道議会質疑 予算特別委(4年10月4日)(道議会 2023-02-02付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼檜垣尚子委員(自民党・道民会議)
▼宮崎アカネ委員(民主・道民連合)
【答弁者】
▼倉本博史教育長
▼唐川智幸学校教育監
▼堀本厚学校教育局長兼ICT教育推進局長
▼村上由佳特別支援教育担当局長
▼伊藤伸一生徒指導・学校安全担当局長
▼金田敦史施設課長
▼桑原知己社会教育課長
▼髙橋宏明学力向上推進課長兼ICT教育推進課長
▼大畑明美特別支援教育課長
▼泉野将司生徒指導・学校安全課長
◆防災教育
Q檜垣委員 道は3年7月、太平洋沿岸で最大クラスの津波が発生した場合に想定される、津波高、浸水域等を示した津波浸水想定を公表した。道が公表した太平洋沿岸の津波浸水想定区域内に設置されている道立学校は何校か伺う。
また、津波防災地域づくり法に基づき、市町村地域防災計画に避難促進施設として定められた学校は、避難確保計画の作成や計画に基づく避難訓練が義務付けられている。該当する学校は何校か、併せて伺う。
A泉野生徒指導・学校安全課長 津波浸水想定区域内の学校等について。太平洋沿岸の想定区域内に設置している道立学校は、高校18校、特別支援学校6校、中等教育学校1校の合計25校。
うち市町村地域防災計画において、津波が発生した際に生徒を円滑かつ迅速に避難させる必要がある避難促進施設として当該市町村から定められた学校は、4年9月末現在4校である。
Q檜垣委員 該当校の避難確保計画の作成や、避難訓練の実施状況を伺う。
また、避難促進施設として定められていない津波浸水想定区域内の学校でも、津波による災害を想定した避難訓練の実施が必要と考える。現状ではどのように実施されているのか伺う。
A泉野生徒指導・学校安全課長 避難確保計画の作成等について。避難促進施設として定められた4校では、避難確保計画を作成済みで、避難訓練は2校が実施済み、残る2校も、年内に実施する予定である。
また、現時点で避難促進施設とされていない21校のうち、18校は地域の消防署等の関係機関と連携するなど避難訓練を実施済みで、残る3校も、4年度中に実施する予定である。
Q檜垣委員 津波に限らず、近年は、水害、土砂災害の激甚化・頻発化なども懸念されている。学校では、自然災害に備え、危機管理マニュアルを作成する必要があると考える。
報道では、道教委は、道立学校の避難マニュアルの内容を把握していないとのことだが、危機管理への対応についてどのように確認しているのか伺う。
A泉野生徒指導・学校安全課長 危機管理への対応について。道教委では、道立学校を対象に毎年、学校の危機管理マニュアルの作成状況、また、マニュアルにおける地震や津波など自然災害への対応に関する内容や、避難場所の設定、避難経路や避難方法、家庭との連絡体制等の記載などについて確認してきた。新たな津波浸水想定が公表されことから、現在、あらためて全ての道立学校から危機管理マニュアルの提出を受け、それぞれの具体的な記載内容はもとより、改善の状況等について、あらためて点検している。
Q檜垣委員 本年度、浦河高校が、安全功労者内閣総理大臣表彰を受賞した。これまでの取組と成果の普及について伺う。
A泉野生徒指導・学校安全課長 浦河高の取組について。浦河高では、生徒の自助・共助の意識を醸成する防災・減災教育の推進を目指しており、高校生が地元の幼稚園や小学校に出向いて、幼児や児童に地震や津波が起きた際に自らの身を守る方法を教える活動など、学校種間で連携した取組を行っているほか「世界津波の日」高校生サミットに継続して参加するなど、防災意識の向上はもとより、地域や防災関係機関と連携した防災教育の推進に大きな成果を上げている。
また、3年度は、北海道高校生防災サミットで実践成果を発表しており、道教委としては、浦河高の実践事例等を報告書にまとめ、道内全ての高校に配布するなどして、効果的な取組の普及を図っている。
Q檜垣委員 ネイパルの各施設では、本年度から、9月を「ネイパル防災A・P月間」として、様々な防災体験を学ぶプログラムを始めたと聞いている。
学校においても積極的な活用が期待されるが、具体的内容と取組状況などについて伺う。
A桑原社会教育課長 「ネイパル防災A・P」について。このプログラムは地震や津波、火山噴火など災害が発生し通常の行動が困難になった場合、子どもたちが自ら安全に行動できる力や、避難所で被災者の支援に積極的に関わる姿勢を育むため、ネイパル6施設が共同で開発した体験型のプログラムで、これまで小学校12校、中学校3校、高校2校の計17校、企業と高齢者学級の2団体、小中学生を対象とした3主催事業で行っている。
道教委では、災害時に必要となるスキルや防災意識の向上を図るため、防災月間である9月を「ネイパル防災A・P月間」と定め、各ネイパルでは防災キャンプや防災体験デーにおいて、ハザードマップラリーや津波のメカニズムを学ぶ装置を使った実験など、プログラムを取り入れた事業を開催したほか、防災グッズなどを展示してきた。
今後とも、全道の学校にプログラム活用PRチラシを配布し、普及に努めるなど、子どもたちが地域において防災活動に率先して関わる力を身に付けることができるよう取り組んでいく。
Q檜垣委員 道教委としては、今後、防災教育の推進に向けどのように取り組んでいくのか伺う。
A唐川学校教育監 今後の防災教育の推進について。本道の子ども一人ひとりが、災害時に自らの命を守ることができる力を身に付けるためには、地域コミュニティーの核となる学校において、地域の方々と共に防災教育を推進することが重要と認識している。
道教委としては、地域と連携した1日防災学校や、道高校生防災サミット等の取組を通し、子どもたちが過去の自然災害の経験に学び、主体的に自分を守る、みんなで守る対応ができる知恵と行動力を身に付け、受け継ぐことができるよう、道と市町村、関係機関の連携を一層強め、幼稚園、小・中学校、高校、特別支援学校を通した系統的な防災教育の推進に取り組む。
◆空調設備
Q檜垣委員 先般、全国における公立学校の施設の整備状況が公表された。
道立学校は、本州と比べて空調設備の設置が進んでいないが、現在の整備状況と、こうした状況となっている理由について伺う。
A金田施設課長 道立学校の空調設備整備率について。国の調査によると、高校は全国が64・1%で、内訳は普通教室94・1%、特別教室53%、体育館8・1%である。道立学校が4・6%で、内訳は普通教室0・1%、特別教室7・3%、体育館0%である。特別支援学校は、全国が91%で、内訳は普通教室95・7%、特別教室87・7%、体育館28・9%。道立学校が7・1%で、内訳は普通教室4・5%、特別教室10・4%、体育館0%となっている。
このような差が生じている理由として、本道は他県等と比較して夏季の平均気温が低いことなどから、ほかの施設整備を優先してきたことによるものである。
Q檜垣委員 3年の第3回定例会予算特別委員会、4年2月の文教委員会では、道教委から、高校への財政措置について国に要望するとともに、国の支援策を活用しながら、可能な限り設置できるよう検討を進めるとの答弁があった。
その後の検討状況を伺う。
A金田施設課長 空調の設置に向けた検討について。道教委では毎年度、国の文教施策および予算に関する提案・要望等の中で、重点要望事項として、空調設備への財政措置を要望してきており、さらに、4年度は文部科学省に対し、新たに再生可能エネルギー等と空調設備を組み合わせた施設整備に対する支援制度の創設について要請した。
Q檜垣委員 猛暑日が増えている近年の気候状況を踏まえると、子どもたちの健康管理などのため、学びの環境を整備することが必要と考える。道内でモデル的に整備を図ることも検討してはどうか。
道として今後、道立学校の環境整備にどのように取り組んでいくのか伺う。
A倉本教育長 道立学校の環境整備に関する今後の取組について。学校は児童生徒が1日の大半を過ごす学習の場であることから、熱中症の防止はもとより、安全・安心で快適な教育環境の整備は重要である。
冷涼な本道の気候ではあるが、近年は特に厳しい暑さが続く地域もあり、快適な教育環境を提供するため、空調設備についても検討が必要と考えており、各地域の気温データや学校の実情を的確に把握し、今後の検討に生かしていく。
また、本年度、特別支援学校に在籍する児童生徒への対応として、病院併設型の手稲養護学校の普通教室全室に空調設備を整備するとし、現在、工事発注に向けた手続きを進めている。これを一つのモデルとして継承し、併せて、道立学校への空調設備の財政支援について、引き続き、国に対し強く要望していく。
◆いじめ問題
Q檜垣委員 旭川市のいじめ重大事態に対する第三者調査委員会の最終調査報告書が公表され、学校や旭川市教委の関係法令に基づくいじめへの理解不足や、法令やガイドラインに基づいた対応を怠ったことなどが厳しく指摘されている。
先の質問に対し、組織体制の整備について学校の対策状況を把握し、実情に応じた指導助言を行うとの答弁があった。いつまでに把握し、どのように指導助言するのか伺う。
A泉野生徒指導・学校安全課長 学校の組織体制等について。道教委では、3年6月と4年6月に、いじめ問題への対応の徹底に向け、各市町村教委と道立学校に対し、学校いじめ対策組織を有効に機能させ、迅速かつ適切に対応すること、いじめ事案対処マニュアルを全教職員で共有し、必要に応じて見直すことなどを通知しており、4年12月までには、各学校の対応状況等について把握することとしている。
道教委としては、組織的な対応に課題を抱えている学校については、市町村教委と各教育局が連携し、年度末までに学校の取組状況が改善されるよう、学校の実情に即して、実効性のある組織体制の強化等について、継続して指導助言を行っていく。
Q檜垣委員 報告書では、道教委の指導内容はいじめとして認知すべきことを指摘するものであったが、端的に重大事態として対応するように指導すべきであったと思われると指摘している。
道教委はこれまで、本事案について、市教委に重大事態に関する指導はどのようにしていたのか伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 重大事態に関する指導について。元年9月に事案発生を把握したあと、旭川市教委に対して、生命、心身に重大な被害が生じた疑いがあるとの考えのもと、10月に本事案はいじめの疑いがあると指導し、2年1月にいじめの認知についてあらためて確認したところ、市教委はいじめの認知には至っていないとの判断であった。
道教委としては、当時、道教委と市教委との認識の共有が図られるよう、さらに取り組んでいく必要があったと考えており、本事案への自らの対応を振り返り、課題を整理した上で、北海道いじめ問題審議会においての意見等を伺いながら、いじめ重大事態に関する対応についてあらためて検討していく。
Q檜垣委員 報告書では、加害者が性的行為を要求していたことなどの記載があった。
いじめの中でも、犯罪行為に当たる事案については、警察と連携した対応が必要だが、道教委のこれまでの取組と今後の対応について伺う。
A泉野生徒指導・学校安全課長 警察との連携について。犯罪行為とも捉えられるいじめについては、その対応を学校だけで対応するのではなく、速やかに警察と連携し対応することが重要である。
道教委では、道立学校や市町村教委に対し、4年6月には、警察との情報共有体制など、学校と警察との連携のポイントをまとめた資料を作成、配布するとともに、11月に全ての管内において、学校と警察の連携強化に向け、教職員、市町村教委担当者、教育局職員、警察官等を対象とした合同研修会を実施し、いじめ問題の解決に向けた連携体制について確認し理解を深めるなど、学校と警察との積極的な連携が図られるよう取り組んでいく。
Q檜垣委員 同様の事態が再び起こらないよう、全ての学校、教育委員会に対する法やガイドライン等に基づく対応の徹底が求められる。道教委としては、今後どのように取り組んでいくのか伺う。
A唐川学校教育監 今後のいじめ問題に関する取組について。4年6月に道立学校長と市町村教委職員を対象に、法令や国のガイドライン等に基づいた、迅速かつ適切な対応が徹底されるよう、いじめの積極的認知や、早期からの組織的対応、いじめ重大事態への対応について研修を行っており、研修後、校長等から、いじめへの初期対応や組織的な対応について、全教職員の共通理解を深めることができるツールを提供してほしいとの声があった。
道教委としては、法令やガイドライン、国の対応事例集などを参考として、各学校で活用できる、いじめ対応に係るフローチャート、早期発見のチェックリストや分析シートなどをまとめた、いじめ対応支援ツールを新たに作成している。
10月には、各学校に配布し活用を促進するなどして、全ての道立学校と市町村教委との連携を一層密にし、いじめ問題への適切な対応の徹底を図っていく。
◆医ケア児への対応
Q檜垣委員 4年度設置した、学校における医療的ケアに関する検討会議について、具体的な構成員や今後のスケジュールについて伺う。
A大畑特別支援教育課長 学校における医療的ケアに関する検討会議について。本検討会議は、医療的ケア児一人ひとりの教育的ニーズに応じた支援を行うための方策について集中的に検討を行うため設置したものであり、医療的ケアに精通した医師や大学教員のほか、道立特別支援学校の管理職や、学校で医療的ケアを実施している看護師、道の保健福祉部局の関係者、市町村教委の担当者に加え、医療的ケア児の保護者等によって構成している。
8月に第1回の会議を開催し、本年度中に4回程度の会議を予定しており、主に、医療的ケア児に対する適切な就学先決定、および学校における医療的ケア実施体制の充実に向けた具体の方策について検討することとしている。
Q檜垣委員 検討会議においては、どのような意見が出されたのか。
A大畑特別支援教育課長 検討会議における意見について。第1回会議では、医療的ケア指導医による巡回相談の実施等を通じた特別支援学校における体制整備について、一定の成果が上がっているとの評価を得た一方で、医療的ケア児の送迎に係る保護者負担の軽減について検討すべき、人工呼吸器を使用している児童生徒の保護者の入学後の付き添い期間の短期化を目指すべき、医療的ケア児のきょうだいを含めた、家族の負担や悩みに寄り添う支援の在り方について検討すべきなどの意見が出された。
Q檜垣委員 人工呼吸器を使用するなど高度な医療的ケアが必要な児童生徒等の保護者は、わが子を思い、昼夜を問わずケアを行っている場合もあり、長期にわたって付き添いを求めることは、保護者の心身への負担が極めて大きくなるものと考える。
そこで、現在の取組状況および改善に向けた検討状況について伺う。
A村上特別支援教育担当局長 保護者の付き添いについて。道立特別支援学校では、基本的に学校生活への保護者の付き添いを前提としていないが、安全面の配慮などから、高度な医療的ケアが必要な児童生徒の保護者に対し、付き添いを継続的に求めているケースもあると承知している。
道教委としては、医療的ケア指導医による巡回相談の機会を通じ、教職員を対象とした研修や、個々の医療的ケア児の具体的な緊急時対応等について助言を行っているほか、安全・安心な校内体制を整備するための適切な看護師配置や、地域の関係機関との連携の充実など、医療的ケア児の状態や、地域の実情に応じた体制整備の在り方等について検討を進めている。
Q檜垣委員 保護者の送迎に係る負担について、運転中にたんの吸引が必要になる場合などを想定すると、児童生徒等の体調についての心配とともに、交通事故への不安も大きくなるように感じている。
そこで、現在の取組状況および改善に向けた検討状況について伺う。
A唐川学校教育監 保護者の送迎について。3年度、道立特別支援学校に通学する医療的ケア児163人のうち、116人については、保護者が自家用車で送迎しており、人工呼吸器の使用によって、乗車中も、常時、健康観察をしようとする場合や、たんの吸引のため、自家用車を路肩に停車しケアを行う場合など、送迎の際に保護者の負担が生じているケースもあると承知している。
このため、検討会議では、福祉タクシーの利用等による保護者負担の軽減、自宅から近くの小・中学校等に通学し、当該校において、安全・安心な医療的ケアを実施するための特別支援学校による支援の充実などについて意見が出されていることから、保健福祉部等の関係部局と連携しながら、医療的ケア児の状況や、地域の実情に応じた通学支援の在り方について検討している。
Q檜垣委員 医療的ケア児に対する支援は、幅広い観点から検討を進め、現在改定作業中の特別支援教育に関する基本方針にしっかりと位置付けることが必要と考える。
一方、付き添いや送迎などの保護者負担軽減は喫緊の課題であり、早急に対応すべきと考える。保護者に寄り添った支援について、道教委としてどう考えるのか教育長の見解を伺う。
A倉本教育長 学校における医療的ケア児の今後の対応について。医療的ケア児の保護者の中には、昼夜を問わず、医療的ケアが必要なため、自らの睡眠時間や就労時間を短縮してケアを行うほか、医療的ケア児のきょうだいに関わる時間が十分に取れないなどのことから、心身共に負担を感じている方もいるなど、保護者の心情に寄り添った対応が必要と認識している。
道教委としては、現在策定中である特別支援教育に関する基本方針に、医療的ケア児の自立や社会参加を実現するための校内体制の整備や、保護者の負担軽減の方策等について盛り込むほか、検討会議において、保護者や地域の現状を把握するなど、看護師配置の充実や、通学時の付き添いに負担の生じているケースへの対応など、市町村等と連携しながら、課題の解消に向けて取り組んでいく。
◆共生社会実現
Q宮崎委員 国連の障害者権利委員会は、9月9日の勧告で、障がい児を分離した特別支援教育の中止を要請したほか、精神科の強制入院を可能としている法律の廃止を求めた。
また、特別支援教育を巡っては、通常教育に加われない障がい児がおり、分けられた状態が長く続いていることに懸念を表明し、通常学校が障がい児の入学を拒めないようにする措置を要請したほか、分離教育の廃止に向けた国の行動計画策定を求めた。
学校教育においては、条約批准に向けて学校教育法施行令が改正され、就学時に本人、保護者の意見を最大限尊重するとされ、課題は多いものの、希望すれば、普通学校や普通学級を選ぶことができるという認識で良いか。
A大畑特別支援教育課長 障がいのある子どもの就学について。就学先の決定に当たっては、学校教育法施行令の趣旨を踏まえ、本人および保護者の意見を最大限尊重し、教育的ニーズと必要な支援について合意形成を図った上で、最終的には、市町村教委が、児童生徒の就学先となる学校を決定することとされている。
道においても、各市町村教委が設置している教育支援委員会が、障がいの状態、学校や地域の状況、医師等の専門家の意見を把握するとともに、本人や保護者の意見も十分に聞き取り、就学先となる学校や学びの場の検討を行っており、市町村教委が、教育支援委員会の検討結果を踏まえて、本人、保護者、学校と合意形成を図ることによって、教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる就学先を決定しているものと認識している。
Q宮崎委員 入学者選抜の方法について、平成9年11月28日、文科省から各都道府県教委・知事等宛ての文書で、高校入学者選抜についての項目に「障害のある者については、障害の種類や程度等に応じて適切な評価が可能となるよう、学力検査の実施に際して一層の配慮を行うとともに、選抜方法の多様化や評価尺度の多元化を図ること」とあるが、その考えを伺う。
A髙橋学力向上推進課長兼ICT教育推進課長 入学者選抜について。特別な配慮を必要とする障がいのある生徒が受検する場合には、学力検査や面接において、受検者がその力を十分に発揮できるよう、生徒や保護者の要望、障がい等の状況を踏まえた上で、特別な配慮を行っている。
また、選抜に当たっては、各高校では、中学校における学習や生活状況を記載した個人調査書に加え、学力検査や面接等の結果を、学校が定めた複数の観点について総合的に評価している。
Q宮崎委員 平成11年12月16日の中教審答申では「高校の入学者選抜は、あくまで設置者および学校の責任と判断で行うものであることを明確にし、一律に高校教育を受けるに足る能力・適性を有することを前提とする考え方を取らないことを明らかにした」としているが、現状と認識を伺う。
A髙橋学力向上推進課長兼ICT教育推進課長 高校の入学者選抜について。これまで道教委においては、普通科における推薦入学者選抜の導入や、個人調査書と学力検査の成績の比重の置き方を学校の裁量によって決定する複数尺度による選抜を実施するなど、多様な選抜の具体的な方法等について、道立高校入学者選抜実施要項を定め、適切な運用に努めてきた。
道教委としては、入学者選抜に当たっては、各高校、学科等の特色に配慮しつつ、その教育を受けるに足る能力・適性等を判定して行うものとする国の方針を踏まえ、入学を希望する生徒の多様化に対応することができるよう、毎年度の入学者選抜の状況を踏まえて、選抜方法等の改善を図りながら、入学者選抜を行うことが重要であると認識している。
Q宮崎委員 障害者差別解消法に関わる文科省の対応指針では、平等を達成するための必要な措置や、障がい者を障がい者ではない者と比べて優遇する取り扱いは、不当な差別的取り扱いにならないと明記されている。合理的配慮の提供の過去の事例と併せて、道教委の考え方を伺う。
A髙橋学力向上推進課長兼ICT教育推進課長 合理的配慮について。これまで入学者選抜においては、聴覚に障がいのある場合、英語の聞き取りテストが聞き取りやすいような座席の配置とする、視覚に障がいのある場合、拡大鏡の使用を認める、または、問題用紙を拡大する、自閉症および知的障がいによって意思の表出が困難な場合、面接において介助者が質問の内容を伝えることを認めるなどの対応を行っている。
道教委としては、受検者および保護者から特別な配慮について相談があった場合には、在籍する中学校と受検予定の高校が十分連携し、中学校における配慮や支援の状況等も確認した上で、受検者が安心して受検に臨むことができるよう、引き続き、必要な配慮に努めていく。
Q宮崎委員 2年度、文科省調査において、志願者数が定員に満たない場合の対応について、北海道は、定員内であれば、原則、不合格は出さないことになっていると認識しているが、本道の高校受検における現在の考え方と展望について伺う。
A堀本学校教育局長兼ICT教育推進局長 合否の判定について。入学者選抜における合否の最終的な判断については、法令や入学者選抜実施要項に基づき、出願者や中学校から提出された資料、学力検査、面接の結果等を総合的に判断して、校長が行うものであるが、道教委では、各道立高校に対し、第2次募集も含め、出願者が募集人員に満たない場合は、特別の支障がない限り全員を入学させるよう指導しており、また、不合格と判定する場合には、その評価結果等を確認するため、事前に道教委と相談するよう求めてきたところ。各学校において適切な対応が図られるよう、引き続き指導していく。
Q宮崎委員 道教委は、第2次募集も含め、出願者が募集人員に満たない場合は、特別の支障がない限り全員を入学させるよう指導しているということである。
例えば、どのような支障を指しているのか伺う。
A堀本学校教育局長兼ICT教育推進局長 特別の支障がない限り全員を入学させるよう指導していることについて。個々の受検者の状況等を踏まえながら、不合格と判定する場合は、その評価結果等を適切に判断し、特に支障がないことを個別に判断して入学させるよう指導している。
(道議会 2023-02-02付)
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