道議会質疑 一般質問(4年9月26日)
(道議会 2023-01-25付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼星克明議員(自民党・道民会議)

▼寺島信寿議員(公明党)

【答弁者】

▼鈴木直道知事

▼倉本博史教育長

◆障がい者就労支援

Q星議員 特別支援学校では、現在も進学や就労に向けての教育を実施しているところだが、様々な職業を実体験し、自らの能力や志向に合った職業の選択が可能になる現場実習体制を整備することが必要と考える。

 また、教育課程を修了した障がい者に対しても、同様に、職業の選択肢が広がる研修等の支援を継続することが必要である。

 特別支援学校在学中、そして卒後の就労支援について、知事ならびに教育長の見解を伺う。

A鈴木知事 特別支援学校の生徒に対する就労支援について。道では、特別支援学校の子どもたちが、自分の希望や心身の状況に応じた仕事に就き、安心して働き続けることができるよう、在学中から、道内12ヵ所に設置した障害者就業・生活支援センターの専門職員が直接学校に伺い、在学生や教員からの相談に応じるとともに、卒業後は就職先を訪問し継続したフォローアップを行うなど、在学中から卒業後までの一貫した支援に努めている。

 今後もこうした取組を進めるとともに、学識経験者や経済団体、教育庁などで構成する道障がい者就労支援推進委員会において、子どもたちの就労支援の充実に向け協議し、施策に反映するなど、特別支援学校の卒業生が生き生きと働く環境づくりを進めていく。

A倉本教育長 特別支援学校における就労支援の充実について。特別支援学校の生徒の就労促進のためには、現場実習による職業体験などを通じて、将来の職業生活に必要な力を身に付けていくためのさらなる体制整備が必要と認識している。

 道教委は現在、経済団体に対する現場実習の受け入れに係る要請活動や、幅広い企業に障がい者雇用について理解いただくための見学会、企業や関係機関と連携した職業教育などを通じ、就労先や現場実習先の一層の拡充に努めている。

 今後は引き続き、就労を希望する生徒が、企業や社会が求める力を確実に身に付けることができるよう、就労先や実習先となる企業および関係機関と地域状況等を踏まえた計画的な現場実習の在り方などについて協議し、特別支援学校における就労支援の一層の充実に努めていく。

◆デフリンピック

Q星議員 パラリンピックについては、様々な障がいのあるアスリートが頑張っているが、聴覚障がい者は参加していない。

 昭和60(1985)年に国際身体障害者スポーツ大会がパラリンピックとなり、翌年から国際聴覚障害者スポーツ協会も加盟したが、平成7(95)年に10年足らずで脱退した。これは、遠征費用などが選手の個人負担となっていることなど、経済的な課題も原因と言われている。

 その後、聴覚障がい者のスポーツ大会は、デフリンピックとして開催されており、令和4(2022)年は、夏季競技大会がブラジルで開かれ、日本から11の競技に選手149人が出場したが、遠征費などは基本的に自己負担で、市のスポーツ競技への支援金や寄付による支援を行った。

 国際ろう者スポーツ委員会によると、次回、7(25)年夏季大会の開催地を東京都に決定し、日本での初開催となる予定である。

 知事は、デフリンピックの開催意義について、どのような見解を持っているのか、デフリンピックの開催を契機に、どのように聴覚障がい者を含む障がい者スポーツの振興を図っていく考えなのか、見解を伺う。

A鈴木知事 デフリンピックについて。2025年に聴覚障がい者の方々の国際スポーツ大会が日本で初めて開催されることとなり、後に続く選手の励みとなり、競技人口の裾野拡大とともに、障がいのある方々への理解が一層進むものと認識している。

 道では、これまでも聴覚障がい者の方々なども参加する全国障害者スポーツ大会への選手の派遣費用や、道内で開催される大会の開催経費に助成してきたほか、先週、道内で開催された全国ろうあ者体育大会の開催経費を支援している。

 道としては、こうした障がい者スポーツへの関心の高まりを契機として、道障がい者スポーツ協会などとの連携を一層強化しながら、引き続き、世界を目指すアスリートが集う全国大会への選手派遣や各種大会の開催を支援するとともに、障がい者スポーツの体験会を通じて、裾野の拡大など、共生社会の実現に向け、積極的に取り組んでいく。

◆いじめ問題

Q星議員 旭川市において発生した中学生へのいじめ重大事態について、9月20日に公表された最終調査報告書では、いじめ事案に対する学校の組織体制の問題点として、いじめに関する情報は、担任から一定の教員に共有されるだけで、組織的対応には至らなかったなどと述べられ、いじめ防止対策推進法やいじめ重大事態調査のガイドラインで求められているような組織的な対応がなされていなかったと、厳しく指摘している。

 また、9月24日には第三者調査委員会が記者会見を行い、あらためて学校や市教委の対応の問題点などを指摘している。

 道教委として、今回の調査結果において、学校での組織的な対応が取られていなかったことをどのように受け止め、今後、いじめ防止の徹底に向けどのように取り組んでいくのか伺う。

A倉本教育長 旭川市の事案における調査結果の受け止めなどについて。市のいじめ事案の調査結果で、学校、市教委の当該事案の対処に当たり、被害を受けている子どもを徹底して守る観点から、被害生徒や保護者に寄り添った支援や、法令、ガイドラインに基づいた学校いじめ対策組織を中心とした組織的な対応を怠ったことなどが厳しく指摘され、道教委としても、これまで市町村教委と共に、いじめ防止に取り組んできたことを顧みると、調査結果で指摘をされたことは重く受け止めている。

 道教委としては、いじめの積極的認知と実効性ある組織体制の整備について、道内全ての学校の対策状況を把握し、実情に即して指導助言するほか、いじめ問題審議会の意見を伺いながら、いじめ防止基本方針の改定に取り組み、法令や基本方針を踏まえたいじめ防止の取組が徹底されるよう、指導力を発揮していく。

◆旭川大学の公立化

Q寺島議員 旭川市では、5年度に私立である旭川大学を公立化する準備を進めており、若年層の流出傾向に歯止めをかけ、地域の活性化とともに、地域への定着を図ることで、持続的なまちづくりにつなげようとしている。

 大学と連携した地域の活性化に、今後、道としてどのように取り組んでいくのか伺う。

A鈴木知事 大学との連携について。本道では、進学や就職に起因すると思われる若年層の道外への転出が多い傾向にあることから、地域における大学をはじめとする教育環境の充実や、修学期間を活用した地域との関係づくりは、若者の定着や呼び込みにつながるものと期待している。

 このため、道では、大学との包括連携協定等に基づき、振興局の若手職員が行う地域活動への大学生の参画や、地元の高校が大学と地域課題の解決に取り組む高大連携を後押ししてきた。また、地域においても、大学の振興と雇用機会の創出を目指した産学官連携といった独自性のある取組が見られるところである。

 道としては、こうした取組の成果を生かしながら、振興局や教育局と一体となって道内各地での普及展開も促すなど、市町村と大学との連携による地域の活性化につなげていく。

◆教員の育成

Q寺島議員 グローバル化等、社会が急速に変化する中、全ての子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現するために、時代の変化に対応できる高い資質・能力を身に付けた教師の育成が重要と考える。

 変化の激しい時代において、教員にはどのような資質・能力が求められているのか、所見を伺う。

A倉本教育長 教員に求められる資質・能力について。変化の激しい予測困難な時代において、子どもたちの可能性を最大限に引き出す個別最適な学びや協働的な学びを実現するためには、教員は、教育的愛情や使命感などの教職に必要な内面的資質はもとより、授業力や子ども理解力などの実践的な指導力や専門性のほか、ICTの活用をはじめ、社会や学校を取り巻く状況の変化への対応力、さらには、学校づくりを担う一員として、地域などと連携協働しながら、課題解決に取り組むために必要な協調性やコミュニケーション能力などを身に付けることが求められている。

 道教委としては、教員一人ひとりがこうした資質・能力を着実に高めていくため、これまで以上に主体的に学び続けることが重要であると認識している。

Q寺島議員 国は、4月から新たな研修制度を実施することとして、教師の資質向上に関する指針等について、先日、通知したと承知している。

 このような国の動きを踏まえ、道教委として、今後どのように教員研修の充実を図っていくのか伺う。

A倉本教育長 教員研修の充実について。教員の指導力は、子ども一人ひとりの主体的な学びを保障する上で大変重要であることから、道教委では、現在、キャリアステージに応じて求められる基本的な資質・能力を高める研修のほか、ICTの活用や危機管理等の今日的な教育課題に対応した研修を実施している。

 今後は、こうした研修に加えて、教員のニーズに応じて学ぶ選択型の研修や、効率的に学ぶことができるオンライン研修などを積極的に導入し、一人ひとりの資質・能力の着実な向上を図るとともに、教員に求められる資質・能力の目安である教員育成指標を見直し、自ら計画的に研修を進めるための研修履歴の作成およびその活用に関する仕組みを構築することなどを通して、教員研修の一層の充実に努めていく。

◆いじめ問題

Q寺島議員 旭川市内の女子中学生が失踪し、亡くなった事案について、先日、旭川市教委は第三者調査委員会の調査報告書の概要を公表した。

 このたびのいじめ重大事態の調査結果について、道教委の受け止めを伺う。

A倉本教育長 いじめ重大事態調査の調査結果について。旭川市教委の付属機関である第三者調査委員会がまとめた調査報告書では、学校、市教委が、当該事案への対処に当たり、関係法令に基づくいじめに対する理解が不足していたこと、法令やガイドラインに基づいた対応を怠ったことなどが厳しく指摘されていると承知している。

 道教委としては、これまで市町村教委と共に学校でのいじめ防止に取り組んできたことを顧みると、調査結果で指摘されたことを重く受け止めている。

Q寺島議員 調査報告書では、旭川市教委が専門的知識を携え、学校を適切に管理する体制の構築や、いじめの把握および報告から、家庭との情報共有、対応までのシステムの確立などの再発防止策を提言している。

 道教委として、こうした再発防止策がしっかりと実行されるよう、どのように取り組むのか伺う。

A倉本教育長 再発防止に向けた取組について。調査報告書では、第三者調査委員会が、いじめへの対応、いじめ予防、安心して暮らせる社会づくりの3つの観点から、11項目の再発防止策を提言している。

 道教委としては、旭川市教委および学校において再発防止策等が確実に進められるよう、市教委と連携しながら、定期的に取組状況を把握し、必要な指導助言を行っていく。

 また、当該事案への道教委における対応について振り返り、市町村教委との連携など、課題を整理した上で、いじめ防止基本方針の改定に取り組み、全ての学校において法令や基本方針を踏まえたいじめ問題への対応が徹底されるよう、指導力を発揮していく。

Q寺島議員 今後、道教委は、本道の子どもたちがいじめに苦しむことがないよう、いじめ問題にどのように取り組んでいくのか伺う。

A倉本教育長 今後のいじめ問題への取組について。道教委として、市町村教委、校長会等の関係機関・団体で構成する、いじめ問題対策連絡協議会や、実効性あるいじめ対応策を取りまとめている事例集を活用した教職員研修等を通じて、道のいじめ防止基本方針に掲げたいじめの未然防止、早期発見、早期対応などの重要性について、全ての市町村教委や学校へあらためて周知し認識を共有するとともに、取組の徹底を図るなど、一層の指導力を発揮しいじめ問題への対応に全力で取り組んでいく。

(道議会 2023-01-25付)

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