道議会質疑 一般質問(4年9月22日)(道議会 2023-01-24付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼清水拓也議員(自民党・道民会議)
▼小岩均議員(民主・道民連合)
【答弁者】
▼鈴木直道知事
▼若原匡総務部職員監
▼北村英則総合政策部地域振興監
▼森隆司環境生活部長
◆道財政健全化
Q清水議員 道では、毎年度の当初予算の発表に合わせ、向こう10年間の収支見通しである道財政の中期展望を公表している。これによると、4年度に360億円となっている収支不足額は、今後も数百億円規模で生じる見込みとなっている。
かつて、赤字再建団体転落の危機に陥り、道民の協力をいただきながら、聖域なき行政改革と財政再建を進めてきた道にあっては、こうした長期的な見通しを明らかにした上で財政運営を行っていくことが大切であると考える。
私は、本道の将来を見据えたとき、あらかじめ、織り込み難い様々な不安定要素を抱えながらも、ゼロカーボン北海道の推進やデジタル化への対応といった中長期的な課題に的確に対応し、本道ならではの課題や強みを踏まえた先進的な取組を積極的に行っていくことが必要と考える。
そのためには、都道府県で最も高い水準が続く健全化判断比率の改善をはじめ、減債基金積立留保額の段階的解消など、財政の健全性を回復させていく地道な努力が欠かせない。
道は、より一層、政策を充実させていく上で、その基盤となる財政の健全化にどのように取り組んでいく考えか伺う。
A鈴木知事 財政の健全化について。道財政は、5年度以降も収支不足額が生じる見込みにあることに加え、感染症がもたらす影響が様々な分野で長期化しているほか、原油価格や物価の高騰などによって、地域経済への影響が懸念されるなど、今後も厳しい状況が続く見通しにある。
しかしながら、こうした状況にあっても、感染症に強い安全・安心な地域づくりはもとより、コロナ禍からの経済再生と地域産業の活性化をはじめ、本道の将来を見据えた中長期的な課題に着実に対応していくことが重要であり、そのためにも持続可能な財政構造を確立していく必要があると認識している。
このため、道としては、4年3月に改訂した行財政運営の基本方針に基づき、歳出の削減、効率化や歳入確保といった収支対策を実行するとともに、実質公債費比率の改善に向けた減債基金への積み戻しや、今後の追加財政需要に備えた財政調整基金の確保など、引き続き、財政の健全化に粘り強く取り組んでいく。
◆定年引上げ
Q清水議員 3年6月の地方公務員法の一部改正を受け、5年からは定年年齢が60歳から65歳へと段階的に引き上げられることとなった。
民間企業では、既に定年制度の廃止や70歳までの延長など、優秀な人材確保に向け、取組が進められているが、人生100年時代を迎え、道職員をはじめ、全国の公務員に、定年の引き上げが適用される時期が目前に迫ってきた。
大変大きな組織変更になると考えるが、道では、条例提案や制度設計など、どのように準備を進めているのか伺う。
A鈴木知事 職員の定年引き上げについて。今般の公務員の定年引き上げは、平均寿命の伸長や少子・高齢化の進展を踏まえ、豊富な知識や技術、経験等を持つ高齢期の職員に最大限活躍してもらうため、国が、人事院の意見の申し入れも勘案し、必要な法改正などを行ったものである。
このため、道では、5年度の施行に向けて、国家公務員の取り扱いを基本に準備を進めるとともに、それぞれの自治体の実情に応じて定めることのできる役職定年の対象範囲や離島で勤務する医師の定年年齢などについて、職員の意見も聞きながら、具体の検討を進めている。
道としては、法改正の趣旨を踏まえた円滑な制度導入に向けて、高齢期の職員を含めた全ての職員が高い意識を持ち、最大限その能力を発揮できるよう、鋭意、制度設計に取り組み、年内に条例提案を行っていく。
Q清水議員 定年の段階的な引き上げ期間中は、定年退職者が2年に一度しか生じないことになるため、新規採用者が年度によって大幅に変動し、専門的な知見の世代間継承や計画的な人事配置、人材育成などに影響が生じると懸念する。
行政サービスの継続性の観点などから新規採用の継続は必要であると考えるが、この引き上げ期間中における新規採用者の確保についてどのように対応していく考えなのか。
A若原総務部職員監 新規採用への影響について。道では、毎年の退職者数の動向やその時々の行政需要を踏まえ、新規採用者数を決定しており、定年引き上げが施行される5年度以降においては、定年退職者が全く生じない年が隔年で発生することになり、新規採用への影響が懸念されるが、組織活力を維持し、将来にわたって質の高い行政サービスを提供していくためには、安定的な職員採用を継続する必要があると考えている。
今般、国からは、定年引き上げ期間中における新規採用の在り方について、2年ごとに平準化するという考え方が示されたことから、道としては、この考え方を基本に、職員の年齢構成への影響や受験機会の確保にも留意しながら、将来の道政運営に支障が生じないよう、新規採用者の確保について検討を進める。
Q清水議員 定年引き上げに関する条例改正については、道内の各市町村でも準備が進められているが、いわゆる役職定年後の職員配置など、細かな制度設計に苦慮している市町村もあると聞く。
また、職員数も様々であり、一般行政職の人数で比較すると、札幌市の7396人から音威子府村の29人までと、組織の規模や機能は大きく異なる。さらに、職種も、一般行政職員、消防職員、公営企業職員など、専門性も条例作成に当たっては十分考慮に入れる必要があると考える。
市町村に対し、道は、これまでどのような助言を行い、また、今後どのような対応を行っていくのか。
A北村総合政策部地域振興監 市町村への助言について。道においては、市町村の定年引き上げに係る制度の具体的な運用についての様々な懸念に対応できるよう、総務省の質疑応答集や留意事項通知等の周知に努めるとともに、市町村からの個別の照会に丁寧に対応してきた。
いわゆる役職定年後の職員配置については、対応に苦慮している市町村もあると承知しているが、公務の能率的な運営や人事上の事情、それぞれの職員の職務への適性などを考慮し、適切に検討するよう助言を行ってきた。
今後も、道内の市町村における定年引き上げが円滑に進むよう、条例改正の進捗状況を的確に把握するとともに、先駆的に取り組んでいる事例を横展開するなど、引き続き、きめ細かな助言に努めていく。
◆スポーツ振興
Q清水議員 地域では、少子化や競技団体の高齢化など、多くの課題を抱えており、持続可能なスポーツ振興に向け、大きな岐路に立たされている時でもある。
先の一般質問で、知事は、オール北海道によって新たな官民連携組織づくりを進めるとともに、自ら先頭に立ち、本道スポーツの一層の振興に取り組むと答弁した。
早速、その官民連携組織である北海道スポーツみらい会議が過日に立ち上がり、課題の解決や今後の振興策の推進役として大きく期待を寄せるところ。現在までの状況について伺う。
A森環境生活部長 新たな官民連携組織について。東京や北京のオリンピック、パラリンピックにおける本道ゆかりの選手を含む日本選手の活躍が日本中に勇気と感動をもたらし、スポーツへの関心が高まる中、道では、4年3月にスポーツ推進条例を制定した。
道では、これを契機として、7月に「北海道スポーツのみらいを拓く集い」を開催し、条例の趣旨を幅広く周知するとともに、本道スポーツを振興する新たな官民連携組織として、行政や教育機関、スポーツ団体、プロスポーツチーム、経済界など、道内250の団体に参画いただき、北海道スポーツみらい会議を設立した。
この会議は、条例の理念である全ての道民が、スポーツを通じた健康で豊かな生活を形成することや、魅力ある人づくりや地域づくりを推進するとともに、将来にわたる持続可能な社会の実現を目指している。道としては、様々な立場の方々と連携しながら、本道スポーツの一層の振興に取り組んでいく。
Q清水議員 スポーツの振興は、ライフステージに応じて継続して取り組むことが重要と考える。近年の健康意識の高まり、特に、スポーツによる健康増進に注目が集まる今、よい流れをしっかり未来へとつなげていかなければならない。
知事は今後、本道のスポーツ振興にどのように取り組んでいくのか、所見を伺う。
A鈴木知事 今後の取組について。道では、北海道スポーツ推進条例の制定を契機として、4年7月、道内の179市町村をはじめ、関係者の方々とオール北海道で北海道スポーツみらい会議を設立し、SNSを活用してスポーツに関する情報を積極的に発信するほか、来月には、年齢や性別、障がいの有無にかかわらず、共に楽しめる、北海道みらい運動会2022を開催することとしている。
また、現在、有識者や地域の皆さんからの意見も伺いながら、条例が目指す将来にわたる持続可能な社会の実現に向け、5年度からスタートする第3期のスポーツ推進計画の策定を進めている。
道としては、今後とも、スポーツの持つ力や北海道の潜在力を生かし、長期的な視点を持って様々な立場の方々とスポーツをする、見る、支える素晴らしさを共有し、本道スポーツのさらなる振興、発展に取り組んでいく。
◆ボールパークの利活用
Q小岩議員 プロ野球の日本ハムが本拠地の球場を現在の札幌ドームから北広島に新設するボールパークの構想が発表されてから5年。5年3月には、いよいよ開業を迎える。
開業後の活用策に関して、道が7月に設立した北海道スポーツみらい会議、秋に予定されているATWS―アドベンチャートラベル・ワールドサミットなどを契機として、アウトドアスポーツとの連携の可能性、ボールパーク連携協議会で検討されていた防災拠点としての活用など、野球とは別の側面で、道民に資する施設の活用方法について伺う。
A鈴木知事 ボールパークの今後の活用について。3月の開業を控えた北海道ボールパークFビレッジは、新千歳空港から近く、札幌市にも隣接していることから、道内外から多くの方々が訪れるものと考えており、開業に向けては、北海道観光振興機構とも連携し、ボールパークへの誘客や、施設を活用した教育旅行の誘致に取り組んでいる。
また、防災拠点としての活用では、北広島市において、開業後、新球場を観光客や帰宅困難者の一時避難に対応できる広域避難場所に指定することとしており、このほか、物資の備蓄などを含め、道民の安全・安心の確保に資するよう、大規模災害時における活用について、市や球団などと連携し、具体化を図っていく。
道としては、北海道スポーツみらい会議に参加いただいている日本ハムファイターズや地元・北広島市、周辺市町村とともに、スポーツの振興はもとより、様々な活用について連携協力していく。
(道議会 2023-01-24付)
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