報し、解決を図ることを通知した。
4年11月には、全ての管内において、教職員や教育委員会職員、警察官等を対象として、性暴力を伴ういじめへの対応なども取り上げた研修会を実施することとしている。
道教委としては、これらの取組状況を踏まえ、今後、いじめ問題審議会の意見を伺いながら、道いじめ防止基本方針の改定に向けて検討していく。
Q真下委員 当該の学校と旭川市教委に重大な問題があったことは、紛れもない事実である。旭川市長は再調査を実施すると述べている。
道教委の指導性を本当に発揮するのであれば、この報告書を受け取った市教委が、市の総合教育会議において検証して、再発防止対策を導き出すよう求めて、道教委に報告させることこそ、独立した教育行政機関である道教委の役割に鑑みると、行うべき指導ではないかと考える。教育長の見解を伺う。
A倉本教育長 道教委としての対応について。旭川市教委の第三者調査委員会による調査報告書では、再発防止策として、いじめへの対応、いじめ予防、安心して暮らせる社会づくりの3つの観点から11項目の提言がされており、旭川市教委および学校においては、再発防止策等を確実に進める必要がある。
道教委としては、市教委と連携しながら、定期的に取組状況を把握し、必要な指導助言を行うとともに、当該事案への自らの対応を省みて、課題を整理し、関連法令や基本方針を踏まえた、いじめ問題への対応が徹底されるよう、指導力を発揮していく。
(道議会 2023-02-16付)
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